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StoryWriter

休日の過ごし方ってどう決めていますか?

私は、1日オフの日の時間の使い方を組み立てられません。YouTubeや映画を観たりと夜更かしして日中は爆睡、夕方くらいに目覚めて結局夜眠れなくなるか、きちんと朝に起きて映画館に行ったりなんやかんやして夕方くらいに帰宅し気付いたら寝てしまっていて日付変わる前に起き結局また夜眠れなくなるか。

元々圧倒的に夜型なので、大体この2パターンのどちらかになってしまい、オフの次の日何故か寝不足という事態に陥ってしまいます。

休みだからといって特に会う友達もいないし家から出たくないし『まあ、いっか〜。』となってしまうので、一生アクティブに生きられない気がしますが、休みの日に活動的な人に少し憧れたりもします。

休日は映画を観にいくという目的でしか腰を上げられない私ですが、3月8日は国際女性デーだったという事で、今週は女性に焦点を当てた作品をご紹介します。

Vol.38『スキャンダル』

☆4.0/☆5.0点中

公式ページ:https://gaga.ne.jp/scandal/

 

密やかな爆弾は彼女の「告白」で着火した―‬‬
全米最大のTV局を揺るがした
衝撃のスキャンダルの全貌が暴かれる!‬

‪2016年、アメリカニュース放送局で視聴率NO.1を誇る「FOXニュース」に激震が走った! クビを言い渡されたベテランキャスターのグレッチェン・カールソンが、TV業界の帝王と崇められるCEOのロジャー・エイルズを告発したのだ。騒然とする局内。看板番組を背負う売れっ子キャスターのメーガン・ケリーは、自身の成功までの過程を振り返り心中穏やかではなくなっていた。一方、メインキャスターの座を狙う貪欲な若手のケイラは、ロジャーに直談判するための機会を得て――。‬

『マネー・ショート 華麗なる大逆転』のアカデミー賞受賞脚本家がシナリオを書き上げ、シャーリーズ・セロンがプロデューサーに名乗りを上げて映画化が実現した、実話のスキャンダルを描いたセクハラ訴訟ドラマ。

FOXニュースの会長でありCEOのロジャー・エイルズがいかに権力をふるって女性キャスター達を食いものにしてきたか、そしてかつてはロジャーの標的であったグレッチェン・カールソンがセクハラを告発し、それに賛同した女性達が声を上げ戦っていく衝撃的で華麗な逆転劇。‪原題の”Bombshell”は英語圏のスラングで、女性のセックスシンボルを表す言葉で、魅力的な女性のことを指して用いられているそうです。‬‬

事件からわずか3年で映画化し、被害者・加害者含めほとんどの人物が実名で登場していることにまず驚きを隠せませんでした。日本ではきっと実現し得ない事ですし、触れ難いものに突っ込んでいけるハリウッドの凄さを感じました。

女性なら思わず感情移入してグッと力が入ってしまいそうな作品。一見、自立し頼もしそうな女性でも、被害を公表することによって偏見に晒されるなどのリスクや組織的な同調圧力、今後の仕事のために言わない方が良いと思い、そして隠す事によってまた別の被害者を生み出してしまう。当事者以外からするとただお断りすればいいと思う人もいるかもしれませんが、容易に声を上げられない現実もあります。ロジャーには歯向かえないのにトランプの女性蔑視発言には対抗できてしまう皮肉さや女性としての立場の非力さがとても辛く突き刺さりました。

本作はアメリカのニュースやドナルド・トランプとの関係性、訴訟された事件、政治情勢などについて粗方知っている前提のスピードで進んでいきます。劇中で使われる言葉も難しく、色々な思惑で様々な人が目まぐるしく動いていくので、自分の無知さを痛感しながら、脳みそをフル回転させて鑑賞する事になりました。

ですが、権力や周囲の同調圧力に飲まれる女性達の葛藤やそれに抗うべく行動に移し一矢報いんとして立ち向かっていく様子は“映画”というよりも“ドキュメンタリー”のようでした。女性蔑視と戦う姿を淡々と描いているので余計に生々しく、最高にクールで熱い。

ロジャーの、自分が女に活躍できる場を与えてやったという最後の最後まで悪びれない差別的なスタンスに哀しくなりました。ロジャーのように典型的では無くとも未だに性別が仕事に関与してしまう部分は少なからず存在しているので、この実在した衝撃のセクハラ事件が映画化したことによって誰かの認識が少しでも変わればいいなと願うばかりです。

先週ご紹介した『架空OL日記』とはまた180°違った女性に焦点を当てた映画、男女性別問わず観る価値が大いにあり、なんなら特に男性にオススメしたい作品です。

予備知識を頭に入れてから観るとより楽しめるかもしれません。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.36『ミッドサマー』
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テラシマユウカ


2014年に結成され、現在10人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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