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StoryWriter

先日ハムスターを家族に迎え、心の潤いが満たされまくっています。

こんにちは、テラシマユウカです。

一人暮らしを初めて早4年が過ぎ、金縛りにあった時を除いて家で自分以外の気配を感じることもなかったのですが、最近は毎晩電気を消し暗闇の中で静かにハムスターの物音を感じる瞬間が幸せでたまりません。

こんなにも自分以外の生きた存在を感じることって心の拠り所になるんだということを日々実感しています。

まだ名前は決めていないのですが、ただ幸せに長生きしてほしいなぁという気持ちです。

きっとこれから私のTwitterにはハムスターの写真ばかりアップされることでしょう……。

Vol.94『BLUE/ブルー』

☆4.3/☆5.0点中

公式サイト:https://phantom-film.com/blue/

 

誰よりもボクシングを愛する瓜田は、どれだけ努力しても負け続き。一方、ライバルで後輩の小川は抜群の才能とセンスで日本チャンピオン目前、瓜田の幼馴染の千佳とも結婚を控えていた。千佳は瓜田にとって初恋の人であり、この世界へ導いてくれた人。強さも、恋も、瓜田が欲しい物は全部小川が手に入れた。それでも瓜田はひたむきに努力し夢へ挑戦し続ける。しかし、ある出来事をきっかけに、瓜田は抱え続けてきた想いを二人の前で吐き出し、彼らの関係が変わり始めるー。

 

『ヒメアノ~ル』『愛しのアイリーン』『犬猿』など、人間の影の部分や痛々しくもリアルな生き様を表現し続けてきた田恵輔監督が、厳しい勝負の世界でボクシングの挑戦者を象徴する”青コーナー”で戦い続ける者たちの生き様を、監督が脚本に8年もの構想期間をかけ、自身で殺陣指導も行って描き出した一作。

中学生の頃から約30年間ボクシングジムに通い続けてきた監督が、東京・吉祥寺のジムで出会った一日中ジムにいるが才能は開花せず、絵に描いたようないい人だったが、ある日を境にジムに来なくなったという、実在するひとりのボクサーをモデルとしたそうです。

誰よりも練習にストイックに向き合い情熱を注ぐも、才能が無く勝つことができない瓜田。瓜田に対してセンスと才能で勝ち上がりチャンピオン目前の後輩小川。瓜田の初恋の相手であり小川の婚約者でもある、2人を見守る千佳。好きな子のために始めたボクシングに次第にのめり込んでいく新人の楢崎。

不安と葛藤、平凡と非凡、憧れと嫉妬、友情と恋。ボクシングと4者4様の登場人物が織り成すそれぞれの生き様は、何かに情熱を捧げ挑もうとしたことのある人々が人生で一度は経験したことのあるであろう複雑な思いを投影せずにはいられません。

瓜田演じる松山ケンイチさんの後ろ姿が印象的に映し出されており、ラストシーンでの背中で彼は一体何を語り、自分自身が何を感じとるのか。

試合で勝敗をつけられ、どれだけ周囲から情けなくかっこ悪く見られようが何かを抱えつつ挑み続ける生き様は羨ましくも思え、勝ち負けを超越した内に秘めたる強さと優しさは、目に見えずとも確固たる存在として観る者の眠っていた胸の奥の想いを思い出さされ、魂を震わせてくれる。

作品を観てから時間が経てば経つほどにその深みを噛み締めることになり、エンドロールが流れてもまだ挑戦は続いていく様な終わり方に、この先の物語の続きは自分自身が描いていくものだと、まるで静かに燃え上がる”ブルー”の炎の様な作品でした。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.1 『ハウス・ジャック・ビルト』
Vol.2『ピアッシング』
Vol.3『凪待ち』
Vol.4『Diner ダイナー』
Vol.5 『劇場版 Free!-Road to the world-夢』
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Vol.7『チャイルド・プレイ』
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Vol.9『存在のない子供たち』
Vol.10『永遠に僕のもの』
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Vol.39『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』
Vol.40『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
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Vol.55『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』
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Vol.75『エイブのキッチンストーリー』
Vol.76『オン・ザ・ロック』
Vol.77『ザ・コール』
Vol.78『ザ・プロム』
Vol.79『ワンダーウーマン 1984』
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Vol.81『Swallow/スワロウ』
Vol.82『ヒッチャー ニューマスター版』
Vol.83『恋する遊園地』
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Vol.90『花束みたいな恋をした』
Vol.91『ビバリウム』
Vol.92『ガンズ・アキンボ』
Vol.93『トムとジェリー』

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テラシマユウカ

テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイ の4人からなるアイドルグループ、PARADISESのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、2020年4月からはグループが分裂。PARADISESのメンバーとして活動中。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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