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音楽と映画の結びつきというものは、あらゆるノスタルジックな記憶を蘇らせてくれます。

小さい頃、あまり音楽を聴く機会がなく日本人なら誰でも歌えるような音楽を知らない子どもでしたが、実家には映画のDVDが沢山あり、思い返せば幼い頃の記憶に刻み込まれているのは映画のテーマソングやサウンドトラックが多くなっていた気がします。

映画に結びつく音楽は、たった一作の映画のワンシーンでも盛大に一人歩きし、その作品を観たことがなくとも誰もが知っている音楽へと、時代を超えてまでも存在感を示していく力の素晴らしさに驚くばかりです。

今週は、テーマソングが流れると心臓が高鳴っているのが聞こえるくらいにワクワクする、そんな一作をご紹介します。

Vol.139『ゴーストバスターズ/アフターライフ』

☆3.9/☆5.0点中

https://www.ghostbusters.jp/

 

30年間にわたり原因不明の地震が頻発する田舎町。そこで暮らし始めたフィービーは、祖父が遺した古びた屋敷で見たこともないハイテク装備の数々と〈ECTO-1〉と書かれた改造車を発見する。科学者だった祖父イゴン・スペングラーは〈ゴーストバスターズ〉の一員で、30年前にニューヨークを襲ったゴースト達をこの町に封印していた。地震の原因がゴーストの仕業だと突き止めたフィービー。「なぜこんな場所に封印を?おじいちゃんが死んだとき一体なにが?」…祖父がこの町に隠した秘密に迫ろうとしたその時、ゴースト達の封印が解かれ、町中にあふれかえる。いま、ゴースト達の復讐劇が始まる――

 

超常現象を研究していた科学者ら4名で結成された〈ゴーストバスターズ〉が、ニューヨークの町をゴーストから救う活躍を描き、世界中で大ヒットを記録した1984年『ゴーストバスターズ』、1989年『ゴーストバスターズ2』。

公開後、No Ghostマークは一躍有名になりグッズ化、テーマソングは連日ヒットチャートを賑わすなど、社会現象を巻き起こし、80年代カルチャーの象徴に。

リブート版ではなく正式なタイムラインの続編としての3作目となり、過去2作品の監督を務めたアイヴァン・ライトマンから、息子であるジェイソン・ライトマンがメガホンを受け継ぎました。

オリジナルキャストの再出演、そして『アントマン』のポール・ラッドや『ストレンジャー・シングス 未知の世界』『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』で人気を集めるフィン・ウルフハード、『アナベル 死霊博物館』のマッケンナ・グレイスらが新たに出演しています。

ビル・マーレイ、ダン・エイクロイド、アーニー・ハドソン、シガニー・ウィーバーというオリジナルキャストが勢揃いし、また、撮影前にこの世を去ったハロルド・ライミス演じるイゴンもストーリーの中心として”ゴーストバスターズならでは”の出演を果たしており、シリーズファンの想いに応えてくれる嬉しい作品になっています。

あの頃のオリジナルキャストが約30年の歳月を経て再出演する続編ではありますが、あくまで物語の主軸を担うのはフィン・ウルフハードやマッケナ・グレイス演じるティーン世代の子供たちであり、世代交代と共に過去色は控えめで新たな物語が構築されているため、シリーズを知らない人こそ新たなバスターズ4人のフィービーたちと同じ目線で街に眠る謎を解き明かしていく楽しさを味わうことができます。

そんな新しさが『ゴーストバスターズ/アフターライフ』には存在しながらもそれと同時に、田舎町での子どもたちの冒険は『スタンド・バイ・ミー』や『グーニーズ』などを彷彿とさせ、あの頃憧れた80年代のアメリカ映画の空気を感じノスタルジックな気分に浸る。

時代をいくつ超えても、あらゆるシーンにぴったりのエンターテイメントであり、ホラーとコメディの絶妙な塩梅に肩の力を抜いて魅せられる。

同窓会のような懐かしさを感じる大人世代も、パチパチと飛び散る閃光のような面白さを感じる子供世代も、今日から我々もゴーストバスターズの一員だと、そんなベタなことを言いたくなる愛とリスペクトと愛くるしすぎるマシュマロマンがたっぷりとこもった作品です。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.7『チャイルド・プレイ』
Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
Vol.9『存在のない子供たち』
Vol.10『永遠に僕のもの』
Vol.11『ゴーストランドの惨劇』
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テラシマユウカ

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、テラシマユウカ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノンの10人からなるアイドルグループ、GANG PARADEのメンバー。 2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、 2020年3月よりGO TO THE BEDSとPARADISESの2グループに分裂し活動開始。精力的にライブを実施し、2021年には両グループ合わせて270本ものライブを敢行。 2022年1月1日、満を持して再結成を果たす。 多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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