こんにちは、テラシマユウカです。
毎日夜寝る前に次の日の番組表をチェックして気になるバラエティを録画するというルーティンを、無意識にここ半年くらい続けているなということに気付きました。
録画したからといってちゃんと全部観る訳でもないのですが、番組表という限られた文字数の中で内容をぎゅっと詰め込んで所狭しと番組達が誰かの目に留まろうとしている構図に、なんだかワクワクして毎日の楽しみと化しています。
最近有難いことにコラム以外でも映画のコメントを書く機会を頂けるのですが、文字数の指定があり、僅かな文字数でこの作品の素晴らしさをどう伝えるか?ということを勉強中なので、番組表はとても参考になる気がします。
日常の何気ないちょっとしたことが、捉え方を変えるだけで自分の仕事や表現として繋げられる可能性があるというのは、とても面白いなと感じます。
Vol.126『アンテベラム』
☆4.1/☆5.0点中
公式サイト:https://antebellum-movie.jp/
博士号を持つ社会学者で人気作家でもあるヴェロニカは、優しい夫、愛くるしい幼い娘との幸せな家庭を築き上げていた。ある日、ニューオーリンズでの講演会に招かれた彼女は、力強いスピーチで拍手喝采を浴びる。しかし、友人たちとのディナーを楽しんだ直後、ヴェロニカの輝きに満ちた日常は突然崩壊し、究極の矛盾をはらんだ悪夢へと反転するのだった…。一方、アメリカ南部のプランテーションで囚われの身となり、過酷な労働を強いられているエデン。ある悲劇をきっかけに、奴隷仲間とともに脱走計画を実行するが―。
斬新なオリジナリティあふれる脚本に、先読み不能のスリルとサプライズを創出したジョーダン・ピール監督の『ゲット・アウト』と『アス』。『アンテベラム』はそんな2作の製作者であるショーン・マッキントリックが、製作を手掛けた作品。
タイトルにある”アンテベラム”という単語はアメリカでは”南北戦争以前”の時代を意味し、南北戦争前のアメリカで奴隷として酷使される黒人奴隷たちの人種差別をテーマにしたスリラー映画です。
本作では2つのストーリーが展開するという構成になっています。
一つは、博士号を持つ社会学者であり、人気作家でもあるヴェロニカが、幸せな家族生活を送りつつ、講演会でアメリカ南部を訪れる物語。そしてもう一方は、黒人女性のエデンが白人に監視されながら厳しい日常を送っている、黒人たちが奴隷として働かされているアメリカ南部の農場。
この2つの物語の主人公であるヴェロニカとエデンはどちらもジャネール・モネイが演じています。
どちらのパートでも、主人公や周囲の人間の言動、ふとした日常のワンシーンを切り取っても時折怪しげな点が多々あり、あらゆる場面に張り巡らされたちょっとした違和感やパラドックスを紐解くヒントの伏線が観客の恐怖感と好奇心を煽り、作品に陶酔していく。
また、ポスターにもあるように意味深にタイトルの文字が一部反転していて印象的であり、本作のストーリーで最も重要なギミックに関しての匂わせをしているという遊び心もある演出となっています。
2つのストーリーが展開していきますが、実際の展開的には3部構成になっています。2部までは2人の境遇が違う女性のストーリーが並行して展開し、大体の関連性や結末までの展開について予想がついてきてからの、この作品の醍醐味である3編目での大どんでん返し。
事態が飲み込めないほどの後半の予想もつかない怒涛の展開に鳥肌を立てずにはいられません。
人種差別、暴力、奴隷制度の恐怖。
ホラーという非現実的なジャンルで描かれているからこそ、どんでん返しされることで一気に他人事ではなく現実的になり、恐怖が我が身に降り掛かりダメージを喰らわせられる。
結末に辿り着いた時、浮き彫りになる新たな真実と反転に驚愕すること間違い無し。
予告編を観ずにこの恐怖を体験しに映画館へ行くことをお勧めします。
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