こんにちは、テラシマユウカです。
何か書いたり考えたり作業する時に、自分の集中力を最大限に引き出せるシチュエーションはどういったものかと試行錯誤しているこの頃です。
人の声が少しでもする場所では意識が散漫してしまうのでちょっとしたスキマ時間を有効活用するのはすごく苦手なのですが、遠征の移動時間などメンバーが寝静まって車の走る音しかしないみたいな時は比較的集中できる気がします。
何かやってても他のことを気になってしまったらすぐに意識が移ってしまうタイプなので、どんな時でもやると決めたらスイッチ切り替えてモードに入れるような人間として生まれてきたかったなと日々残念に思います。
Vol.172『秘密の森の、その向こう』
☆4.1/☆5.0
https://gaga.ne.jp/petitemaman/
8歳のネリーは両親と共に、森の中にぽつんと佇む祖母の家を訪れる。
大好きなおばあちゃんが亡くなったので、母が少女時代を過ごしたこの家を片付けることになったのだ。だが、何を見ても思い出に胸をしめつけられる母は何も言わずに一人でどこかへ出て行ってしまう。
残されたネリーはかつて母が遊んだ森を探索するうちに、自分と同じ年の少女と出会う。
母の名前「マリオン」を名乗る彼女の家に招かれると、そこは“おばあちゃんの家”だった――。
第72回カンヌ国際映画祭の脚本賞とクィア・パルム賞を始め、各国の映画賞を59受賞し、157ノミネートを果たすという偉業を成し遂げた『燃ゆる女の肖像』。世界中の数多くの人々が生涯の一本として、感動に震え胸に刻み付けた名作を生み出したセリーヌ・シアマ監督が、真骨頂である女性の深淵を描きつつ、全く新しい扉を開く最新作を完成させました。
ネリーの祖母が亡くなり、最後にさよならが言えなかったことへの後悔と喪失感を抱く気持ちによって時空を超える奇跡を起こす、8歳の少女を主人公とした娘・母・祖母と三世代を繋ぐ喪失と癒しの物語です。
ネリーとマリオンを演じた映画初出演のジョセフィーヌ&ガブリエル・サンス姉妹の演技は、少女の心の動きを一瞬一瞬丁寧に切り取られていて、演技では表現できない子どもならではの高い洞察力や直感、目の前で起こった出来事に対する自然な反応などが、目の細やかな動きや表情をじっくり撮るシアマ監督だからこそ際立ち、人間の持つ美しさが印象的に映し出されていました。
子どもの感覚がとても巧妙に描かれている作品で、8歳のネリーが8歳の母親に出会う物語は大人である我々から捉えるとおとぎ話かのように思えますが、8歳のネリーにとってはただの現実であり、ネリーはマリオンに自分はあなたの子どもだと言い、マリオンはネリーに未来から来たのとたずねるやり取りから時空を超えたことに対して何も違和感を抱くことなく描かれていきます。
また、映画はとにかくシンプルで、どんなシーンもさらりと余計な描写を排除し会話も少なく、少女ふたりの無邪気な姿の中にさりげないメッセージやテーマを込めながら、森の緑に包まれた抜群に美しい映像が心地よさを感じさせます。
母の弱さを受け容れ理解しようとする娘の覚悟と、相手を知り想像することで理解に結びつくことや、自分自身と向き合うこと、そして、2度は訪れない今というこの瞬間を大切にすることの重要さを、癒しを与えながら教えてくれる一作でした。
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テラシマユウカ
「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、テラシマユウカ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノン、ナルハワールド、アイナスター、カ能セイの13人からなるアイドルグループ、GANG PARADEのメンバー。5月21日『GANG PARADE THE GREATEST SHOW TOUR 』YOKOHAMA BAY HALL公演より新13人体制としての活動がスタートし、11月16日(水)にはメジャー4thシングル「Priority」のリリースが決定している。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在であり、映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「今日はさぼって映画をみにいく」を現在連載中。