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こんにちは、テラシマユウカです。

GO TO THE BEDSとして絶賛全国ツアー中のこの頃なのですが、掃除に関してこだわりが強すぎる私としては、遠征の度に家を空けている時間が長いと自然とちり積もっていってしまうホコリのことを考えて遠征先でゾッとするという感覚を何度も繰り返しています。

ルンバ使えばええやんという話なのですが、自分でしっかり目視してホコリを除去したという確証がないと安心できないので、買ったところでただのインテリアになってしまう気がしています。

2021年の密かな目標であった潔癖症を治すというのはまだしばらく叶えられそうにはありません。

Vol.128『スパゲッティコード・ラブ』

☆4.1/☆5.0点中

公式サイト:https://happinet-phantom.com/spaghetticodelove/

 

フードデリバリー配達員の羽田天(倉悠貴)は、大好きなアイドルへの想いに区切りをつけるため、1000回配達を目指し走っている。シンガーソングライターの夢を諦めた桜庭心(三浦透子)は苦手な友達とダラダラと過ごしている。大森慎吾(清水尋也)は Facebook の友達が 5000 人を超えるが、本当の友達はいない。広告クリエイターの黒須凛(八木莉可子)は天才と称されるプレッシャーと周囲との距離に苦しんでいる。コミュ力だけで渡ってきたカメラマンの日室翼(古畑新之)は、越えられない壁を自覚している。高校生の赤羽圭(青木柚)と彼が片思いをしている千葉桜(xiangyu)は噛み合わない会話を続けている。モデルの綾瀬夏美(香川紗耶)は、実は仕事よりパパ活の方が忙しくなってきた。不登校の高校生・小川花(上大迫祐希)はインスタで嘘のリア充投稿に明け暮れている。中学生の宍戸一樹(三谷麟太郎)は毎日コンビニのイートインで時間をつぶしている。失恋のショックで引きこもりになった渋谷桃子(佐藤睦)は、復縁を願い電話占いにハマっている。桃子の隣人で同じく引きこもりの目黒梅子(ゆりやんレトリィバァ)は、隣から聞こえる桃子の独り言を聞いている。カフェで働く剣持雫(土村芳)は妻子持ちの男との不倫だけが生きがいだ。現在を生きるリアルな登場人物たちが愛を模索し東京を彷徨う。恋人同士、元カレ・元カノ、すれ違った他人・・・彼女たちの行動が複雑に連鎖し、思いもよらぬエンディングに向かっていく。

 

タイトルにある「スパゲッティコード」とは、コンピュータープログラムの状態を表す俗語の一つで、解読困難なほど複雑に絡み合ったプログラミング・コードのことを指す用語とのことです。

そんなスパゲッティコードのように、東京を彷徨い愛を模索する13人の若者たちの生き方が複雑に連鎖していく様子を、エモーショナルでスタイリッシュな映像で描いた青春群像劇となっています。

孤独、執着、承認欲求、嘘。
自己完結できない厄介な感情たち。

13人の生き様はひとりひとり独立していながらも、それぞれがシャッフルされていく展開は東京という混沌とした街が投影されたようであり、それぞれが紡ぐ唯一無二の物語に体温を感じ、言葉にならない心の靄を鮮明に映し出す。

いくつものエピソードが重なり一つになった時、この物語は、ひとりひとりは私であり、すぐ近くにいるあの人なのかも知れないと、確かに私の人生もこの映画に存在していたことに気づく。

映像クリエイターである丸山健志監督が描く心奪われるスタイリッシュな色彩による絵作りと、交錯する物語が渋滞を起こすことなく物語が進んでいく滑らかさは、そこに存在している生きる意味や生き方について悩まされる重い感覚を軽やかに観客に投げかけてくる。

夢を追うことに限界を感じていたり、傷つかないように生きようと夢から遠ざかってしまったり。

たった1人で抱える悩みだと思っていた孤独な平行線が、些細なきっかけでいつのまにか絡み合っていたことに気づいた時、もがきながらも生き続ける人たちの背中を優しく押してくれる、じんわりと心があったかくなる作品となっています。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.1 『ハウス・ジャック・ビルト』
Vol.2『ピアッシング』
Vol.3『凪待ち』
Vol.4『Diner ダイナー』
Vol.5 『劇場版 Free!-Road to the world-夢』
Vol.6『トイ・ストーリー4』
Vol.7『チャイルド・プレイ』
Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
Vol.9『存在のない子供たち』
Vol.10『永遠に僕のもの』
Vol.11『ゴーストランドの惨劇』
Vol.12『惡の華』
Vol.13『アス』
Vol.14『人間失格 太宰治と3人の女たち』
Vol.15『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
Vol.16『アナベル 死霊博物館』
Vol.17『JOKER』
Vol.18『クロール-凶暴領域-』
Vol.19『ボーダー 二つの世界』
Vol.20『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』
Vol.21『マチネの終わりに』
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Vol.24『ドクター・スリープ』
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Vol.28『屍人荘の殺人』
Vol.29『パラサイト 半地下の家族』
Vol.30『シライサン』
Vol.31『ペット・セメタリー』
Vol.32『ジョジョ・ラビット』
Vol.33『his』
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Vol.35『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
Vol.36『ミッドサマー』
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Vol.38『スキャンダル』
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Vol.63『ようこそ映画音響の世界へ』
Vol.64『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』
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Vol.66『TENET テネット』
Vol.67『エノーラ・ホームズの事件簿』
Vol.68『ミッドナイトスワン』
Vol.69『悪魔はいつもそこに』
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Vol.71『シカゴ7裁判』
Vol.72『レベッカ』
Vol.73『ザ・ハント』
Vol.74『THE CAVE サッカー少年救出までの18日間』
Vol.75『エイブのキッチンストーリー』
Vol.76『オン・ザ・ロック』
Vol.77『ザ・コール』
Vol.78『ザ・プロム』
Vol.79『ワンダーウーマン 1984』
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Vol.82『ヒッチャー ニューマスター版』
Vol.83『恋する遊園地』
Vol.84『ズーム/見えない参加者』
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Vol.86『マーメイド・イン・パリ』
Vol.87『プラットフォーム』
Vol.88『聖なる犯罪者』
Vol.89『ベイビーティース』
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Vol.118『うみべの女の子』
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Vol.120『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』
Vol.121『キャッシュトラック』
Vol.122『DUNE/デューン 砂の惑星』
Vol.123『キャンディマン』
Vol.124『最後の決闘裁判』
Vol.125『ラストナイト・イン・ソーホー』
Vol.126『アンテベラム』
Vol.127『マリグナント 狂暴な悪夢』

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テラシマユウカ

テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイ 、ウタウウタ、キャ・ノンからなるアイドルグループ、PARADISESのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、2020年4月からはグループが分裂。PARADISESのメンバーとして活動中。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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