こんにちは、テラシマユウカです。
弾けるような青春の爽やかさに満ち溢れたハッピーエンドに向かっていく恋愛映画は、自分の経験上共感性が低く、夢物語のまばゆい輝きに目がつぶれそうになってしまいます。
「(500)日のサマー」や「マリッジブルー」など、終わりに向かっていくような恋愛映画がとても好みなのですが、この頃話題のこちらの作品は似たような空気感をほんのりと感じ、気付けば劇場で胸を締め付けられ涙を堪えている自分が居ました。
Vol.90『花束みたいな恋をした』
☆4.1/☆5.0点中
公式サイト:https://babyteeth.jp/
東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことから偶然に出会った山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)。好きな音楽や映画が嘘みたいに一緒で、あっという間に恋に落ちた麦と絹は、大学を卒業してフリーターをしながら同棲を始める。近所にお気に入りのパン屋を見つけて、拾った猫に二人で名前をつけて、渋谷パルコが閉店しても、スマスマが最終回を迎えても、日々の現状維持を目標に二人は就職活動を続けるが…。まばゆいほどの煌めきと、胸を締め付ける切なさに包まれた〈恋する月日のすべて〉を、唯一無二の言葉で紡ぐ忘れられない5年間。最高峰のスタッフとキャストが贈る、不滅のラブストーリー誕生! ──これはきっと、私たちの物語。
『東京ラブストーリー』『Mother』『最高の離婚』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』『カルテット』など、心を掴む数多くのヒットドラマを手掛けてきた脚本家・坂元裕二が、2020年の東京を舞台に、今を生きるすべての人へ贈るため書き下ろした最新作。
監督を担うのは、『罪の声』『いま、会いにゆきます』『ハナミズキ』などの土井裕泰。ドラマ『カルテット』で坂元裕二と組んで以来、映画では初タッグとなります。
俳優の菅田将暉と有村架純がW主演を務め、終電を逃したことから偶然に出会った大学生の山音麦と八谷絹の5年間を細やかに映し出した今作。
一組のカップルが出会ってから別れるまでのごくありふれた物語。身近に感じられるのに特別でもある。
恋人が現在進行形でいる人も、家庭を持つ人も、独り身の人も、きっと多くの人が経験したことがあるであろう、若き日のときめきや純粋さ、胸が締め付けられる恋愛模様に共感する方も多いのではないでしょうか。そんな経験のない方でも他人事とは思えず、全ての出来事や感情、言葉ひとつひとつが理解できてしまう、心がぎゅっとなる瞬間の多い作品です。
大学を卒業し、フリーターを経て就職。就職後の仕事に対しての向き合い方、趣味や価値観の変化とズレ。好きなことだけでは生きていけない現実と、やりたいことやって生きたいという想い、お互いの歯車が噛み合わなくなるもどかしさがどちら側の気持ちも分かるからこそ、より一層もどかしくて堪らなくなってしまいます。
付き合いたての麦と絹が海でデートをするシーンで、幸せの絶頂をただただ楽しむ麦と、今が「絶頂であり、恋の終わりが始まった」と感じる絹。対照的に映し出される2人の姿が未来を予感させてくれる。
あなたにとって恋とは、どんな花束でしょうか?
1番美しい瞬間を切り取った花束。
出会った時には最上級に咲き誇って完成していて、いつまでもそうあってほしいのに終わりへと歩いていく。
枯れていく様にも美しさを見出せるのならば、もしかするとまた違った恋になるのかも知れません。
観るものの記憶をくすぐり、甘さと苦さの混じった”あの頃”を思い出させてくれる。日記を1ページずつめくっているかの様な、ありのままの等身大がつまった一作です。
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テラシマユウカ
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