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StoryWriter

新しいことが始まる瞬間って言葉に表現できないような、血管がゾクゾクする感覚が襲ってきてたまらなくなりますよね。

私の所属するグループPARADISESに新メンバーが加入し、いよいよ始動。何かが生まれる瞬間はたった1回きりで、不安と期待に入り混じる感情になる。そんな経験をさせてもらう度に刺激を求め続けて生きていきたいと願ってしまいます。

今週はそんな刺激を求める人へぴったりな、危ない感覚に脳内が侵食されていくような魅惑的な映画をご紹介します。

Vol.85『ダニエル』

☆4.3/☆5.0点中

公式サイト:https://danielmovie.jp/

 

両親の離婚により孤独な幼少期を過ごしていたルーク。唯一の心の支えは、自分以外には見えない“空想上の親友”ダニエルだった。しかし、ある事件によって母親からダニエルと遊ぶことを禁じられたルークは、自ら彼を封印することに。時は経ちルークは大学生になるが、際立った才能もなく人付き合いも苦手なことから、鬱屈とした日々を送っていた。加えて精神病を患っていた母親の症状が悪化し、自分も同じようになるのではと不安が高まっていく。ある日カウンセラーに悩みを打ち明けたルークは、かつての“空想上の親友”の存在が助けになる可能性を助言され、長年封印していたダニエルを呼び起こす。再会から瞬く間に友情を取り戻す二人。内気で冴えないルークとは異なり、美しく自信に満ち溢れた青年の姿で現れたダニエルは、「僕は君の一部だ」と優しく寄り添い、力強く刺激的な言葉でルークの背中を押し続ける。彼の言う通りにすれば何もかもうまくいき、やがてルークの生活は一変。大学の授業も魅力的な女性とのデートも順調に進み、自信をつけたルークは別人のように成長するが、同時にダニエルを必要としなくなっていく。しかしダニエルはそばを離れようとせず、次第にルークの心身を支配しようと“侵食”を開始する。眠るルークの口元をゆっくりとこじ開けるダニエル、日に日に自分が自分でなくなっていく感覚に怯えるルーク。どんなに叫んでも傍らで不敵に笑うだけの“親友”が、ルークを極限状態まで追い込んでいく─。果たしてダニエルとは、一体何者なのか?

 

内気で繊細な青年ルークと、彼が空想上の親友として生み出したカリスマ性溢れる美少年ダニエル、両極端なふたりの妖しくも美しい関係性を描いたイマジナリー×スリラー。

制作を手掛けるのは、『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』シリーズなど、世界的人気を誇るイライジャ・ウッド。

そして主人公であるふたりの青年を演じたのは、ハリウッドを代表する若き二世俳優たち。

ルーク役には『ショーシャンクの空に』のティム・ロビンスと『テルマ&ルイーズ』のスーザン・サランドンの息子、マイルズ・ロビンス。内気で繊細な性格からダニエルに翻弄され次第に想定外の方向へと変貌を遂げていく様子を熱演し、今作が初主演映画でありながら第52回シッチェス・カタロニア国際映画祭で男優賞を受賞しました。

一方、ダニエル役にはアーノルド・シュワルツェネッガーの息子であるパトリック・シュワルツェネッガー。父親シュワちゃんの面影を感じさせながらも、端正なルックスと美しくも狂った妖艶さを纏う謎多き空想上の親友役に、気づけば観客の視線は釘付けに。

日本版ポスターから受ける印象を盛大に裏切ってくる作品であり、青年2人の美しき友情物語かと思いきや、異色なサイコスリラーの世界へと誘われていく。孤独や不安、心に抱える闇をルークとダニエルの関係性によって具現化し、狂気と耽美に描かれる世界観はラストまで展開が読めず衝撃の連続です。

前半では、消極的なルークの人生を良い方向へと導いてくれる親友であったダニエルが、ルークの心の闇に次第に侵食・支配していく中での変貌ぶりは圧巻であり、ふたりの熱演が光った、今後の活躍に期待の高まる作品でした。

魅惑的で独創的な危険すぎる狂乱なイマジナリー×スリラー。映画『ダニエル』2月5日(金)より公開です。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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テラシマユウカ

テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイ の4人からなるアイドルグループ、PARADISESのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、2020年4月からはグループが分裂。PARADISESのメンバーとして活動中。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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