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StoryWriter

青春の思い出と言われて、頭に浮かぶ時間ってどんなものですか?

私には甘酸っぱい感じの青春の思い出は残念ながら無いのですが、中学時代、毎日部活と勉強に追われていた時間は今思えば青春だったなと、センチメンタルな気分になってしまいます。

幼い頃からやっていて得意だった水泳部に入るつもりでしたが、出席番号が近かった子の部活見学についていきそのままなんとなく入部してしまったバスケ部。毎朝5時6時に起きて片道約1時間半かかる学校へと朝練へ行き、休日もずっと練習に明け暮れていた日々はなんだかんだ楽しかった気がします。

自ら選択するものもあれば、なんとなく巡り合わせで始めるものもあったりと、スタートは違えど気づけば夢中になっている。そんなことが年齢関係なく青春という輝きになっているのかもしれません。

今週は、中学生くらいにこの映画を観ていたらもしかしたら人生変わっていたかもしれないなという作品をご紹介します。

Vol.64『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』

☆4.0/☆5.0点中

公式サイト:https://longride.jp/booksmart/

 

明日は卒業式。親友同士のモリーとエイミーは、高校生活の全てを勉学に費やし輝かしい進路を勝ちとった。ところが、パーティー三昧だった同級生たちも同じくらいハイレベルな進路を歩むことを知り驚愕。2人は失った時間を取り戻すべく、卒業パーティーに乗り込むことを決意する。

 

女子高生の卒業前夜を舞台に、爆笑あり、アクションあり、涙ありの、一夜限りのはちゃめちゃなハイスクール青春コメディ映画。

『her/世界でひとつの彼女』『リチャード・ジュエル』知られる女優オリヴィア・ワイルドが、“俺たち”シリーズ、『バイス』の製作コンビのウィル・フェレルとアダム・マッケイよるバックアップの下、長編監督デビュー。主演を務めるのは、『レディ・バード』ビーニー・フェルドスタインと『デトロイト』ケイトリン・デヴァー。

生徒会をやって有名大に行けるような真面目女子2人組が、今までやってこなかった酒・ドラッグ・セックスに踏み込み大冒険を繰り広げる、定番の青春コメディでありながらも新しい時代の価値観が生きている、誰もが笑って楽しめる作品です。

気軽に見れるのにメッセージ性が強く込められており、青春コメディでありがちな容姿やセクシャリティなど個性を否定する意地悪な登場人物も出てこず、ひとりひとりが多様性に溢れて誰もが魅力的。そしてスクールカーストなども存在しない。

主人公2人が冒頭からお互いに褒めあう描写も素敵でリスペクトによって築かれている関係性が気持ちよく、ここまで自己肯定感が爆上がりするような作品は初めてというほどに優しい世界が広がっていました。

勢い任せのバカな事の連続や、泣いて笑ってセンチメンタルなシーンが沢山ありますが、しんみり終わるのではなく「あー、良い映画だった!」と、自然と言葉が漏れてしまいそうな爽快感で席を立つ瞬間は、最高以外の何者でもありません。

高校生に近い年齢であればある程、まさに今観てほしい作品であり、大人になって”あの頃の青春”を取り戻せないとしても、キラキラと輝くあの頃の思い出を抱きしめながら、青春に遅いも早いもないと背中をそっと押してくれるような、そんな優しさの詰まった難しいことは何もない幸せな作品です。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.2『ピアッシング』
Vol.3『凪待ち』
Vol.4『Diner ダイナー』
Vol.5 『劇場版 Free!-Road to the world-夢』
Vol.6『トイ・ストーリー4』
Vol.7『チャイルド・プレイ』
Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
Vol.9『存在のない子供たち』
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Vol.18『クロール-凶暴領域-』
Vol.19『ボーダー 二つの世界』
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Vol.21『マチネの終わりに』
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Vol.29『パラサイト 半地下の家族』
Vol.30『シライサン』
Vol.31『ペット・セメタリー』
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Vol.33『his』
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Vol.35『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
Vol.36『ミッドサマー』
Vol.37『架空OL日記』
Vol.38『スキャンダル』
Vol.39『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』
Vol.40『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
Vol.41『デッド・ドント・ダイ』
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Vol.43『MyFrenchFilmFestival フランスショートフィルム特集』
Vol.44『邦画特集』
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Vol.46『エディ・レッドメイン特集』
Vol.47『眠れない夜にみたい映画』
Vol.48『トラウマ映画特集』
Vol.49『ゴシック映画特集』
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Vol.51『ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷』
Vol.52『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
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Vol.58『劇場』
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Vol.60『ダンケルク』
Vol.61『ハニーボーイ』
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テラシマユウカ

テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールドの3人からなるアイドルグループ、PARADISESのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、2020年4月からはグループが分裂。PARADISESのメンバーとして活動中。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

テラシマユウカ Twitter

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