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StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

先日、11月20日でStoryWriterさんにて週一映画コラムを連載開始してから2年が経ちました。

気付かぬうちにご紹介した作品数はすっかり100を超え、ライヴやレッスン終わり深夜に急いで映画館へと駆け込みギリギリで連載を書いていた思い出や、映画館が閉まってしまい困り果てていたコロナ禍での状況など色々と蘇ってきます。。

継続というものが苦手な私ですが、これからも大好きな映画に触れ少しでも多くの方に素晴らしい作品を共有できるよう精進し続けていきたいと思います。

欲を言えば、コラムとはまた別の角度から映画と関われるといいな…… なんて思ったりしています。

拙い文章ながらも、読んでくださっている皆さんには感謝しかありません。今後とも何卒よろしくお願い致します!

Vol.75『エイブのキッチンストーリー』

☆3.7/☆5.0点中

公式サイト:https://abe-movie.jp/

 

ブルックリン生まれのエイブは、イスラエル系の母とパレスチナ系の父を持つ。文化や宗教の違いから対立する家族に悩まされるなか、料理を作ることが唯一の心の拠りどころだった。誰からも理解されないと感じていたある日、世界各地の味を掛け合わせて「フュージョン料理」を作るブラジル人シェフのチコと出会う。フュージョン料理を自身の複雑な背景と重ね合わせたエイブは、自分にしか作れない料理で家族を一つにしようと決意する。果たしてエイブは、家族の絆を取り戻すことができるのかー?

 

本作にて映画初主演を飾るのは、Netflixオリジナルシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」ウィル役で一躍脚光を浴びたノア・シュナップ。

イスラエル系ユダヤ人の母とパレスチナ系ムスリムの父と暮らす料理が大好きな12才の少年を等身大に愛らしく感情豊かに演じ、文化や宗教の違いから対立する家族に悩まされながらも、世界各地の味をかけ合わせ、”フュージョン料理”と出会ったことで、自分にしか作れない料理で家族の絆を取り戻そうと奮闘していく姿が描かれています。

エイブに大きな影響を与えるフュージョン料理のレストランを経営するブラジル人シェフを演じるのは、ミュージシャン&俳優のセウ・ジョルジ。監督はブラジル人のフェルナンド・グロスタイン・アンドラーデ。本作は監督自身の半生をベースに心がほっこり温まる感動作を描き出しました。

親族集めての食卓では、結局政治や宗教に絡んだ口論が絶えなくなってしまい、互いが自分側の文化圏選ぶように呼び掛けてくる。そんな親戚同士を食べ物で融合させようとそれぞれの国の代表料理をリサーチしてご馳走を作りますが、誕生日でさえ、せっかく作ったケーキに誰も手をつけない。エイブの気持ちや複雑な環境を思うと心苦しくなってしまいますが、好きなことにひたむきに自分らしく健気に生きていこうとするエイブが宗教の垣根を越えて繋いだ絆には胸を打たれました。

料理映画といえば『シェフ 三つ星フードトラック始めました』が印象深いですが、それに宗教問題をプラスしたような、家族内の物語でありながらも根強い問題である宗教観対立や多様性が進む現代社会を映し出した、宗教文化が比較的馴染みのない我々日本人にも分かりやすく勉強になる作品です。

何よりも醍醐味である料理の描写が美しく、思わず料理がしたいと衝動に駆られてしまう。かつ、起承転結が簡潔でテンポよく85分にすっきりとまとめられています。

ルーツの違う人間と理解し合うには互いに何が必要なのか。人と人との繋がりの温かさ。

2020年を生きる私達にとって大切なものが描かれているのかもしれません。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.1 『ハウス・ジャック・ビルト』
Vol.2『ピアッシング』
Vol.3『凪待ち』
Vol.4『Diner ダイナー』
Vol.5 『劇場版 Free!-Road to the world-夢』
Vol.6『トイ・ストーリー4』
Vol.7『チャイルド・プレイ』
Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
Vol.9『存在のない子供たち』
Vol.10『永遠に僕のもの』
Vol.11『ゴーストランドの惨劇』
Vol.12『惡の華』
Vol.13『アス』
Vol.14『人間失格 太宰治と3人の女たち』
Vol.15『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
Vol.16『アナベル 死霊博物館』
Vol.17『JOKER』
Vol.18『クロール-凶暴領域-』
Vol.19『ボーダー 二つの世界』
Vol.20『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』
Vol.21『マチネの終わりに』
Vol.22『グレタ GRETA』
Vol.23『テッド・バンディ』
Vol.24『ドクター・スリープ』
Vol.25『マリッジ・ストーリー』
Vol.26『カツベン!』
Vol.27『ラスト・クリスマス』
Vol.28『屍人荘の殺人』
Vol.29『パラサイト 半地下の家族』
Vol.30『シライサン』
Vol.31『ペット・セメタリー』
Vol.32『ジョジョ・ラビット』
Vol.33『his』
Vol.34『犬鳴村』
Vol.35『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
Vol.36『ミッドサマー』
Vol.37『架空OL日記』
Vol.38『スキャンダル』
Vol.39『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』
Vol.40『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
Vol.41『デッド・ドント・ダイ』
Vol.42『青色映画ポスター特集』
Vol.43『MyFrenchFilmFestival フランスショートフィルム特集』
Vol.44『邦画特集』
Vol.45『エズラ・ミラー特集』
Vol.46『エディ・レッドメイン特集』
Vol.47『眠れない夜にみたい映画』
Vol.48『トラウマ映画特集』
Vol.49『ゴシック映画特集』
Vol.50『映画と音楽』
Vol.51『ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷』
Vol.52『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
Vol.53『アングスト/不安』
Vol.54『ANNA/アナ』
Vol.55『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』
Vol.56『透明人間』
Vol.57『ダークナイト』
Vol.58『劇場』
Vol.59『海底47m 古代マヤの死の迷宮』
Vol.60『ダンケルク』
Vol.61『ハニーボーイ』
Vol.62『インセプション』
Vol.63『ようこそ映画音響の世界へ』
Vol.64『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』
Vol.65『インターステラー』
Vol.66『TENET テネット』
Vol.67『エノーラ・ホームズの事件簿』
Vol.68『ミッドナイトスワン』
Vol.69『悪魔はいつもそこに』
Vol.70『マティアス&マキシム』
Vol.71『シカゴ7裁判』
Vol.72『レベッカ』
Vol.73『ザ・ハント』
Vol.74『THE CAVE サッカー少年救出までの18日間』

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テラシマユウカ

テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイ の4人からなるアイドルグループ、PARADISESのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、2020年4月からはグループが分裂。PARADISESのメンバーとして活動中。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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