夜更かしすることで有名な私ですが、ここ3、4日ほど日付が変わる前には寝て7時前には起きるという生活を続けています。
こんにちは、テラシマユウカです。
そういう生活リズムをしていると日常にあった無意識の無駄なものを削ぎ落としてる感じがして、健康的なのはいいことですが、なんだかもったいない気もしてしまっています。
1日24時間、過ごし方によって全然見え方が変わっていくのはおもしろいな〜と思うので色んな日常の時間の使い方を試し続けてみたいものです。
Vol.89『ベイビーティース』
☆4.1/☆5.0点中
公式サイト:https://babyteeth.jp/
病を抱える16歳の女子高生ミラ(エリザ・スカンレン)は、ふとしたことから孤独な不良青年モーゼス(トビー・ウォレス)と出会い、恋に落ちる。両親のアナ(エシー・デイヴィス)とヘンリー(ベン・メンデルソーン)は、ミラの初めての恋を心配し猛反対するが、ミラは怖いもの知らずで自分を特別扱いせずに接してくれるモーゼスに惹かれ、彼との刺激的でカラフルに色づいた日々を駆け抜けていく―しかし……。
恋をして、命を謳歌し、刹那的に今を生きるミラ、不器用ながらもミラを優しく包み込むモーゼス、ただただ愛する娘を想う両親。胸が張りさけるほど愛おしい、モーメント・ラブストーリー。
前衛的な世界観で少女の最初で最後の恋をヴィヴィッドに描き出し、2020年注目すべき10人の監督にも選出されたシャノン・マーフィ監督長編デビュー作。
主人公ミラ役には『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』で三女を演じ、注目を集めた新星エリザ・スカンレン。モーゼス役には、本作でヴェネチア国際映画祭最優秀新人賞を受賞したブレイク必至のトビー・ウォレス。両親役はオーストラリアを代表する俳優エシー・デイヴィス、ベン・メンデルソーンの2人が務めています。
ティーン × 難病といったポピュラーな重い題材となっていますが、「死」という結末を悲観しすぎておらず、ただのお涙頂戴映画ではありませんでした。
映像の鮮やかさは言わずもがな美しく、日常の切り抜き方はまるでミュージックビデオを見てるかの様で、音楽も素晴らしい。
物語はユニークで不思議な構成で仕上がっており、エピソードごとにタイトルがつけられていて、ミラとモーゼス出会ってからの日々をいくつかのチャプターに分けて描き出しています。
2人の恋が成就する過程や、ミラが末期がんに侵されていて余命もあまり長くないということも設定としてあるのにも関わらず、病気の詳細については作品内でほぼ触れられていません。
ミラにとってモーゼスへの恋は最初で最後の恋であり、ミラ自身言葉にしなくとも自分の死期が近いことの予感は終始感じていますが、モーゼスと出会ったことによって窮屈だった生活が一変し、今を自分らしく生きることの喜びを知り、危なっかしさを纏いながら駆け足で大人への階段を駆け上がっていく様子は刺激的であり、命を燃やすことや生きる意味を深く考えさせられる時間でもあります。
また、エピソードごとにタイトルがつけられて断片的に分けられた物語の構成になっている分、ミラとモーゼスと両親以外の妊婦さんなどの人物がなぜ登場するのか中盤まで特に意味が無いように映し出されていきます。ですが後半、ミラの誕生日パーティーに登場人物たちが集まるエピソードがあることによってその意味が発揮され、”生”と”死”、”孤独”と”家族”色んな糸が繋がっていくのもこの作品のポイント。
そして、タイトル『ベイビーティース』にもある通り、ミラは既に16歳ですがまだ生え替わっていない乳歯がひとつあり、それはまるで両親から過保護に守られてきたミラ自身を表したかのよう。
その乳歯が抜けた時、彼女は何を感じどのように変化したのか? モーゼスとミラの愛の行方は? モーゼスに最期を託したミラの真意とは?
そして、孤独を抱えたモーゼスと壊れそうになりながらも必死にミラに寄り添うアナとヘンリー。
観賞後に残るじんわりとした心のあたたかさと喪失感。どちらの感情も愛おしく抱きしめたくなる様な作品です。
Spotifyにて『ベイビーティース』プレイリストも公開されているので、観賞後に余韻に浸る時間もじっくり堪能できるようになっています。
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テラシマユウカ
テラシマユウカ、月ノウサギ、