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StoryWriter

3月、花粉の気配を感じる季節となってしまいました。

いつからか花粉症に悩まされ、学生時代はたった1日でティッシュ一箱を使い終わってしまうくらいに酷かったのですが、年を重ねるにつれて症状がマシになってきていました。

もともと血液検査の結果、秋花粉の方がアレルギー強めということもあって、去年の春までは余裕をぶっこいていたのですが、今年もだんだん暖かくなってきて、ここ一週間ほどで痛い目を見ています。

人間は不思議なもので、”花粉”というワードが話題に上がるだけで鼻がむずむずしてきてしまうので、花粉症でない人はその言葉を発する重大さに気づいてほしいものです。

今年の春はしっかり花粉症の薬を常備しようと思います。

Vol.142『ナイル殺人事件』

☆3.7/☆5.0点中

https://www.20thcenturystudios.jp/movies/nile-movie

 

アガサ・クリスティ原作“世界一の名探偵”ポアロが挑む、エジプトの神秘ナイル川をめぐる極上の《ミステリー・クルーズ》。大富豪の美しき娘の新婚旅行中に、クルーズ船内で起きた連続殺人事件。容疑者は、結婚を祝うために集まった乗客全員…。豪華客船という密室で、誰が何のために殺したのか? そして、ポアロの人生を大きく変えた≪衝撃の真相≫とは? 愛と嫉妬と欲望が複雑に絡み合う、禁断のトライアングル・ミステリーの幕が開く。

 

全世界で20億冊以上出版され、「世界一売れた作家」として”ミステリーの女王”の異名を持つ作家アガサ・クリスティが生涯を通して書き続け、今もなお全世界で愛される名探偵ポアロシリーズ。時代を超越した人気シリーズの中でも、アガサ自身が旅行物のミステリーで史上最高傑作と称する1937年に発表された「ナイルに死す」。

船上という逃げ場のない密室空間での推理劇を描いたクローズド・サークル。主な事件の舞台は船となりますが、エジプトで繰り広げられる為とてもスケールが大きく、ピラミッドやスフィンクスといったエジプトの情景美と煌びやかなドレスやアクセサリーといった華麗なファッションを素晴らしいロケーションを堪能できるのも大きな特徴です。

俳優陣も豪華であり、物語の鍵を握る大富豪の若い女性を演じるのは、『ワンダーウーマン』でおなじみのガル・ガドット。

他にも『レベッカ』のアーミー・ハマーや、『キャプテン・マーベル』のアネット・ベニング、『ブラックパンサー』のレティーシャ・ライトなど。

そして名探偵ポアロを演じ監督も務めるのは前回と同様に『TENET テネット』のケネス・ブラナー。「愛のためなら何でもしてしまう人の恐ろしさ」を肌で感じることになるポアロの姿を鮮やかに、情熱的に魅せていきます。

友人の婚約相手を略奪した資産家リネットの新婚旅行参列者たちによる連続殺人のミステリーを、ただ謎を解き明かすだけでなく、何故人は人を愛するが故に狂ってしまうのか、というテーマを取り入れ美しくも儚い悲しいドラマを描き出していく。

冒頭シーンではポアロのトレードマークである口髭に隠された秘密が明かされ、本作のテーマである愛の秘密に繋がり、更には殺人劇の様相もポアロの親しい人物が関わるように変更されたことによりポアロというキャラクターに人間性を生み出しており、彼が”探偵”としてではなく”人間”として一歩踏み出す様子を描くことでテーマである「愛」に重みを持たせています。

本作は127分ありながら殺人事件が起こるまでが非常に長く、登場人物の背景や思惑、船上にいる人物が今どんなことを考えているのか、事件発生後にヒントになるかもしれない些細な行動など、ポアロと共に人間観察を隅々まで覗くように行なっていく。

事件前と事件後の情報量と時間のバランスが極端に偏っており、後半は怒涛の展開。事件後は散りばめられたヒントを拾い集めることなど許されないほどのスピード感で謎解きが展開していきます。

