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テラシマユウカの映画コラムVol.101『くれなずめ』

StoryWriter

皆さんにとっての青春ってなんでしょうか?

学生時代、当時は自分全然青春してないな〜なんて思っていたことも、数年経って振り返ってみるとなんだかキラキラしててあの頃にしか味わえない馬鹿馬鹿しいけどかけがえのない青春が確かにあった気がします。

5/22、GANG PARADEとして1年ぶりのライブがありカミヤサキとパフォーマンスする時間は最後となったのですが、苦楽を一緒に過ごした約4年間、どんな瞬間を切り取っても最高の青春でした。ふと振り返ったときにキラキラした記憶が溢れてくる日々をこれからも作り出していきたいなと思います。

今週はそんな、青春の一ページをふと思い返してめくるような作品をご紹介します。

Vol.101『くれなずめ』

☆3.9/☆5.0点中

公式サイト:https://kurenazume.com/

 

ある日突然、友人が死んだ。
僕らはそれを認めなかった。

優柔不断だが心優しい吉尾(成田凌)、劇団を主宰する欽一(高良健吾)と役者の明石(若葉竜也)、既婚者となったソース(浜野謙太)、会社員で後輩気質の大成(藤原季節)、唯一地元に残ってネジ工場で働くネジ(目次立樹)、高校時代の帰宅部仲間がアラサーを迎えた今、久しぶりに友人の結婚式で再会した! 満を辞して用意した余興はかつて文化祭で披露した赤フンダンス。赤いフンドシ一丁で踊る。恥ずかしい。でも新郎新婦のために一世一代のダンスを踊ってみせよう!!

そして迎えた披露宴。……終わった ……だだスベりで終わった。こんな気持ちのまま、二次会までは3時間。長い、長すぎる。そして誰からともなく、学生時代に思いをはせる。でも思い出すのは、しょーもないことばかり。

「それにしても吉尾、お前ほんとに変わってねーよななんでそんなに変わらねーんだ? まいっか、どうでも」

そう、僕らは認めなかった、ある日突然、友人が死んだことを─。

 

映画『アズミ・ハルコは行方不明』、『私たちのハァハァ』、『君が君で君だ』など、独創性のある作品を数々手掛けてきた松居大悟監督の実体験を基に描いた舞台を映画化。

成田凌が主演を務め、高良健吾、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹、など実力派の個性豊かなキャスト陣が共演しており、見応え抜群です。

この物語は、結婚式の披露宴と二次会の間に起こる短いお話。高校の同級生だった6人は、5年ぶりに友人の結婚式の為再開を果たし、披露宴と二次会の間の3時間の待ち時間で、この5年間の過去に想いを馳せ、6人の認めたくても認められない”今”と向き合うことになります。

予告映像にも描かれている、吉尾役の成田凌さんの「ずっと気になってたんだけど、もしかして俺って死んでる……?」という台詞。

普通に姿が見え、話し、笑い合っていたようで、ずっと目を背け続けてきた友の死への寂しい思い。

大人になってふと思い出す、大切な仲間と馬鹿騒ぎして、ぶつかって、悩んだ青春のあの頃の記憶は時間が経っても色褪せない宝物のような日々ばかりで。

ただの男たちの青春映画かと思いきや意味深な台詞から見方が一変し、青春の回想シーンでは泣いて笑ってバカしてもう何も説明できない世界観へと連れていかれるファンタジーっぽさも含まれており、友達を亡くしたという喪失感や大人になるにつれての葛藤、吉尾だけ過去の人だったんだという細かい仕掛けまで全部が胸が熱くなり最後の最後まで目が離せなくなる。

時間が経って変わっていくものと変わらないもの、変えたくて変えられなかったもの。

「お前なんて生きてても死んでても同じなんだよ」

という言葉が印象的に残っており、大切な友達が死んだからといって過去の思い出や関係性は変わるものなんてなくって、良いことも悪いことも全部の思い出から、引きずることから逃げるんじゃないと、この一言がとても説得力を持っていました。

最高に馬鹿馬鹿しくて泥臭い、青春の一ページ。ウルフルズの「それが答えだ!」をまた聴いて、自らの青春の記憶に浸りたくなるような作品です。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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テラシマユウカ

テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイ 、ウタウウタ、キャ・ノンからなるアイドルグループ、PARADISESのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、2020年4月からはグループが分裂。PARADISESのメンバーとして活動中。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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