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StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

そろそろ2021年も半分が終わろうとしているこの頃ですが、夏に向かうにつれてホラー作品を観る頻度が高まってきています。

ずっと楽しみに待っていた『RUN/ラン』や『クワイエット・プレイス』がついに公開となり、更には7月に公開を控える『ライトハウス』を記念して『ウィッチ』『ミッドサマー』も再上映される映画館もあるそうでワクワクが止まりません。

私の好きなホラーシリーズである死霊館の新作は10月とまだ先にはなるのですが、夜な夜な更新される公式Twitterの予告映像を見ては妄想を膨らませる嬉しい日々を送っています。

ソウシリーズも9作目となる続編が公開されるとのことで、なんだかんだでしっかりと観たことがないことに気づいたので公開までに準備をそろそろ始めていきたいと思います。

Vol.105『RUN/ラン』

☆4.0/☆5.0点中

公式サイト:https://run-movie.jp/

 

郊外の一軒家で暮らすクロエは、生まれつき慢性の病気を患い、車椅子生活を余儀なくされている。しかし常に前向きで好奇心旺盛な彼女は、地元の大学進学を望み自立しようとしていた。そんなある日、クロエは自分の体調や食事を管理し、進学の夢も後押ししてくれている母親ダイアンに不信感を抱き始める。ダイアンが新しい薬と称して差し出す緑のカプセル。クロエの懸命の調査により、それは決して人間が服用してはならない薬だった。なぜ最愛の娘に嘘をつき、危険な薬を飲ませるのか。そこには恐ろしい真実が隠されていた。ついにクロエは母親から逃れようと脱出を試みるが……。

 

『search/サーチ』を手掛け、新世代スリラーの旗手となったアニーシュ・チャガンティ監督・製作チームによる監禁サイコ・スリラー。

前作ではPCやスマホの画面上だけで物語が展開する斬新な映像スタイルが特徴でしたが、今作の主人公は前作と真逆のインターネットに一切接続できない状況。

ひっそりと潜んでいた娘への歪んだ愛が狂気へと変貌していく母親と、知識をフル稼働し逃げようとする車椅子の娘が展開する濃密な心理戦が繰り広げられてゆきます。

幸せな家庭のはずが緑色の錠剤により一気に急展開。不自由な身体、田舎の一軒家、ネットを全て断たれ、外部とは遮断された逃げ場を許さない状況は常に不穏な空気を作り上げており、オーソドックスで単純明快なストーリーに程よい緊張感と90分というコンパクトさにまとめられています。切羽詰まった状況で娘のクロエがいかにして知恵を働かせどういう行動をとるか、興味深く見応えがあり、徐々に明らかにされていく衝撃と絶望の真実に震えあがらせられる、上質なサスペンスです。

ストーリーだけでなく母娘共にキャスト陣の演技が素晴らしく、母親役のサラ・ポールソンによる娘に歪んだ異常な愛を注ぐ執念深い愛の恐ろしさ。そして、オーディションによって抜擢され実生活でも車椅子で生活しているヒロイン役のキーラ・アレンの絶望と対峙しながらの必死な演技は圧巻です。

また、今作では母と娘の恐ろしい心理戦が大筋として描かれている中にダイアンとクロエの歪んだ危険な関係性が見え隠れしていました。

ダイアンがシャワーを浴びるシーンで背中に古い切り傷があり、過去に虐待を受けていたであろう描写が施されており、ダイアン自身が母になり自分が受けた行為を娘に繰り返してしまう。そして、衝撃的なラストシーンでのクロエの行動もまた母親に対象を向けており、お互いに執着し続け虐待が連鎖していく様を連想させ、クロエに子どもができた時にはまた同じことが起きてしまうのではないかと、観客に恐ろしい未来を描かせて更に恐怖を煽る展開となっていました。

怖すぎないけれど十分に恐ろしさが詰まっている、歯切れの良い質の高いサイコスリラーです。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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テラシマユウカ

テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイ 、ウタウウタ、キャ・ノンからなるアイドルグループ、PARADISESのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、2020年4月からはグループが分裂。PARADISESのメンバーとして活動中。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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