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StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

気づけばもう11月。

お日様が出ている時間帯は快適な気温ですが夜は肌寒く、就寝時と起床時の気温差が大きすぎるので毛布の上にニトリのNクールを重ねて意味不明な体温調節をしながら最近は寝ています。

11月といえば個人的に誕生月なのですが、この仕事を始めてから誕生日はいい思い出ばかりで毎年嬉しさを噛み締めています。

学生時代、あまり人間関係や自分の心がうまくいかなかったときになんだか惨めな気がして体調悪いフリして誕生日に学校を休んだ記憶が一度あります。

ここ数年は平和に沢山の方にお祝いの言葉をかけて頂くのでそんな心配もなく誕生日を迎えられるのって本当に幸せです。

周りを気にして大切な時間が別物に変わってしまうようなことが全世界誰にも起こらなければいいのにな〜とふと思います。

Vol.72『レベッカ』

☆3.7/☆5.0点中

公式サイト:https://www.netflix.com/jp/title/81002196

 

主人公はホッパー夫人の付き人としてモンテカルロに同行し、資産家のマキシム・ド・ウィンターと恋に落ちた。主人公はマキシムのプロポーズを承諾し、ド・ウィンター夫人として大邸宅に引っ越すことになったが、使用人たちとの関係はギクシャクしていた。特に、最古参のダンヴァース夫人は1年前に事故死した前の主人(レベッカ)を深く敬愛していたこともあって、主人公に対して憎悪に近い感情を抱いていた。主人公は絶えず疎外感に苛まれるだけではなく、レベッカの影につきまとわれるという過酷な環境に身を置くことになり、徐々に精神のバランスを崩していく。

 

本作はダフニ・デュ・モーリエが1938年に発表した同名小説を原作とし、1940年にアルフレッド・ヒッチコック監督により映画化された名作をベン・ウィートリー監督が現代に蘇らせたリメイク版。2020年10月21日よりNetflixにて世界独占配信がスタートしました。

主人公”わたし”には『シンデレラ』『イエスタデイ』のリリー・ジェームズ、妻を亡くし傷心する富豪マキシム・ド・ウィンターには、『君の名前で僕を呼んで』『ナイル殺人事件』のアーミー・ハマー。そして、家政婦のダンバーズ夫人役へは『危険なプロット』『イングリッシュ・ペイシェント』のクリスティン・スコット・トーマスが演じています。

ホッパー夫人の使用人として働くヒロインの若い女性と妻を亡くし傷心の旅に出ていた男が、モンテカルロで運命的な出会いを果たし恋に落ち結婚を決め、マンダレーにある豪華な屋敷に新妻として移り住むことになります。ですが次第に、亡くなった前妻レベッカのいないはずの存在に苦しめられていく…。

一見、意地悪な夫人に虐げられていた使用人がハンサムな富豪の男に見初められる、ロマンチックなシンデレララブストーリーかと思いきや、なんだか得体の知れない不安が押し寄せてくる心理サスペンスでもありジャンルがミックスされた面白さのある、話が進むにつれて目が離せなくなる作品となっています。

ダンヴァース夫人をはじめ数えきれないほどのメイドや広大なお屋敷から漂う不気味さに加えて至る所にレベッカの「R」の文字。もう存在しない姿でありながらも存在の大きすぎる今は亡きレベッカ。死んでも誰かの記憶の中で生き続ける、人間の怨念や愛憎の物語であり、純粋無垢で無知だった”わたし”がラストに見せる表情や、主人公の彼女に名前がないのも、姿が一切見えないもののタイトルになっている前妻の名前も、まるで全てにおいて『レベッカ』という解けない呪いにかかってしまったかのようでした。

白黒であったヒッチコック版に比べて、リメイク版はお屋敷のインテリアや美術品・衣装・景色とカラフルでゴージャスで映像美が印象的でした。全体的に見るとやはりゴシックホラーのような雰囲気もあり全てが鮮明ではないからこそフレーム外への想像力も働き、よりレベッカを感じるミステリー色の強さもあるヒッチコック版が好みでした。

ヒッチコック版、リメイク版、どちらもそれぞれの楽しみ方ができる素晴らしいサスペンスなので、見比べてみるのもまた面白いかも知れません。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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テラシマユウカ

テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイ の4人からなるアイドルグループ、PARADISESのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、2020年4月からはグループが分裂。PARADISESのメンバーとして活動中。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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