ミステリー映画として謎解きを主軸にしているのではなく、事件を経てポアロがどう変わっていくのかに重きがおかれており、登場人物全員が”愛”に対して悩みや嫉妬を抱えていて、本作のキャッチコピーの通り「愛の数だけ秘密がある」ということを語っています。

地上を離れ、浮世離れした煌びやかな船上で明かされていく剥き出しの人間性。殺意の根源は一体何処にあるのだろうか。

名探偵ポアロによる華麗な推理と、旅行に行けない今だからこそ大きなスクリーンで堪能する豪華絢爛なエジプト・ナイル川の景色、そして、様々な形の愛。

愛の数だけ見どころがある作品です。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.1 『ハウス・ジャック・ビルト』
Vol.2『ピアッシング』
Vol.3『凪待ち』
Vol.4『Diner ダイナー』
Vol.5 『劇場版 Free!-Road to the world-夢』
Vol.6『トイ・ストーリー4』
Vol.7『チャイルド・プレイ』
Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
Vol.9『存在のない子供たち』
Vol.10『永遠に僕のもの』
Vol.11『ゴーストランドの惨劇』
Vol.12『惡の華』
Vol.13『アス』
Vol.14『人間失格 太宰治と3人の女たち』
Vol.15『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
Vol.16『アナベル 死霊博物館』
Vol.17『JOKER』
Vol.18『クロール-凶暴領域-』
Vol.19『ボーダー 二つの世界』
Vol.20『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』
Vol.21『マチネの終わりに』
Vol.22『グレタ GRETA』
Vol.23『テッド・バンディ』
Vol.24『ドクター・スリープ』
Vol.25『マリッジ・ストーリー』
Vol.26『カツベン!』
Vol.27『ラスト・クリスマス』
Vol.28『屍人荘の殺人』
Vol.29『パラサイト 半地下の家族』
Vol.30『シライサン』
Vol.31『ペット・セメタリー』
Vol.32『ジョジョ・ラビット』
Vol.33『his』
Vol.34『犬鳴村』
Vol.35『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
Vol.36『ミッドサマー』
Vol.37『架空OL日記』
Vol.38『スキャンダル』
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Vol.63『ようこそ映画音響の世界へ』
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Vol.71『シカゴ7裁判』
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Vol.73『ザ・ハント』
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Vol.75『エイブのキッチンストーリー』
Vol.76『オン・ザ・ロック』
Vol.77『ザ・コール』
Vol.78『ザ・プロム』
Vol.79『ワンダーウーマン 1984』
Vol.80『ソング・トゥ・ソング』
Vol.81『Swallow/スワロウ』
Vol.82『ヒッチャー ニューマスター版』
Vol.83『恋する遊園地』
Vol.84『ズーム/見えない参加者』
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Vol.87『プラットフォーム』
Vol.88『聖なる犯罪者』
Vol.89『ベイビーティース』
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Vol.93『トムとジェリー』
Vol.94『BLUE/ブルー』
Vol.95『パーム・スプリングス』
Vol.96『街の上で』
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Vol.103『猿楽町で会いましょう』
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Vol.107『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』
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Vol.122『DUNE/デューン 砂の惑星』
Vol.123『キャンディマン』
Vol.124『最後の決闘裁判』
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Vol.127『マリグナント 狂暴な悪夢』
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Vol.132『キングスマン:ファースト・エージェント』
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Vol.134『ドント・ルック・アップ』
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Vol.139『ゴーストバスターズ/アフターライフ』
Vol.140『ちょっと思い出しただけ』
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テラシマユウカ

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、テラシマユウカ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノンの10人からなるアイドルグループ、GANG PARADEのメンバー。 2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、 2020年3月よりGO TO THE BEDSとPARADISESの2グループに分裂し活動開始。精力的にライブを実施し、2021年には両グループ合わせて270本ものライブを敢行。 2022年1月1日、満を持して再結成を果たす。 多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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