こんにちは、テラシマユウカです。
絶賛ツアー中のPARADISESですが、ツアーファイナルの土地である北海道にむかうべく、成田空港での待ち時間にてこの記事を書いています。
夏休み期間中の三連休ながらも、ご時世柄か空港にはほぼ人がおらず、成田空港特有のだだっ広い手荷物預けカウンターが世界の終末のような重苦しい空気に包まれた空間になっており、まるで不思議の国に迷い込んだかのような感覚に陥りました。
数年前にMV撮影でハワイに行く際に訪れた、人に溢れた成田空港を思い出して、なんだか寂しさとあの頃の恋しさが入り混じり、かつての日常が戻ってきて欲しいと願わずにはいられませんでした。
Vol.112『日常対話』
☆4.1/☆5.0点中
公式サイト:https://www.smalltalktw.jp/
暴力を振るう夫から身を守るために、アヌはチェンとその妹を連れて家を逃げ出した。弔い業に対する世間の冷ややかな視線、そして周囲に隠すことなく「女性が好きな女性」として奔放に振る舞うアヌへの偏見。さらに娘たちよりも恋人を優先するアヌに、チェンは次第に不信感を募らせ、母娘関係はいつしか他人同士のように冷え切ってしまう。やがて自らも一児の母となったチェンは、家族の姿を映画に撮ることでアヌの本音を聞き出し、自分の秘密を打ち明ける決心をする。
アジア唯一の同性婚が合法化された国、台湾。
かつては父親を中心とした”家”を重んじる家父長制の保守的な社会であり、ジェンダー不平等が当たり前、多様性に不寛容だった時代から、2019年に同性婚合法化されたことにより次第に変化していった現在の価値観。
ひとつ屋根の下で母の作る料理以外に何の接点もなく赤の他人のように暮らす関係性の母。
本作のポスターにも書かれている
『カメラの前なら、「言える」「聞ける」こともある』
と、本作の監督であるホアン・フイチェンが一児の母になったことをきっかけに、ビデオカメラを通すことによって同性愛者である母とありのままに対話し、親戚など身近な人たちへのインタビューを通して、関係性を修復していく過程が収められた長編ドキュメンタリーとなっています。
親子関係という血の繋がりがあっても1人の人間を理解することへの難しさや重要さがありのままに描かれており、またそれだけではなく台湾社会のLGBTなどマイノリティの取り巻く環境や偏見、虐待、女性の生きづらさ、貧困などの問題にも触れられています。
自分のことを話したがらなかった母が口を開き、娘と向き合う。娘も秘めてきた思いを語り、母がどう受け止めていくのか。
決して他人事ではなく誰もが持つ親子関係というものに対して、母は近いようで遠くもある人であり、私は母の過去のことを知っているだろうか? 実は母親としての側面しか知らず、1人の人間としては知らないことの方が多いのかもしれない、と自分自身にとっての親子関係というものも改めて見つめ直すきっかけになるのではないでしょうか。
ドキュメンタリー映画『日常対話』、ポレポレ東中野にて上映中です。
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テラシマユウカ
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