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StoryWriter

先日試写会にご招待して頂き、予告が公開されてからずっと楽しみにしていた『LAMB/ラム』を一足お先に観てきました。

アイスランドから来日されたという、今作のメインでもある”禁断の存在アダ”のかわいらしい人形が入り口に置いてあり、作品に絡めたひとネタで出迎えてくださるのがとても楽しくてキャラクターに対する愛しさが何倍にも膨れ上がってしまいました。

昨年に死霊館の試写会に行かせて頂いた際も、4Dの座席にアナベル人形が座らされていて激しく揺られながら共にしたあの上映時間は思い出す度に顔が綻びてしまいます。

試写会特有のちっちゃなサプライズは上映前と後でまた感じ方も変わってくるので試写室に足を運ぶのは普段の映画館とは違ったワクワク感が存在しています。

Vol.160『ベイビー・ブローカー』

☆3.7/☆5.0点中

https://gaga.ne.jp/babybroker/

 

古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョンと、〈赤ちゃんポスト〉がある施設で働く児童養護施設出身のドンス。ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨンが〈赤ちゃんポスト〉に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジンと後輩のイ刑事は、是が非でも現行犯で逮捕しようと、静かに後を追っていくが…。

 

第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『万引き家族』の是枝裕和監督が、さまざまな事情で育児ができない人が、子供を置いていく赤ちゃんポストを通じて出会った人たちの人間模様を描いた作品であり、韓国人スター、ソン・ガンホとタッグを組んだオリジナル脚本の韓国映画となっています。

アカデミー作品賞受賞作『パラサイト 半地下の家族』でも主演を務めていたソン・ガンホは、主役となるブローカーのサンヒョン役を務め、本作で韓国人俳優では初となるカンヌ国際映画祭男優賞を受賞しました。
共演にはサンヒョンの相棒役として『新感染半島 ファイナル・ステージ』のカン・ドンウォン。是枝監督作品『空気人形』で主演を務めたペ・ドゥナが、ブローカーを追う刑事スジン役、イ・ジウンは国民の妹と呼ばれる韓国の歌姫IUが演じました。

若い母親が捨てた赤ちゃんを、子供のいないカップルへ売ろうとするブローカーは悪者なのか? 良い親の元に生まれることのできなかった子に、幸せを与える善人なのか? 子どもを捨てるなら、産まない方が良いのか?そして、子供にとっての幸せとはどういうことなのか?

韓国には多数存在し、日本にも2カ所存在する赤ちゃんポストや養子縁組に関する是非について観客に疑問を投げかけ、捨てるなら産むなという感情と、はたまた捨てるなら欲しいという感情が互いに存在しあい、いくつものドラマと葛藤がセンチメンタルと笑いと共に同時進行していきます。

ストーリーが進むにつれて登場人物たちの背景が明かされていき、ブローカーたちが一台の車に乗って赤ちゃんの養父母を求めて旅を続けていく様子は、ユーモアに満ち溢れまるでロードムービーのようでもあり、彼らがどうしてブローカーになったのか、この旅で何を感じどのような気持ちが生まれたのか、なぜ子どもは捨てられたのか、丁寧に描かれ、それぞれの表情から繊細な思いが伝わってきます。

子どもは家族だけで育てるのではなく地域や社会が一丸となって向き合うべき事であり、結末へ至る過程に大きな伏線回収や因果などはないものの、この映画のラストには社会のあるべき構図が示されていました。

それぞれに痛みを抱えた者たちが疑似家族として日々を共にする、是枝監督がパルムドールを受賞した『万引き家族』と対になっているような作品であり、人の為に生きることで”生まれてきてくれてありがとう”と思い合える尊さを教えてくれる、希望の込められた作品です。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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テラシマユウカ

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、テラシマユウカ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノン、ナルハワールド、アイナスター、カ能セイの13人からなるアイドルグループ、GANG PARADEのメンバー。 2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、 2020年3月よりGO TO THE BEDSとPARADISESの2グループに分裂し活動開始。精力的にライブを実施し、2021年には両グループ合わせて270本ものライブを敢行。 2022年1月1日、満を持して再結成を果たす。 多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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