こんにちは、テラシマユウカです。
普段なかなかゲームにハマることのない私ですが、スプラトゥーン3がリリースされてからは新しい趣味がようやく出来たようでスキがあればコントローラーを握ってしまいます。
生活のリズムに支障がない程度のプレイ時間を保っていきたいですが、凝り性なところが顔を出してしまいそうで、底無し沼に静かに浸かっていくような感覚に少しドキドキしています。
Vol.170『LAMB/ラム』
☆4.0/☆5.0
山間に住む羊飼いの夫婦イングヴァルとマリア。ある日、二人が羊の出産に立ち会うと、
羊ではない何かが産まれてくる。
子供を亡くしていた二人は、”アダ”と名付けその存在を育てることにする。
奇跡がもたらした”アダ”との家族生活は大きな幸せをもたらすのだが、やがて彼らを破滅へと導いていく—。
話題作を次々と世に送り出す気鋭の製作・配給会社「A24」が北米配給権を獲得し、カンヌ国際映画祭で上映されるやいなや観客を騒然とさせた衝撃の問題作がついに2022年9月23日に日本解禁となります。
衝撃的な設定の中にもリアリティを持った世界観を構築したことで世界から称賛を浴び、第74回カンヌ国際映画祭のある視点部門でPrize of Originalityを受賞、アカデミー賞国際長編部門アイスランド代表作品にも選出されるなど批評家からも高い評価を受けています。
かつてアダという名前の子供を亡くしそれ以来夫婦で静かに暮らしていましたが、ある日飼っていた羊から産まれた”羊ではない何か”不思議な生き物が生まれ、アダと名付け子育てしながら幸せを取り戻していくという、多くのアイスランドの民話が織り交ぜられた物語であり、ある種おとぎ話のようなものでありますが決してそう簡単にはいきません。
北欧の雄大な自然に囲まれた中で丁寧に描かれる静かな日常は終始不気味な雰囲気に包まれており、その中に溶け込む違和感はずっと嫌な感覚が濃密に付き纏ってきて、まるでまどろみの中で悪い夢をみているかのよう。
“何か”が産まれてから、執拗なまでの愛情や子どもに関する悲しい過去、愛ゆえに侵した罪、望まれざる来訪者…と日々淡々とこなす様に生きる冷めた夫婦のみるみるうちに一変する生活。
すっきりしない唐突な衝撃の絶望に驚きを隠せませんが、宗教的なメタファーも多数散りばめられているようで、この映画をどう観るか切り口次第で違った側面が浮かび上がってくる二面性のある作品なのかもしれません。
全編通して多くを語らず、景色の空気や人・動物の繊細で印象的な表情を感じとり観る者に解釈を委ねている展開は思うよりもずっと奥深く、時間をかけて考えを紐解いていきたいと願ってしまう不思議な心地よさが存在していました。
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