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StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

海外に行きたいなぁ、とふと言葉を溢してしまう瞬間が最近はよくあります。

小さい頃はよく家族旅行で中国やマレーシアなどアジアの色んな国に遊びに行ったり、アイドルになってからもMV撮影で台湾やハワイに行かせてもらったりしたのですが、そういえばヨーロッパ圏には今まで一度も行ったことがない気がします。

子どもの頃からハリーポッターが好きでイギリスに憧れがあって、今でもイギリス・フランス映画を観ることが多くて画面越しに目にする街並みに魅了され続けているので、いつか行ってみたいなあ…と憧れがずっとあります。

よく映画でみる、あの、海外の煌びやかな映画館で映画を観るのが私の夢です。

今週はそんな、憧れの街に魅了される作品をご紹介します。

Vol.125『ラストナイト・イン・ソーホー』

☆4.5/☆5.0点中

公式サイト:https://lnis.jp/

 

ファッションデザイナーを夢見るエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)は、ロンドンのデザイン学校に入学する。しかし同級生たちとの寮生活に馴染めず、ソーホー地区の片隅で一人暮らしを始めることに。新居のアパートで眠りに着くと、夢の中で60年代のソーホーにいた。そこで歌手を夢見る魅惑的なサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)に出会うと、身体も感覚も彼女とシンクロしていく。夢の中の体験が現実にも影響を与え、充実した毎日を送れるようになったエロイーズは、タイムリープを繰り返していく。だがある日、夢の中でサンディが殺されるところを目撃してしまう。その日を境に現実で謎の亡霊が現れ始め、徐々に精神を蝕まれるエロイーズ。そんな中、サンディを殺した殺人鬼が現代にも生きている可能性に気づき、エロイーズはたった一人で事件の真相を追いかけるのだが……。
果たして、殺人鬼は一体誰なのか?そして亡霊の目的とは-!?

現代と過去、異なる時代の2人の女性。
夢と恐怖がシンクロする、
タイムリープ・サイコホラー。

2021年12月10日(金)より全国公開。

 

『ホット・ファズ』『ショーン・オブ・ザ・デッド』などコメディ映画で知られるエドガー・ライト監督がホラージャンルに挑む待望の新作です。

『ジョジョ・ラビット』『オールド』などにも出演する新鋭トーマシン・マッケンジーが、ファッションデザイナーを夢見て、田舎町からロンドン・ソーホー地区の専門学校に入学するも、周りに馴染めず慣れない新生活を送る女性、エロイーズを演じます。

そして、『クイーンズ・ギャンビット』でゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞した若手女優アニャ・テイラー=ジョイが、エロイーズが夢の中で出会う美しい女性サンディを演じ、映画界が注目する若手女優のW主演に目が離せない作品となっています。

タイトルにある通りロンドンのソーホー地区が舞台となっており、ファッション街に変貌していった80年代以前にはパブや映画館、性風俗店も軒を並べる歓楽街として知られていた土地での、60年代のファッションや音楽など、この地区に暮らしていたことのあるエドガー・ライト監督自身の思い入れが強く反映されています。

60年代のロンドンに初めてタイムリープしたシーンは圧倒的なクオリティで一気に観客の心をソーホーの街に引き込み、2人のヒロインの魅力に終始ドキドキさせられる。

エロイーズとサンディの身体も感覚が次第にシンクロしていく様子に鏡が効果的に使われており、目まぐるしくグルグルと2人が入れ替わるダンスシーンの演出は近年観た映画の中でもダントツのレベルの圧巻で鳥肌が立ちます。

音楽に関しても、ホラーっぽい曲とはかけ離れたレトロでポップなテンションの上がる曲調ばかりで、時代を行き来する一見複雑そうな演出に程よいテンポ感を与え、時代を重ね合わせた設定である本作の60年代の混沌としたレトロさと、現代の先進的な新しさのある雰囲気にもマッチしています。

また、当時のファッションや音楽だけでなく、ドラマやサイコホラーの名作からも影響を受けていると感じる部分が多く存在しており、心理的恐怖やスマートな映像はヒッチコックやサスペリアなどを想起させ、オマージュとオリジナリティが絶妙に共存した傑作です。

最初から最後まで予想できない展開と、ホラーとサスペンスが融合されたスタイリッシュで色鮮やかな60年代のロンドンに魅了されっぱなし、めくるめくソーホーの夜を存分に堪能できる至高の一作です。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.1 『ハウス・ジャック・ビルト』
Vol.2『ピアッシング』
Vol.3『凪待ち』
Vol.4『Diner ダイナー』
Vol.5 『劇場版 Free!-Road to the world-夢』
Vol.6『トイ・ストーリー4』
Vol.7『チャイルド・プレイ』
Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
Vol.9『存在のない子供たち』
Vol.10『永遠に僕のもの』
Vol.11『ゴーストランドの惨劇』
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Vol.35『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
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Vol.123『キャンディマン』
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テラシマユウカ

テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイ 、ウタウウタ、キャ・ノンからなるアイドルグループ、PARADISESのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、2020年4月からはグループが分裂。PARADISESのメンバーとして活動中。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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