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StoryWriter

いかがお過ごしでしょうか?

コロナの影響で、お家で楽しめる映画を紹介するようになっていよいよ4週目に入るのですが、もう1ヶ月以上も映画館に行かない日々が続いているのかと思うと驚きを隠せません。

コラムを書き始めて早1年以上が経ち、少なくとも週1回は必ず映画を観に行っていたので不思議な感覚に陥ります。安心して映画館にいける日常が少しでもはやく戻ってくることを願うばかりです。

この家にいる期間にYouTubeでエクササイズ動画を流しながら出来る範囲で身体を動かしていたり、自炊したり、何か勉強でもしてみようかなぁなんて思っていたりします。ここ2、3年はあまりテレビを観ない生活を送ってきたのですが最近はなんの気無しにつけるようになり、音楽番組をチェックしてインプットしたりクイズ番組ばかり観てどこで使うかわからない雑学の知識を増やしたりしています。

刺激が足りないもどかしい日々が続きますが、焦らされた分だけ解放された時の楽しみが爆発するのかなとプラス思考に考えて気分を明るく暮らしていきたいと思います。

さて、今週は私の大好きなエズラ・ミラー特集!

端正な顔立ちで中性的な美しさを持っていた少年時代から、男らしく色気たっぷりに成長し個性的で異彩を放ちながらも圧倒的な演技力と振り幅を発揮している魅力たっぷりな彼の出演する作品を4つご紹介します。

1. 『ウォールフラワー』

 

チャーリー(ローガン・ラーマン)は、小説家を志望する16歳の少年。高校入学初日にスクールカースト最下層に位置付けられ、ひっそりと息を潜めて日々をやり過ごすことに注力していた。ところが、彼の生活は、陽気でクレイジーなパトリック(エズラ・ミラー)、美しく奔放なサム(エマ・ワトソン)という兄妹との出逢いにより、一変する。初めて知る“友情”、そして“恋”―。世界は無限に広がっていくように思えたが、チャーリーがひた隠しにする、過去のある事件をきっかけに、彼らの青春の日々は思わぬ方向へ転がり始める―。

心に傷を負った主人公が、少し変わった仲間たちと友情や恋愛を通して葛藤し成長していく姿を描いた青春。

主人公のチャーリー、恋の相手サム、その兄のゲイであるパトリック3人が10代ならではの悩みをそれぞれ抱えながらも互いに受け入れ共感し支え合おうとする姿に、愛おしさを感じずにはいられません。

キラキラな青春とはすこし違いますが、誰しもが味わったことがあると思われる楽しいだけではない、窮屈さを感じながらも過ごした青臭い学生時代を思い出して心を揺さぶられる作品なのではないでしょうか。

今しか体感し得ない感情を持ちながらこの瞬間を生きる彼らがとても眩しく魅力的に見える、甘酸っぱい青春の名作です。

2. 『ボヴァリー夫人』

 

修道院出の夢見がちな少女エマは、情熱的かつ華やかな結婚生活を夢見て年上の医師チャールズ・ボヴァリーと結婚する。しかしその生活はエマが思い描いていたようなロマンティックなものとは程遠く、静かな田舎町と退屈な夫の存在は次第に彼女の心に暗い影を落としてゆく。やがて心の隙間を埋めるかのように、エマは知人の紹介で知り合った美しい青年レオンに惹かれてゆく。レオンもまたエマに情熱的な思いをぶつけるが、人妻という立場はかろうじてエマの恋心を押しとどめ、思いは実ることなく彼は仕事のために都会へと去っていってしまう。再び孤独になったエマは、ほどなくして雇い人を夫のもとへ診察に連れてきた資産家のマルキと出会う。ひと目会った瞬間からエマを気に入ったマルキは、世慣れた態度と甘い言葉で彼女を口説き始める。エマは既存の道徳観を超越するかのようなマルキの堂々たる振る舞いに戸惑いを感じつつも憧れを抱き、遂には体を許してしまう。夫ではない男に抱かれ、かつてない幸福を感じるエマ。それがやがて訪れる悲劇の幕開けだとも知らずに……。

