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StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

コロナ療養期間中により10日間の自宅待機真っ只中なのですが、普段生活しているとゆっくり時間ある時にあの映画観たいな、こんな風に過ごしたいな、と思うプランが明確にあったはずなのにいざ時間を与えられると何からすればいいんだ…?と急に宙ぶらりんな状態に放り出された気分です。

振り動画とフォーメーション表の整理や、優柔不断な心持ちでウーバーイーツをただひたすらに眺めている時間。まだ観られていなくて観たいリストに大量に映画があるはずなのに何度も繰り返しみたホラー映画を懲りずにまた再生してしまったり、じっとしていられなくて部屋の端から端までシャトルランしてみたり。なんやかんやと好きに過ごしていたら療養期間も後半に差し掛かっていました。

はやく外に出て太陽の光を存分に浴びて、人と顔を合わせて会話をして、ライブして汗かいて、そんな日常を過ごしたいものです。

Vol.152『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』

☆3.9/☆5.0点中

https://bitters.co.jp/mynydiary/

 

90年代、ニューヨーク。作家を夢見るジョアンナは、老舗出版エージェンシーでJ.D.サリンジャー担当の女上司マーガレットの編集アシスタントとして働き始める。昼はニューヨークの中心地マンハッタンの豪華なオフィスに通い、夜はブルックリンにある流し台のないアパートで同じく作家志望の彼氏と暮らしている。
日々の仕事は、世界中から毎日大量に届くサリンジャーへの熱烈なファンレターを処理すること。小説の主人公に自分を重ねる10代の若者、戦争体験をサリンジャーに打ち明ける退役軍人、作家志望の娘を亡くした母親――心揺さぶられる手紙を読むにつれ、飾り気のない定型文を送り返すことに気が進まなくなり、ふとした思いつきで個人的に手紙を返し始める。そんなある日、ジョアンナが電話を受けた相手はあのサリンジャーで…。

 

本が生まれる現場での日々を印象的に綴ったジョアンナ・ラコフの自叙伝「サリンジャーと過ごした日々」を、アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた『ぼくたちのムッシュ・ラザール』や『グッド・ライ~いちばん優しい嘘~』を手がける人間ドラマの名手フィリップ・ファラルドーが映画化。

ジョアンナを演じるのは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のプッシーキャット役で一際存在感を放ったマーガレット・クアリー。上司のマーガレット役には『アバター』『エイリアン』『ゴーストバスターズ』など数多くの大ヒット作で活躍する名優シガニー・ウィーバー。

サリンジャー担当のベテランエージェントと新人アシスタントの”知られざる実話”を描き、金融の中心であり世界の最先端をゆく大都市ニューヨークの90年代の出版業界を舞台とした本作。
都会の片隅で生きるジョアンナの夢にかける情熱や理想と現実の狭間で揺れ動く感情と葛藤し、何者かになりたいと願いながら自分自身を見つめ直し日々を過ごす彼女。そんな彼女と日々変化し続けながらも時代を追うごとに受け継がれてきた古き良き文化の魅力が生き続けているニューヨークという憧憬の街の持つ洗練された魅力が合わさって、誰しもが経験するであろう大人になりたての頃のもやもやが等身大でありながらもまるでおとぎ話かのように豊かに描かれていきます。

心を掴まれた本の著者にファンレターを出すほどに、本に綴られた物語にのめり込み感情移入する人たちと、その熱烈なファンレターによって、主人公に与えられた仕事であるサリンジャーへのファンレターを定型文の返信を書くという作業が次第に個人的な手紙へと変化し、また読者と同じように影響を与えられ作用していく姿からは、文学が個人にもたらす感情の大きさを浮かび上がらせ実感させられます。

夢に向かってそのきっかけを掴むための仕事と、その仕事が好転し始めると夢に挑戦すべきかどうかという壁がそびえ立つ。歯車は上手く回っているようで夢は叶っていない、自分にとって幸せとはなにか、どの選択が正しい道なのかと悩み揺れる。

様々な場所で、様々な思いを抱きながら日々働く人たちへ、本当にやりたいことや夢はどんな環境においても大切に持っておくべきだと、私には私の生き方があるのだと自分のストーリーを生きられるよう、そっと暖かく受け止めてくれるような作品です。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.1 『ハウス・ジャック・ビルト』
Vol.2『ピアッシング』
Vol.3『凪待ち』
Vol.4『Diner ダイナー』
Vol.5 『劇場版 Free!-Road to the world-夢』
Vol.6『トイ・ストーリー4』
Vol.7『チャイルド・プレイ』
Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
Vol.9『存在のない子供たち』
Vol.10『永遠に僕のもの』
Vol.11『ゴーストランドの惨劇』
Vol.12『惡の華』
Vol.13『アス』
Vol.14『人間失格 太宰治と3人の女たち』
Vol.15『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
Vol.16『アナベル 死霊博物館』
Vol.17『JOKER』
Vol.18『クロール-凶暴領域-』
Vol.19『ボーダー 二つの世界』
Vol.20『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』
Vol.21『マチネの終わりに』
Vol.22『グレタ GRETA』
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Vol.24『ドクター・スリープ』
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Vol.27『ラスト・クリスマス』
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Vol.29『パラサイト 半地下の家族』
Vol.30『シライサン』
Vol.31『ペット・セメタリー』
Vol.32『ジョジョ・ラビット』
Vol.33『his』
Vol.34『犬鳴村』
Vol.35『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
Vol.36『ミッドサマー』
Vol.37『架空OL日記』
Vol.38『スキャンダル』
Vol.39『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』
Vol.40『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
Vol.41『デッド・ドント・ダイ』
Vol.42『青色映画ポスター特集』
Vol.43『MyFrenchFilmFestival フランスショートフィルム特集』
Vol.44『邦画特集』
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Vol.47『眠れない夜にみたい映画』
Vol.48『トラウマ映画特集』
Vol.49『ゴシック映画特集』
Vol.50『映画と音楽』
Vol.51『ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷』
Vol.52『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
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Vol.62『インセプション』
Vol.63『ようこそ映画音響の世界へ』
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Vol.70『マティアス&マキシム』
Vol.71『シカゴ7裁判』
Vol.72『レベッカ』
Vol.73『ザ・ハント』
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Vol.77『ザ・コール』
Vol.78『ザ・プロム』
Vol.79『ワンダーウーマン 1984』
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Vol.141『アンチャーテッド』
Vol.142『ナイル殺人事件』
Vol.143『THE BATMAN-ザ・バットマン-』
Vol.144 『林檎とポラロイド』
Vol.145『ナイトメア・アリー』
Vol.146『TITANE/チタン』
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Vol.150『カモン カモン』
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テラシマユウカ

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、テラシマユウカ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノンの10人からなるアイドルグループ、GANG PARADEのメンバー。 2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、 2020年3月よりGO TO THE BEDSとPARADISESの2グループに分裂し活動開始。精力的にライブを実施し、2021年には両グループ合わせて270本ものライブを敢行。 2022年1月1日、満を持して再結成を果たす。 多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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