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テラシマユウカの映画コラム Vol.177『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』

StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

新しい音楽と出会い、好きになるタイミングってどういう時なんだろうか?という疑問がふと芽生えた瞬間があります。

私の映画好きの始まりは、友達と怖いもの見たさにホラーを見漁っていたのと、空いた時間を埋めるためにふらっと映画館に通っていたというきっかけがありますが、音楽に関しては学生の頃からあまりそのきっかけを掴めておらず、いまだにどういう風に音楽を探せばいいか迷ってしまいます。

映画をきっかけとして使われていた楽曲やアーティストを好きになることはたまにありますが、それ以外の音楽との出会い方を模索している最中です。

Vol.177『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』

☆3.8/☆5.0

https://mondays-cinema.com/

 

とある小さな広告代理店で働く主人公・吉川朱海(円井わん)は、「この仕事が終わったら、憧れの人がいる大手広告代理店へ転職する」と燃え上がる野心を持って仕事に取り組んでいた。
しかし、次から次に降ってくる仕事で、余裕はゼロ。プライベートも後回し。
月火水木金土日、休みなく働き続けていた、ある月曜日の朝。後輩 2 人組から、こう告げられる。
「僕たち、同じ一週間を繰り返しています!このタイムループを、夢の出来事だと思って忘れないために、合図を覚えてください。鳩です…」。
ひとり、またひとりと、「白い鳩」の合図に導かれ、タイムループの中に閉じ込められているのを確信する社員たち。だが、その脱出の鍵を握る永久部長(マキタスポーツ)は、いつまで経ってもタイムループに気づいてくれないのだった。
繰り返される1週間。広告代理店のオフィスで起こる、摩訶不思議なタイムループ。その原因とは…?身近で共感あふれる新感覚オフィス・タイムループ・ムービー。

 

初の劇場映画『14歳の栞』がロングランヒットを記録した、監督・竹林亮の長編2作目となる本作。

主人公の吉川朱海を演じるのは、新進気鋭の若手女優・円井わん。タイムループの原因となる永久部長を、芸人から執筆活動と多才なキャリアをみせるマキタスポーツが演じています。

月曜日の朝。
プレゼン資料の準備で忙しい中、主人公が後輩2人組から「僕たち、同じ一週間を繰り返しています!」と報告を受けるシーンからこの物語は始まります。

タイムループものというのはある程度の面白さが約束されているジャンルではあると感じますが、本作はその題材を安直に物語の面白さの軸として扱っておらず、「パーム・スプリングス」「恋はデジャ・ブ」のようにタイムリープ×恋愛ではなく、日本らしさのある労働×タイムリープというところが絶妙にマッチしていて、仕事や働くことをテーマとした新しいお仕事映画としてのキャラクター性や脚本がとことん作り込まれています。
緩急の付け方も巧妙で、的確な間の取り方が素晴らしく約80分でサクッと観れるのも良いポイントです。

仕事に追われ、今日が何曜日かも分からない。会社に泊まり込みながら一週間休みなく働き続けていると、誰もが忙しすぎてタイムループにも気付かないほど。

労働基準法なんてなんのそのなブラックぶりですが、マキタスポーツのキャラクターや会社に漂う空気感、程よい抜け感から暗くならず、むしろギャグとして劇場に笑い声が何度も響き渡ります。

ずっとループを繰り返しリセットされてしまうなら、仕事をする必要はないのではないか?という疑問にも、いつループが終わるか分からないからと理由があり、タイムループしてると分かっていてもプライベートも何もかも捨てて常に締切に追われながらスキルを日々上げつつ、がむしゃらに走り続けている彼女たちの姿は、ただコメディとして描かれているのではなく、会社などでチームとして仕事をしている人たちにとって、多くの大事なことが描かれている、やりたいことを貫き通す少年漫画のような映画でした。

ひとつの目標に向かってチームとして協力し切磋琢磨する姿に胸が熱くなる、とっても爽やかな気持ちになれる作品です。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.2『ピアッシング』
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Vol.7『チャイルド・プレイ』
Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
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テラシマユウカ

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、テラシマユウカ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノン、ナルハワールド、アイナスター、カ能セイの13人からなるアイドルグループ、GANG PARADEのメンバー。5月21日『GANG PARADE THE GREATEST SHOW TOUR 』YOKOHAMA BAY HALL公演より新13人体制としての活動がスタートし、11月16日(水)にはメジャー4thシングル「Priority」のリリースが決定している。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在であり、映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「今日はさぼって映画をみにいく」を現在連載中。

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