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StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

先日、オープンしたばかりの渋谷のIKEAに行ってみたのですが、ああいうインテリアショップって時間を忘れて必要でもない家具や雑貨を見て回って執拗に居座り続けてしまいますよね。

最近は引っ越す気もないのに、サイトで色んな物件を検索して間取りを見てどこにどう家具を置くのがいいかなど、たまに妄想する時間が好きだったりします。

今の家は壁一面に収納があり棚など置く必要もないので家具が割と少なめでシンプルで気に入ってるのですが、色んな場所に住む想像を膨らませるのって楽しいですよね。

子供の頃に引っ越しを多く経験してきたので、ためにそんな欲求が湧いてきたりします。

Vol.82『ヒッチャー ニューマスター版』

☆4.2/☆5.0点中

公式サイト:https://www.tc-ent.co.jp/sp/hitcher-hd/

 

その男に出会ったが最期、
運命は恐怖へとひた走る。

シカゴからサンディエゴへの砂漠地帯。陸送の仕事をしていたジム・ハルジーは、ある嵐の夜に1人のヒッチハイカーを車に乗せる。しかし、ジョン・ライダーと名乗るその男はハンドルを握るジムの喉にナイフを突きつけ「俺を止めてみろ」と脅し始める。ジョンは恐ろしい連続殺人鬼だったのだ。一瞬の隙を見て、何とか彼を車から突き落としたジムだったが、それは恐怖の始まりに過ぎなかった。何度でも執拗に襲いくるジョン・ライダー。警察や協力者でウェイトレスのナッシュを巻き込んで事態は悪化していく……。

 

2019年7月に75歳でこの世を去った名優ルトガー・ハウアー。クリストファー・ノーラン、J・Jエイブラムスも絶賛する彼の代表作であり、アメリカ全土にトラウマを植え付ける事となった殺人鬼を怪演した『ヒッチャー』(1986年公開)が、公開から35年の時を経た2021年に『ヒッチャー ニューマスター版』として鮮やかに蘇る。HDリマスター化されたニューマスターでの劇場公開は日本が世界初となります。

ヒッチャーを拾ったばかりに殺人鬼の標的となった主人公ジムには「アウトサイダー」にて主役に抜擢されたC・トーマス・ハウエル、ドライブイン店員のナッシュ役は「ヘイトフル・エイト」のジェニファー・ジェイソン・リーが演じています。

主人公は数多の殺害された人々と同じ手口によってヒッチャーに襲われますが、機転により一命を取りとめます。ですがそこで終わりではなく、逃げても逃げてもヒッチハイクを続けて地獄の果てまでひたすら付き纏い続け、直接的に主人公の命を狙うわけでもなく彼の周りで次々と殺人を犯し続け、長く執拗に恐怖と絶望へと陥れ遊んでいく。

この作品において、殺人鬼ヒッチャーを演じたルドガー・ハウアーの存在感が圧巻であり、最大の魅力ともいえます。

彼の行動の目的は一切不明であり、人間味を感じさせず自分のことも語らず心情も見えない。GPSをつけているのかと思うほど神出鬼没にジムの前に立ちはだかり、異様に付き纏う様は殺人を犯しながらも何処かで自分を殺してくれる互角の存在を探し求め、ジムを追い詰めることによってそんな存在へと育て上げようとしているかのよう。

次第にどこにでも居そうな平凡な青年だった彼は追い詰められ続け変貌を遂げ、ラストの鬼気迫る表情と鋭い眼光をしたジムとヒッチャーの正面からの対決シーンには痺れること間違いなし。

HDリマスター化され鮮やかに現代へと蘇った、狂気に満ちた死の追跡劇。

初っ端から最後までギア全開の緩むことない恐怖と絶望を是非劇場で。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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テラシマユウカ

テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイ の4人からなるアイドルグループ、PARADISESのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、2020年4月からはグループが分裂。PARADISESのメンバーとして活動中。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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