ついに梅雨入りを告げられ、どんよりとした空が多く憂鬱になりがちですが、そんな暗い空気の中を紫陽花が一際目を引く存在として普段歩く道を彩ってくれています。
紫陽花の色の違いは品種だと思っていたのですが、ベースの色はありつつも土の中に含まれるアルミニウムが花の中に含まれている補色色素と結合することによって色が変化するということを最近ニュースの豆知識で知りました。
酸性だと青、中性だと紫、アルカリ性だと赤に変化するそうです。日本でよく見かけるのは青色の紫陽花なので酸性の土がどうやら多い様です。
学生の頃化学で習ったリトマス試験紙など、性質によって色が変化する面白みと不思議さが、日常のふとした瞬間に体感できると、あの時なんとなく学んでいた事がこんなところに繋がってくるんだと思わず感心してしまいます。
Vol.156『トップガン マーヴェリック』
☆4.4/☆5.0点中
アメリカのエリート・パイロットチーム”トップガン”。
かつてない世界の危機を回避する、絶対不可能な 【極秘ミッション】に直面していた。
ミッション達成のため、チームに加わったのは、トップガン史上最高のパイロットでありながら、 常識破りな性格で組織から追いやられたた”マーヴェリック”だった。
なぜ彼は、新世代トップガンとともにこのミッションに命を懸けるのか? タイムリミットは、すぐそこに迫っていた——。
トム・クルーズがトップスターの階段を駆け上がった出世作である、1986年公開の映画『トップガン』の続編。全世界が熱狂し、80年代のハリウッド映画を象徴する数々の記録を残したアクション超大作が、36年の時を経て帰ってきました。
前作『トップガンの』監督を務め、2012年にこの世を去ったトニー・スコット監督に捧げるものとなった今作。監督を務めるのは『オブリビオン』でトム・クルーズとタッグを組んだ経験のあるジョセフ・コジンスキー。
新世代トップガンたちには、かつてマーヴェリックの相棒であったグースの息子ルースター役に『セッション』のマイルズ・テラーや、ルースターのライバル的存在であるハングマンはグレン・パウエルが演じています。また、前作でマーヴェリックのライバル、アイスマンを演じたバル・キルマーが再出演を果たしています。
80年代後半の時代を切り抜いた前作が、36年の時を経て時代も社会情勢も何もかもが違う今、何を見せてくれるのだろうかと想像もつきませんでしたが、これぞ続編、という理想形を誇り高く示してくれるような作品となっていました。
夕陽に染まる空と海、空母で慌ただしく動くクルーたちと勢いよく空へ飛び出すF18、戦闘機と並走するバイク、グースの生写しのようなピアノ演奏と懐かしのあの曲、アイスマンの現在の様子。
待たせたなと言わんばかりの前作を彷彿とさせるオープニングから一気に胸は高鳴り、ノスタルジーを感じさせる要素が色濃く、前作を初めて観た時の興奮を思い出させ一気にトップガンの世界に引き込まれます。
ですがただの懐かしさだけではなく、往年のハリウッド映画らしさを残しながらも、当時23歳だった彼が59歳となった”今のトム・クルーズ”の映画であり、人懐っこく優しい笑顔とどこか物寂しげな眼差しは36年経っても変わらず、そこに成熟された魅力も加わり長年続編が作られなかった理由がここにあったのだと、待った甲斐があると確信せざるを得ません。
また、IMAXカメラを機内に搭載し、俳優たちが実際に戦闘機に乗り込み時速1900キロの8Gに耐えうる訓練をうけて撮影に挑んだという映像のクオリティは凄まじく、Gで歪んだ顔や苦しいうめき声など究極にリアルな臨場感が伝わり、映画館で観る醍醐味を思う存分味わうことができます。
時代が変わっても熱い志をもって命懸けで戦う新世代のトップガンたちの勇姿を、脳みそをすっからかんの空っぽにしてシンプルにポップコーンをつまみながら愉しむ、元祖エンターテイメントの本気であり本物のハリウッド映画です。
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