こんにちは、テラシマユウカです。
今までハマったら生活がおしまいだと手を出さずにいた海外ドラマについに踏み込んでしまい、夜更かしに拍車をかけているこの頃です。
この記事が公開される頃にはちょうどアンブレラ・アカデミーを観終わり、次に目をつけているDARKを観始めたくらいな気がしますが、Netflixには掘れば掘るほど素晴らしい作品が転がっていそうでワクワクと恐ろしさで震えています。
新作映画を紹介してきたコラムですが、番外編で海外ドラマを書いてみようかな〜とも考えています。
なぜ映画館に行けない時期にハマらなかったのかと後悔しつつ、何においても流行りに乗り遅れてしまうので、良い作品をいちはやく察知できるようになりたいものです。
Vol.61『ハニーボーイ』
☆3.5/☆5.0点中
公式サイト:https://gaga.ne.jp/honeyboy/
若くしてハリウッドのトップスターに躍り出たオーティス(ルーカス・ヘッジズ)は、撮影に忙殺されるストレスの多い日々の中で、アルコールに溺れるようになっていた。2005年のある夜、泥酔して車を運転し事故を起こしたオーティスは、更生施設へ送られる。そこでPTSDの兆候があると診断され、「まさか」と驚くオーティス。原因を突き止めるために、今までの思い出をノートに書くようにと言われたオーティスは、過去の記憶を辿り始める。真っ先に思い出すのは、父のこと。
10年前の1995年、子役として活躍する12歳のオーティスは(ノア・ジュプ)いつも突然感情を爆発させる前科者で無職の“ステージパパ“ジェームズに、振り回される日々を送っていた。そんなオーティスを心配してくれる保護観察員、安らぎを与えてくれる隣人の少女、撮影現場の大人たちとの交流の中で成長していくオーティスは、新たな世界へと踏み出すのだが──。
人気子役からトップスターへと駆け上がるも、飲酒やドラッグなどトラブルで世間を騒がせた俳優シャイア・ラブーフがリハビリ施設でアルコール中毒の治療の一環として、自身の子役時代の思い出を基に脚本を書き上げた自伝的作品となっています。
主人公である少年オーティス役には「ワンダー 君は太陽」「フォードvsフェラーリ」「クワイエット・プレイス」のノア・ジュプ。
青年期のオーティス役を演じるのは「レディ・バード」「ある少年の告白」のルーカス・ヘッジズ。
そして、シャイア・ラブーフ自身が子役時代からの悩みの種であった父親ジェームズを演じています。
アルコール中毒でトラブルばかり起こすハリウッド俳優がリハビリ施設へ収容され、同じくアル中の父親から振り回され続けた自身の過去を回想していく生々しく繊細なヒューマンドラマとなっています。
挫折続きの人生に疲れ果て、我が子の稼ぎで食っている自分への不甲斐なさを最愛の息子にぶつけてしまうダメダメな父親と、その父親に振り回され幼いながらに苦悩を抱えるも、それでも父親は父親でありどこかで憎みきれず愛情を求めずにはいられない息子。
父からの暴言や暴力が幼いオーティスを傷つけ大人になっても心は12歳のままで、様々な役を演じる中で自分を見失ってしまった心の痛みや孤独に胸を締め付けられます。
オーティスが求めていたものはお金でも名声でもなく親からの愛情であり、過ぎた時間を振り返った先に分かりにくくも愛があったことに気づく。与えられたのは痛みばかりで決して真っ直ぐではないけれど、父が子を想う気持ちも子が父に求める気持ちも奥底にひっそりとあるもどかしさがどうしようもなく苦しい。
今作はきっと誰かに向けられた映画ではなく、シャイア・ラブーフが自身の為に人生を振り返り向き合う為の個人的なストーリーであるので評価が分かれるかもしれません。
ですが、エンドロールを観る頃には、自身を曝け出して痛みの多い過去と向き合い、更には父親役を見事演じて見せた彼のこれからの人生が温かいものになればいいなと願わずにはいられない作品でした。
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