7月に突入し、はやいもので2022年も半分が過ぎ去ってしまいました。
夏休みが近づくにつれて、映画の公開が盛りだくさんになり映画館も賑わってくるので、毎年Filmarksのmark数が増えているのを見ると夏が来たな〜と感じ始めている気がします。
今年の夏休みはツアーが2本同時進行であり、活動を始めてから今までで1番と言っていいほどライブ数が多く遠征続きな夏でもあるので、隙をみて色んな地方の映画館に足を運んでみたいなと考えています。
地元の大阪でも、思い出の映画館が沢山あるのでノスタルジーに浸りながら新作を観に行くのがとても楽しみです。
Vol.159『ブラック・フォン』
☆3.9/☆5.0点中
https://www.universalpictures.jp/micro/blackphone
本作の舞台は、子供の連続失踪事件が起きているコロラド州のとある町。気が小さく独り立ちできない少年フィニーは、ある日の学校の帰り道、マジシャンだという黒風船を持った男に出くわす。「マジック見るかい?」の一言を発したかと思うと、フィニーは黒いバンに無理やり押し込まれ、気が付いた時には地下室に閉じ込められていた。壁に囲まれたその部屋には鍵のかかった扉と鉄格子の窓、そして「断線している黒電話」。だが、その断線しているはずの電話のベルが突如鳴り響く・・・。
それは、この部屋の恐怖と真実を知る”死者からのメッセージ”だった。一方、妹のグウェンは兄の失踪に関する不思議な予知夢を見たという。夢の記憶を頼りに、必死に兄の行方を探し始める―
鬼才スティーヴン・キングの息子、ジョー・ヒル原作の短編ホラー小説「20世紀の幽霊たち」に収録されている「黒電話」の映画化。
『透明人間』リー・ワネル、『ゲット・アウト』ジョーダン・ピール、『スプリット』M・ナイト・シャマランとタッグを組み、優れたスリラー作品を世に送りだして来た、ハリウッド気鋭の映画制作集団ブラムハウス・プロダクションズが、今作では『ドクター・ストレンジ』『エミリーローズ』の監督で知られるスコット・デリクソンをパートナーとして新たなタッグを組み、様々な要素を持つ恐怖が同時進行して繰り広げられるスリリングな映画が誕生しました。
不気味なマスクを着けたイーサン・ホークが印象的なポスターと『ブラック・フォン』のタイトルから想像するよりも実際に観るとあまりホラー要素は強くなく怖がらせすぎずに、でも緊張の糸は常に張ったままで飽きることなく最後まで不気味で興奮を保てるホラー映画でした。
断線した黒電話からの電話や、名前の記憶を失っている過去に被害に遭った少年たちの霊からの断片的な脱出の為のアドバイス、得体の知れぬ男グラバー、必死に脱出しようと試行錯誤するフィニーと予知夢の能力を持つ妹のグウェン。
登場人物の描写が素晴らしく、決してSFになりすぎずに小出しにされるアドバイスや予知夢のバランスも保たれていて、尚且つ怖がらせすぎないけれど不気味さは終始漂い続けている。その為登場人物に感情移入しやすい演出になっており、兄妹それぞれの演技も秀逸で目が離せません。
失敗の積み重ねのように見えていた少年たちからの脱出のヒントが最終的に全て生きてくるところは最高に気持ち良く、また、単なるスリリングな要素だけで無くフィニーとグウェンがそれぞれ異なる方向から犯人を追い詰めていく中で、浮かび上がってくる2人の抱える問題や家族のドラマなどの構成が実に巧妙であり、70年代のノスタルジックなムードに絶妙にマッチしながらひとりの少年が経験を経て変化していく、ひと夏の成長ものの様な物語でもある、ホラー映画という名目ながらも爽やかな後味の残る作品です。
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