watch more
StoryWriter

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

私は最近お菓子つくりに勤しんだりとステイホームを楽しむ術を身につけつつある気がします。

スーパーではバター、クリームチーズ、ホットケーキミックス、ボウルなどほぼ全部売り切れていてみんな考える事は一緒なのか…… とニヤニヤしながら買い物をしています。

上京してきてから今までカーテンも窓も開けず太陽に出来るだけ当たらないように過ごして、朝ごはんなんて絶対に食べない暮らしをしてきたのに、起きたらまず陽の光を浴びてトースト焼いちゃお〜となってしまうので謎に生活力が上がってきている自分に怖くなりながらも、今のうちにこれまで忙しくて疎かになってしまっていた生活に関してのことを正して習慣付けていけたらいいなと思っています。

皆さんも健康的に過ごしてくださいね。

さて今週の映画コラムは、ファンタスティック・ビーストの主演を務めたことにより、更にその名を世界中に広めた「エディ・レッドメイン」出演の3作品をご紹介します!

1. 『リリーのすべて』

 

1928年、デンマーク。風景画家のアイナー・ヴェイナーは、肖像画家の妻ゲルダと共に公私とも充実した日々を送っていた。そんなある日、ゲルダに頼まれて女性モデルの代役を務めたことをきっかけに、アイナーは自分の内側に潜んでいた女性の存在に気づく。それ以来、“リリー”という名の女性として過ごす時間が増えていったアイナーは、心と身体が一致しない自分に困惑と苦悩を深めていく。一方のゲルダも、夫が夫でなくなっていく事態に戸惑うが、いつしかリリーこそがアイナーの本質なのだと理解するようになる。移住先のパリで問題解決の道を模索するふたり。やがてその前にひとりの婦人科医が現れる-。

世界初の性別適合手術を受けたデンマーク人画家のアイナーとその妻のゲルダ、そして”1人の女性”リリーの織り成す実話に基づく愛の物語。

自らの内側に潜んでいた本当の自分に気付き、自分らしく生きる道を選んだエディ・レッドメイン演じるリリーと、夫のその姿に戸惑いながらもすべて受け入れ、一番の理解者であり続けた妻の懐の深い愛に切なく胸が締め付けられます。

主演2人の演技が素晴らしく、夫が夫でなくなっていく様子に行き場のない感情を持ちながらも理解しようとしていく妻の姿や、心と身体が一致しない自分自身に向き合っていこうとする葛藤、所作や言葉遣い、内面的にも次第に女性らしく変化していく様子をエディは繊細に表現しており、その姿に儚くも強い美しさを感じました。

ジェンダーに関する作品ですが、ただ性別の話だけに収まるのではなく、「自分らしさ」に信念を持ち向き合いながら生きる大切さを教えてくれるような、そして妻ゲルダの今までに見たこともない究極の愛の形を魅せてくれる作品です。

2.『博士と彼女のセオリー』

 

1963年、ケンブリッジ大学で理論物理学を研究するスティーヴン・ホーキングは、中世詩を学ぶジェーンと恋に落ちる。やがて、スティーヴンは筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症、余命2年と宣告されながらも、妻となったジェーンと家庭を作り、子育てをし、そして、自分が生かされている意味を全うしようとする。予期せぬ試練。きれいごとではすまない夫婦の現実。ふたりが辿り着く先は…。

若くして難病を発症した車椅子の物理学者スティーヴン・ホーキング博士と彼を献身的に支え続けた妻ジェーンを描いたヒューマンドラマ。

ALSという難病、ホーキング博士の生き様やユニークな変わった性格、全てをエディがこれまた圧巻。

夫婦が力を合わせ、覚悟を決めて困難を乗り越えていこうとするも、そう甘くはない現実に感情が揺さぶられ、愛や幸せの形は人それぞれであり、今生きているこの一瞬がかけがえのないものだと改めて感じさせられました

ジェーンとの思い出を巻き戻し振り返るラストシーンは印象的で忘れられない最高のエンディング。単なるハッピーエンドでもバッドエンドでもないからこそ、この物語は一生心に生き続ける大切な作品になる気がします。

3.『イントゥ・ザ・スカイ』

 

天気を予測することが出来ると唱える気象学者のジェームズは、学界からは荒唐無稽とバカにされ、調査飛行の資金も集められずにいた。諦めきれないジェームズは、気球操縦士のアメリアに「空に連れていってほしい」と頼み込む。2年前に夫を亡くしてから、生きる気力さえ失っていたアメリアだが、悲しみから立ち直るための飛行を決意する。ようやくスポンサーも現れ、アメリアのショーとして、高度の世界記録に挑戦することになる。観客の熱い声援に送られ飛び立った二人だが、立場と目的の違いから狭いバスケットに険悪な空気が流れる。だが、高度7000mの世界記録を破った後、想像を絶する自然の脅威に次々と襲われた二人は、互いに命を預けて助け合うしかなかった。果たして、前人未到の高度11000mで、二人を待ち受けていたものとは──?

