こんにちは、テラシマユウカです。
ジリジリと照りつける太陽が痛いくらい暑く眩しい季節がやってきましたが、今年はなんとか日焼け止めを塗らずに夏を乗り切りたい気持ちでいます。
日焼け止め独特の塗り心地が苦手で、日焼け対策の飲み薬を今年から始めてみました。唯一、クレ・ド・ポーの日焼け止めクリームだけ塗り心地が良くて野外で仕事がある時のみ使っているのですが、良いやつなのでちょっとずつだけ使っています。
ご時世柄もあり外にいる時間は短くなってきましたが、その分夏に負けやすくなっているので体調諸々気をつけていきたいものです。
Vol.110『17歳の瞳に映る世界』
☆4.4/☆5.0点中
公式サイト：https://17hitomi-movie.jp/
ペンシルベニア州に住むオータムは、愛想がなく、友達も少ない17歳の高校生。ある日、オータムは予期せず妊娠していたことを知る。ペンシルベニア州では未成年者は両親の同意がなければ中絶手術を受けることができない。同じスーパーでアルバイトをしている、いとこであり唯一の親友スカイラーは、オータムの異変に気づき、ふたりで事態を解決するため、ニューヨークへ向かう……。
家に居場所はなく、家族ともほとんど口を聞かない。学校にも友達はいない。そんな17歳のオータムがある日妊娠していることが判明し、未成年でも中絶に両親の承諾が必要のないニューヨークに唯一の心を開ける存在のいとこスカイラーと共に向かうところから物語が始まる、少女ふたりの中絶手術をするまでの数日間を描いたロードムービー。
17歳の少女がただ中絶をするというだけの淡々としたストーリーですが、その中での揺れ動く心境を繊細に描写しており、終始無口で無表情な主人公から彼女の苦悩が痛いほどストレートに突き刺さります。これほどまでにシンプルで多くを語らずともプロットで彼女たちの行方を釘付けにさせられる時間は、ため息がでるほど素晴らしいものでした。
オータムとスカイラーの演技は特筆すべき点であり、言葉での感情や状況説明は最小限に削られた中で、秀逸な演出や彼女たちの表情仕草から抱える不安や頼れず背負い込んでいるもの、理不尽さに対するもどかしさ、覚悟、大人びた表情もあれば年相応の子どもらしい姿もあったり。瞳には映らない表面上の部分だけではない細やかなひとつひとつに彼女たち自身が投影された演技に、次第に当事者意識が芽生えるほどのめり込んでいきます。
今作の原題である『Never Rarely Sometimes Always』。
これだけ見ると意味の分からない単語の羅列ですが、ストーリー上で最重要のワードとなっていました。
タイトルの意味が明かされるシーンの本編映像がYouTubeでも解禁となっていますが、オータムが中絶手術を受ける前にカウンセラーからの答えづらい質問が続く緊張感のあるワンカット長回しのこのシーンは、息を呑むほどに衝撃的であり、オータムの絞り出した答えとその隠された想いに、この物語の深さを思い知らされる、特に印象深いシーンとなっています。
『一度もない / めったにない / 時々 / いつも』
ただ直訳のままにタイトルにしても良かったんじゃないかと感じました。
“17歳の瞳に映る世界”を目の当たりにさせられるリアリティに溢れた作品。
ただ少女たちが中絶手術を受けに旅に出るだけの話としてしか瞳に映らなかった観客など存在しないであろう、胸を締め付ける苦しい現実とそこに生きる等身大の彼女たちを現代社会に生きる私たちへの問題提起として、見逃すことなく重く受け止め向き合うべきなのかもしれません。
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