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StoryWriter

最近のマイブームは、YouTubeで色々なアーティストのライヴ映像やダンス動画を観ること。

GANG PARADEに加入してから今までそういう事にハマってこなかったのですが、自分がステージに立ってパフォーマンスをする身として今のマイブームはとても大きな刺激になっています。

今日のライヴはこの人を降臨させてみよ! や、この人のこの魅せ方を参考にしてみよ! などと取り組み方のバリエーションが増えています。

憑依したりゾーンに入るという事がライヴをやるにあたって1番といっても過言ではない程大切な事なので、そのきっかけのスイッチが具体的にひとつ増えたことが武器になれば良いなと今後の自分にワクワクしています。

4月からはホールツアーが控えていたりと成長できるチャンスがあるので、楽しみで仕方ありません。

>>>GANG PARADEホールツアーのチケットはこちら

Vol.33『his』

☆4.0/☆5.0点中

公式ページ:https://www.phantom-film.com/his-movie/

 

春休みに江の島を訪れた男子高校生・井川迅と、湘南で高校に通う日比野渚。2人の間に芽生えた友情は、やがて愛へと発展し、お互いの気持ちを確かめ合っていく。しかし、迅の大学卒業を控えた頃、渚は「一緒にいても将来が見えない」と突如別れを告げる。

出会いから13年後、迅は周囲にゲイだと知られることを恐れ、ひっそりと1人で田舎暮らしを送っていた。そこに、6歳の娘・空を連れた渚が突然現れる。「しばらくの間、居候させて欲しい」と言う渚に戸惑いを隠せない迅だったが、いつしか空も懐き、周囲の人々も3人を受け入れていく。そんな中、渚は妻・玲奈との間で離婚と親権の協議をしていることを迅に打ち明ける。ある日、玲奈が空を東京に連れて戻してしまう。落ち込む渚に対して、迅は「渚と空ちゃんと3人で一緒に暮らしたい」と気持ちを伝える。しかし、離婚調停が進んでいく中で、迅たちは、玲奈の弁護士や裁判官から心ない言葉を浴びせられ、自分たちを取り巻く環境に改めて向き合うことになっていく──。

昨年『愛がなんだ』が話題となり、これまでに様々な恋愛の形を魅力的に表現してきた今泉力哉監督による、男性同士の同性愛の葛藤やLGBTQ問題をじっくり描いたヒューマンドラマ。

『愛がなんだ』は勿論のこと、『アイネクライネナハトムジーク』『mellow』も観てきたのですが、今泉監督作品はどれも自分の今までの恋愛映画の概念を引っ掻きまわされ、心にじわじわと後味が響くような素晴らしいものばかり。

迅を演じるのは今最も注目を集めている若手俳優の宮沢氷魚さん、そして渚を演じるのは個人的に今一番注目している俳優の藤原季節さん。

2018年の『止められるか、俺たちを』での藤原季節さんを観て、今まで体験した事のない脳が痺れるような感覚に陥った記憶が印象的にずっと残っていて、今作で改めて彼の不思議と頭にこびりついて離れず確実に爪痕を残していく演技に感動させられました。

宮沢氷魚さんの繊細で落ち着く優しい声と藤原季節さんのタイプの違う2人が醸し出す雰囲気がなんとも絶妙なバランス。繊細に表情を映し出しお互いに好きという気持ちが溢れ出している、こちらまで自然にドキドキしてくる演技が最高で、常に心地の良い時間が流れていました。

迅と渚の恋愛ストーリーから、2人を取り巻く社会、カミングアウト、離婚、親権問題、シングルマザーの葛藤、子どもの育て方など様々な壁に打ち当たり物語が展開していきます。

この作品には”好き”の形が何通りも存在していて、迅と渚のお互い心から愛し合う気持ち、恋愛感情はないけれど妻として好きではあったり、、この作品の『好きだけではどうしようもない』というキャッチコピーが観賞後に深く突き刺さります。

今作は決してLGBTQ問題に対する社会問題だけを描いているのではなく、マイノリティvsマジョリティでもなく、皆が1人の人間として葛藤し弱さを曝け出しながらも問題と向き合い、自分の中の先入観から解放され意外にも優しいかもしれない世界に気付いていく様子を2時間にわたって丁寧に映し出しています。

迅と渚、夫がゲイである事実を初めは受け止められなかった妻の玲奈、2人を受け入れた町の人々、全ての人に寄り添い分け隔てなく同じ目線で人が関わり合おうとする優しく美しい、これからの人生において大切な事に気付かされるような、人間の奥深さや世界の温かさがじんわりと心に染み込んでくる映画でした。

これからこの映画を観る人は、同性愛を描いたものという先入観を持たず何にも縛られる事なく穏やかに観て欲しい。そんな作品です。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.3『凪待ち』
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Vol.7『チャイルド・プレイ』
Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
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Vol.10『永遠に僕のもの』
Vol.11『ゴーストランドの惨劇』
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テラシマユウカ


2014年に結成され、現在10人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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