みなさん、こんにちは。
先日、風呂場の電気が切れたのですが電気カバーの外し方が分からず一生取り替えられないという事態に陥っています。
電気をつけずにお風呂に入るのが好きで、今までも基本真っ暗の中iPhoneでYouTubeを流しながらその僅かな明かりだけで快適お風呂ライフを過ごしてきたのですが、なかったらなかったで不便なもので、どうにかカバーを外そうとここ1週間程試行錯誤しているのですが一向に取れる気配がありません。
幼い頃に書類ケースの様な形をしたシナモンのお道具箱セットの開け方が分からず無理やり引っ張って壊した記憶が謎にトラウマとして残っていて、それ以来物を無理やり開けることに諦めているので引っ越さない限り一生お風呂の明るさを取り戻すことはできない気がしています。
そんな真っ暗闇のなか過ごしている私ですが、今週の映画は暗闇が訪れない、そんな作品をご紹介したいと思います。
Vol.36『ミッドサマー』
☆4.3/☆5.0点中
公式ページ:https://www.phantom-film.com/midsommar/
家族を不慮の事故で失ったダニーは、
明るいことがおそろしい、太陽と花々に満たされた祝祭の果ては、究極の恐怖と、未体験の解放感。長編デビュー作 『ヘレディタリー/継承 』が世界中で絶賛され、ハリウッドの製作陣が最も組みたいクリエイターとして注目しているアリ・アスター監督の長編作第2弾。
スウェーデンの辺境で行われる一日中明るい日”夏至”のイベントに参加した大学生達が白夜のもとでの異常な儀式に参加し、予想だにしない事態に飲み込まれていく様を描いています。
今作品はホラー映画でなく恋愛映画だったりフェスティバル・スリラーだと言われていますが、実際に従来のホラーの”驚かせる”といった意では作られておらず、本当に噂の通りでした。前作の 『ヘレディタリー/継承』もそうでしたが、アリ・アスター監督はホラー映画で人間に恐怖を与えるという面で、とても特異なポイントをついて思わぬ角度からの苦しみを与えてきます。
“暗さ”や”夜”などといったことが定番とされてきたホラー映画を、あえて太陽が沈まない”明るい”中での祝祭を舞台とし、ひたすらに色とりどり華やかで美しい映像と不穏な音楽で映し出す。清々しいほどの多幸感と圧倒的明るさに逆に不安や不気味さを掻き立てられ、恐怖→不快感→高揚感→爽快感と観る者の精神状態を次第にトリップさせます。
常人離れした天才的な発想や全てが伏線となる緻密なストーリーで考察のしがいがありそうな作品であり、またその中でも監督が見せようとしている恐怖が分かりやすく、気軽に人に勧められる作品でもないですがこの感覚をどうにか人と共有したい気持ちに溢れてしまいました。
個人的に、『ベニスに死す』という私史上圧倒的優勝美少年映画のビョルン・アンドレセンが『ミッドサマー』のあのおじいちゃんと知り、テンションが爆上がりでした。また、芸術センスが大爆発した色彩美や綺麗なお花達、刺繍のデザインがとても可愛いらしい白い衣装、細部まで目に見えるもの全てが素晴らしかったです。
『ミッドサマー』はホラーでありながらも、根底には精神的に苦痛を負った主人公が、あらゆるしがらみからの救済・解放されるという、恐怖と快楽が一体となった感覚を楽しめる一種の神秘体験の様なものでした。出来るだけ心身共に健康な状態である時の鑑賞をオススメします。もう二度と観たくないと思うか、それともこの中毒性にやられてまた劇場に足を運んでしまうかのどちらかになるはずです。私は後者だったので、近いうちにおかわりしに行こうと思います。
こんなにも、映画館を出て太陽が沈んでいることに感動したのは初体験です。
(褒め言葉として)唯一無二で最高に”嫌”な映画でした。
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テラシマユウカ
2014年に結成され、現在10人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。