こんにちは、テラシマユウカです。
新体制になっての全国ツアーがいよいよ始まり、地方に出向く機会が多くなってきました。
遠征する前は、どんなもの食べようかと宿泊先の近くのグルメを調べたり、どんなタイムスケジュールで過ごそうかと想像したりするのももちろん楽しみなのですが、出発前にGoogleマップでどの行き方をしたら何時間かかるんだろう?と経路を検索するのが秘かな楽しみだったりします。
日本地図を全体図でみると目的地まで一直線に進んでいる様でも細かく見るといくつも山を超えていたり、その標高差を緑の濃淡で視覚化されながら道を進んでいくのもおもしろく、移動中寝れなかったりすると音楽を聴きながらマップをずっと眺めてしまいます。
遠征先のライヴと食べ物以外のちょっとおかしな楽しみ方をこのツアー中に新たに見つけていきたいものです。
Vol.154『死刑にいたる病』
☆3.9/☆5.0点中
史上最悪の連続殺人鬼からの依頼―
それは一件の冤罪証明だった。
ある大学生・雅也のもとに届いた一通の手紙。それは世間を震撼させた稀代の連続殺人鬼・榛村からだった。
「罪は認めるが、最後の事件は冤罪だ。犯人が他にいることを証明してほしい」。
過去に地元のパン屋で店主をしていた頃には信頼を寄せていた榛村の願いを聞き入れ、 事件を独自に調べ始めた雅也。
しかし、そこには想像を超える残酷な事件の真相があった―。
ある青年が、行方不明になっている少年少女24人の殺害容疑で死刑が確定した史上最悪の殺人鬼が主張するたったひとつの「冤罪事件」に関わったことから、次第に社会の闇へと陥り始めるサイコサスペンス。
ミステリー作家・櫛木理宇の最高傑作と謳われる同名小説を『孤狼の血』『凶悪』など社会の闇に焦点を当てた緊張感張り詰める作品を数多手掛けてきた白石和彌監督が映画化しました。
阿部サダヲ、岡田健史、岩田剛典、中山美穂など若手俳優からベテラン俳優まで日本を代表する個性あふれる役者陣を携え、息つく暇もない心理戦を繰り広げ目が離せない展開を生み出していきます。
24人を殺した連続殺人鬼、榛村大和を演じる阿部サダヲさんの演技はずば抜けて素晴らしく、コメディ映画に多く出演しているイメージが強いですが、同じく白石和彌監督作品である『彼女がその名を知らない鳥たち』の小汚く不器用ながらも献身的な愛を注ぎ次第に狂気をあらわしていく姿は印象的であり、ハイライトのない正気のない目は観客を震え上がらせます。
全ての罪を受け入れ既に死刑が確定した榛村が、なぜ、たった1件の冤罪にこだわるのか? なぜ、榛村は雅也を選んだのか? という疑問が鍵となり、作品を構成する大きなテーマと繋がっていきます。
殺人鬼から冤罪証明を依頼された雅也が真相に辿り着こうと奔走する姿を印象的な雨による場面など様々な演出によって、登場人物の心理描写が繊細に表現されています。親に抑圧されていたり、ネグレクト下で育ったり自尊心が低く、両親や周囲の人間にコンプレックスを抱いて生きる子どもたちの心理を掌握して利用しながら犯行を重ねる殺人鬼の支配欲や孤独は底知れぬ恐ろしさがあり、もやもやっとする終わり方まで含めて終始不快感を与えられ続けます。
榛村の殺人衝動には病としても捉えられる性質があり、本作では世間体に囚われるがゆえに人々がストレスを抱えながら生きる病的ともいえる社会を、我々を闇に引き摺り込むかのごとく、描き出した作品です。
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テラシマユウカ
「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、テラシマユウカ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノンの10人からなるアイドルグループ、GANG PARADEのメンバー。 2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、 2020年3月よりGO TO THE BEDSとPARADISESの2グループに分裂し活動開始。精力的にライブを実施し、2021年には両グループ合わせて270本ものライブを敢行。 2022年1月1日、満を持して再結成を果たす。 多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。