フローベールによる長編小説の映画化。修道院から出て医師と結婚した女性がその刺激のない退屈な日々に飽き、ある出会いから不倫が始まり破滅していくお話。

クラシックな文学の世界観にエズラ・ミラーとミア・ワシコウスカの2人が素晴らしくマッチし、アンティークなファッションやインテリア、街並みや風景、登場人物どこを切り取っても美しい作品です。

エズラの魅力の一つであるハマったら抜け出せない不思議な色っぽさが大爆発しており、虜にさせられます。誰も幸せになれないけれど、人間が持つ負の感情や情欲に溺れて自らを破滅に導いていく様子は悲しいながらも魅力的に見えてしまう、そんな作品でした。

3. 『プリズン・エクスペリメント』

 

1971年8月―。スタンフォード大学心理学部のジンバルドー教授(ビリー・クラダップ)は、夏休みの校舎を利用してとある実験を始めた。被験者として募集された男子学生を9名の看守と9名の囚人グループに分け刑務所生活を再現し、“役割”が、人にどう影響するかを調べるというものだった。看守は囚人に暴力を振るわないことなどいくつかの条件の下、実験は始まった。囚人番号8612となったダニエル(エズラ・ミラー)は、刑務所に収監されるが反抗的な態度から屈辱的な命令がエスカレートし、遂には暴力にまで発展する。しかし、監視カメラで様子をみているジンバルドー教授はスタッフの制止もきかず実験の続行を命令する……。一方、ダニエルはひとり気が狂ったふりをして脱出し、皆を助けに戻ると約束するが……。

1971年に実際に行われていた心理学実験「スタンフォード監獄実験」を基にした、権力を与えられた看守と権力を奪われた囚人がどのような行動を取るかを描いた心理スリラー。

前の2作からすこし大人になり、また違った表情のエズラが楽しめる作品です。登場する俳優の方々全員が演技のレベルが圧倒的で見応えがあります。心の底から嫌悪感を抱き胸糞悪くイライラが止まらない、これが実話だったかと思うと本当に恐ろしくどんなホラーよりも人間が1番怖いのだと思い知らされます。

終始漂う心の閉塞感に二度と観たくないと思ってしまいますが、同じ題材を用いた『es[エス]』というドイツ映画は更にリアルで最高に気分が悪くなるのでオススメしたい作品です。

4. 『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』

 

今度の舞台は、ロンドンとパリ。

イギリスにもどってきた魔法動物学者の主人公ニュートは、強大な敵の魔法使い、グリンデルバルドが逃げ出したことを知る。魔法界、そして人間界をもおびやかしかねない彼を追い、ダンブルドア先生とニュートがタッグを組み、ニュートの仲間、魔法動物(ビースト)たちとともに、一同はパリへと向かう。

ファンタビシリーズ第2弾。ハリポタファンの私としては、1作目は動物と和気藹々物語が始まったのかな? という印象であまりしっくりこなかったのですが、2作目で魔法感が強くなり一気に世界観に引き込まれ好奇心が駆り立てられた記憶があります。エズラ・ミラー演じるクリーデンス・ベアボーンの得体のしれなさがこれまた魅力的で、物語のキーマンである彼から目が離せません。

クリーデンスの出生、ダンブルドアとグリンデルバルドの関係、ナギニの過去など、ハリポタシリーズとの関連した情報が次第に明かされていき、壮大な歴史が紐解かれていくストーリーに観れば観るほど理解が深まり面白味が出てくる作品なので、その奥深さにどっぷりと浸かってみてはいかがでしょうか?

期待を膨らませずにはいられないアツイ展開に2021年の続編が心待ちで仕方ありません。

底知れぬ魅力を持つエズラ・ミラー、彼の関わる作品は贔屓目なしにどれも素晴らしいので今後の活躍もとても楽しみです。

エズラの出演する作品で個人的に1番オススメしたい『少年は残酷な弓を射る』は、過去のコラム内でもご紹介しているのでそちらもあわせて是非。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.2『ピアッシング』
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Vol.4『Diner ダイナー』
Vol.5 『劇場版 Free!-Road to the world-夢』
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Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
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Vol.10『永遠に僕のもの』
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テラシマユウカ

テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールドの3人からなるアイドルグループ、PARADISESのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、2020年4月からはグループが分裂。PARADISESのメンバーとして活動中。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

テラシマユウカ Twitter

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