「博士と彼女のセオリー」エディ・レッドメインとフェリシティ・ジョーンズの最高タッグの再共演作品であり、気象予報理論を証明するために気球で空へ向かう科学者ジェームズと、夫を気球の事故で亡くした操縦士アメリアの実話に基づいた伝記。

映画館の大きなスクリーンで観ればよかったと後悔してしまう程の、まるで空に飲み込まれた様な大自然の映像美にずっと浸っていたくなるロマンと冒険の物語です。

「世界は見ているだけじゃ変わらない」。今となっては当たり前の事でも、過去に誰かが未知の世界に身を削ってでも飛び込んでくれたからこそ、今を生きる私たちにごく普通に知識があるものなのだとその勇気に感動させられます。

ストーリーの大半が気球でのジェームズとアメリアの対話であり展開としてはシンプルですが、その中でも強く意思を持ち、命を賭けて自分のやりたいことに挑戦する姿に、観ている者の心まで熱くたぎらせるような、心の何処かにある何かに挑みたいという気持ちを後押しする力を与えてくれる、そんな作品です。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


「今日はさぼって映画をみにいく」のバックナンバーも合わせてチェック!!

Vol.1 『ハウス・ジャック・ビルト』
Vol.2『ピアッシング』
Vol.3『凪待ち』
Vol.4『Diner ダイナー』
Vol.5 『劇場版 Free!-Road to the world-夢』
Vol.6『トイ・ストーリー4』
Vol.7『チャイルド・プレイ』
Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
Vol.9『存在のない子供たち』
Vol.10『永遠に僕のもの』
Vol.11『ゴーストランドの惨劇』
Vol.12『惡の華』
Vol.13『アス』
Vol.14『人間失格 太宰治と3人の女たち』
Vol.15『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
Vol.16『アナベル 死霊博物館』
Vol.17『JOKER』
Vol.18『クロール-凶暴領域-』
Vol.19『ボーダー 二つの世界』
Vol.20『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』
Vol.21『マチネの終わりに』
Vol.22『グレタ GRETA』
Vol.23『テッド・バンディ』
Vol.24『ドクター・スリープ』
Vol.25『マリッジ・ストーリー』
Vol.26『カツベン!』
Vol.27『ラスト・クリスマス』
Vol.28『屍人荘の殺人』
Vol.29『パラサイト 半地下の家族』
Vol.30『シライサン』
Vol.31『ペット・セメタリー』
Vol.32『ジョジョ・ラビット』
Vol.33『his』
Vol.34『犬鳴村』
Vol.35『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
Vol.36『ミッドサマー』
Vol.37『架空OL日記』
Vol.38『スキャンダル』
Vol.39『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』
Vol.40『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
Vol.41『デッド・ドント・ダイ』
Vol.42『青色映画ポスター特集』
Vol.43『MyFrenchFilmFestival フランスショートフィルム特集』
Vol.44『邦画特集』
Vol.45『エズラ・ミラー特集』

「それでも映画は、素晴らしい。」のバックナンバーも合わせてチェック!!

【連載】Vol.1『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY』(推薦者:テラシマユウカ)
【連載】Vol.2『ライフ・アクアティック』(推薦者:渡辺淳之介)
【連載】Vol.3『そこのみにて光輝く』(推薦者:ココ・パーティン・ココ)
【連載】Vol.4『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(推薦者:沖悠央/SCRAMBLES )
【連載】Vol.5『ライフ・イズ・ビューティフル』(推薦者:GANG PARADE マネ 辻山)
【連載】Vol.6『ヘアスプレー』(推薦者:花柄ランタン ぷき)
【連載】Vol.7『はじまりへの旅』(推薦者:ランタン 村上真平)
【連載】Vol.8『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(推薦者:松隈ケンタ)
【連載】Vol.9『シカゴ』(推薦者:ユイ・ガ・ドクソン)
【連載】Vol.10『トイ・ストーリー3』(推薦者:T-Palette Records 古木智志)
【連載】Vol.11『青春の殺人者』(推薦者:岩淵弘樹)
【連載】Vol.12『時計じかけのオレンジ』(推薦者:BiS ムロパナコ)
【連載】Vol.13『トレインスポッティング』(推薦者:蒲鉾本舗高政高政社長)
【連載】Vol.14『ドリーマーズ』(推薦者:美容室code+LIM ワタロー)
【連載】Vol.15『トゥルー・ロマンス』(推薦者:UGICHIN)
【連載】Vol.16『メリー・ポピンズ』(推薦者:ヤママチミキ)
【連載】Vol.17『ハイスクール・ミュージカル』(推薦者:アヤ・エイトプリンス)
【連載】Vol.18『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(推薦者:平賀哲雄)
【連載】Vol.19『天使にラブ・ソングを…』(推薦者:テラシマユウカの母)
【連載】Vol.20『少年は残酷な弓を射る』(推薦者:テラシマユウカ)
【連載】Vol.21『ローマの休日』(推薦者:エビナコウヘイ)
【連載】Vol.22『湯を沸かすほどの熱い愛』(推薦者:セントチヒロ・チッチ)
【連載】Vol.23『あの日々の話』
【連載】Vol.24『万引き家族』(推薦者:ハルナ・バッ・チーン)
【連載】Vol.25『クレイマー、クレイマー』(推薦者:テラシマユウカの父)
【連載】Vol.26『プラダを着た悪魔』(推薦者:LEBECCA boutique ブランドディレクター、赤澤える)
【連載】Vol.27『ザ・マジックアワー』(推薦者:ごんちょく)
【連載】Vol.28『下妻物語』(推薦者:キャン・GP・マイカ)
【連載】Vol.29『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(推薦者:ナルハワールド)
Vol.30『ホラー映画オススメ10選』
vol.31『きみに読む物語』(推薦者:ももち)

テラシマユウカ

テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールドの3人からなるアイドルグループ、PARADISESのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、2020年4月からはグループが分裂。PARADISESのメンバーとして活動中。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

テラシマユウカ Twitter

PICK UP