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StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

10月28日(金)にごめんさん個展ツアー「アパートメント」の東京編トークショーに今泉力哉監督と一緒に出演させて頂きます。

「アパートメント」のタイトルから、普段暮らしている部屋や日常生活、身のまわりのことについて見渡してみる機会となっているのですが、じぶんの部屋はこだわりが薄いようにみせかけたこだわりの強い一室なのかもしれないなという気がします。

映画以外のトークショーに出演させて頂くのは初めてなので、ごめんさんと今泉監督と、どんなお話をできるかなと、とっても楽しみでたまりません。映画も生活の一部として存在しているので、また違う方向から捉えたことも見えてくるのかも知れません。

https://eplus.jp/sf/word/0000136558

10/28(金)下北沢440にて、19時半〜、
配信もありますので来れない方も是非。

Vol.175『アフター・ヤン』

☆4.2/☆5.0

https://www.after-yang.jp/

 

“テクノ”と呼ばれる人型ロボットが、一般家庭にまで普及した未来世界。茶葉の販売店を営むジェイク、妻のカイラ、中国系の幼い養女ミカは、慎ましくも幸せな日々を送っていた。しかしロボットのヤンが突然の故障で動かなくなり、ヤンを本当の兄のように慕っていたミカはふさぎ込んでしまう。修理の手段を模索するジェイクは、ヤンの体内に一日ごとに数秒間の動画を撮影できる特殊なパーツが組み込まれていることを発見。そのメモリバンクに保存された映像には、ジェイクの家族に向けられたヤンの温かなまなざし、そしてヤンがめぐり合った素性不明の若い女性の姿が記録されていた……。

 

独創性豊かな作品を世に送り出している気鋭の映画会社A24が新たに製作するのは、長編デビュー作『コロンバス』が世界中の注目を集めた映像作家コゴナダとのタッグ作。

俳優陣は、『THE BATMAN ザ・バットマン』のコリン・ファレル、『クイーン&スリム』『ウィズアウト・リモース』のジョディ・ターナー=スミス、Netflixオリジナルドラマ『アンブレラ・アカデミー』のジャスティン・H・ミン、『コロンバス』で主演を務めたヘイリー・ルー・リチャードソン、11月公開A24作品の『グリーン・ナイト』に出演するサリタ・チョウドリーなど。

とある家族を主人公とし、人型ロボットが社会に普及した未来を舞台とする今作。

夫婦と幼い娘に、人型ロボット。その人型ロボットがある日突然故障で動かなくなってしまうところから始まる物語は、アレクサンダー・ワインスタインの短編小説「Saying Goodbye to Yang」が原作であり、一般的にイメージされる近未来を派手な演出と視覚効果を用いて壮大に映像化することなく、緑あふれる自然などを用いた丁寧で静かなドラマとして唯一無二である未来の世界観を描き出し、SF映画の意匠を凝らしたヒューマン・ドラマが誕生しました。

韓国系アメリカ人であるコゴナダ監督は自身がそうであるゆえ、過去作でもそうですが『アフター・ヤン』でも他にはないアプローチでアジア系と向き合っており、今作では音楽面で敬愛する坂本龍一とのコラボレーションを実現したり、岩井俊二監督作品『リリイ・シュシュのすべて』で多くの映画ファンの胸に刻まれた名曲「グライド」を引用したりと日本要素が多く組み込まれています。

1日に数秒だけ映像記録を残すという機能が備わっていたヤン。彼が修理できない故障、つまり亡くなってしまったのちに残された家族が彼の記憶の断片を見ていく中で、ヤンが残した必要とした数秒間のデータは決して劇的な瞬間ばかりではなく、ただ平凡で平和で、退屈でもある瞬間ばかり。家族に向ける眼差し、鏡を見つめる表情、茶葉を眺める時、木々から漏れる陽の光。人間よりも人間のようで愛に満ちた数秒間はヤンのメモリに保存されていることを知らないとても自然な人々の姿を映し出していて、ロボットの無機質な表情とは裏腹にひとつひとつの記憶に暖かい温度が生きていて切なくも美しい。

劇中に登場するお茶のシーンの様に、茶葉の香りを愉しみ、お茶を淹れる時の茶葉の動きを見つめ、じっくり舌で味わう。そんな風にひとりでゆっくりと世界観に向き合いながら物語を咀嚼し、自身の心の中で余韻を留めておく。そんな風に味わい深い付き合い方をしたい作品となっています。

「人間になりたがってた?」
「いかにも人間らしい質問ね。」

人間とロボットの違いではなく、人間・家族とはなんたるものか?という問いに行き着く作品であり、ロボットや血の繋がらない養子、人・機械・人種を超えた繋がりの価値、人生の意味、亡くなったことに対する向き合い方、多くの深い概念へ議論しながらも答えを追いすぎない形で描かれていました。

この映画自体を言語化することが野暮なのではないだろうかと感じる作品であり、些細なことの繰り返しである日々を大切にしたいと願う、忘れられない作品になりました。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.1 『ハウス・ジャック・ビルト』
Vol.2『ピアッシング』
Vol.3『凪待ち』
Vol.4『Diner ダイナー』
Vol.5 『劇場版 Free!-Road to the world-夢』
Vol.6『トイ・ストーリー4』
Vol.7『チャイルド・プレイ』
Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
Vol.9『存在のない子供たち』
Vol.10『永遠に僕のもの』
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Vol.18『クロール-凶暴領域-』
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Vol.21『マチネの終わりに』
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テラシマユウカ

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、テラシマユウカ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノン、ナルハワールド、アイナスター、カ能セイの13人からなるアイドルグループ、GANG PARADEのメンバー。5月21日『GANG PARADE THE GREATEST SHOW TOUR 』YOKOHAMA BAY HALL公演より新13人体制としての活動がスタートし、11月16日(水)にはメジャー4thシングル「Priority」のリリースが決定している。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在であり、映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「今日はさぼって映画をみにいく」を現在連載中。

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