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StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

普段映画館ではあまりポップコーンなど買わずに作品を観たい派なのですが、池袋グランドシネマサンシャインの最上階にだけ売っているトリュフポップコーンがすごいとの噂を耳にして、久しぶりにポップコーンを抱えながら映画を観る時間を過ごしました。

塩味のポップコーンにこれでもかと目の前でトリュフを削っていれてくれる光景に驚きましたが、味も言わずもがな100点満点の香りのよさでこれからハマってしまいそうです。

Vol.178『RRR』

☆4.5/☆5.0

https://rrr-movie.jp/

 

舞台は1920年、英国植民地時代のインド。
英国軍にさらわれた幼い少女を救うため、立ち上がるビーム(NTR Jr.)。
大義のため英国政府の警察となるラーマ(ラーム・チャラン)。
熱い思いを胸に秘めた男たちが”運命”に導かれて出会い、唯一無二の親友となる。
しかし、ある事件をきっかけに、それぞの”宿命”に切り裂かれる2人はやがて究極の選択を迫られることに。
彼らが選ぶのは、友情か? 使命か?

 

数々の興行新記録を打ち立て、全世界に“バーフバリ旋風”を巻き起こしてインド映画の歴史を変えた映画史上最大の叙事詩にして、もはや神話ともいうべき伝説の2部作『バーフバリ 伝説誕生』と『バーフバリ 王の凱旋』。その創造神S.S.ラージャマウリ監督による全宇宙待望の最新作がついに完成しました。

インド映画史上最高の製作費7200万ドル(約97億円)をかけたこの超大作は、我々の概念を覆すほどの極上の映画体験であり、観客の度肝を抜く秀逸で独創的なアクションシーンで魅了しながらも、植民地時代のインドの政治状況を壮絶に描き出しています。

舞台は1920年代のイギリス植民地支配下となっている時代のインド。

インド人の人権を無視したイギリス人の政策に、反英運動として民衆の怒りが燃え上がっていた中、英国領インド帝国の総督の妻キャサリンが、南インド森林地帯に住むゴーンド族の娘マッリの歌声を気に入り連れ去る。マッリを取り戻すために立ち上がるゴーンド族のビーム。

そして一方、ある熱い思いを胸に秘めながらインド人警察官として英国政府に仕え、反英運動で暴動を起こしたインド人を捕まえるために群衆の中に飛び込み、最後には捕まえてしまうラーマ。

戦士であるこの2人の男の、宿命とも言える出会いと戦い、そして友情と裏切りがメインテーマとなっています。ヒロインとなる女性も登場しますが、関係性をじっくり描く展開はなく互いの素性を知らぬまま男と男の友情を描くことに振り切っています。

S・S・ラージャマウリ監督らしいぶっ飛んだアクションの連続で、そんなバカな!と予想を遥かに超えてくる驚きの畳み掛けで思わず笑ってしまう瞬間が多々ありますが、これぞエンターテインメントの真髄と言っても過言ではない程の映像と構成の素晴らしさが3時間という長い上映時間を感じさせません。

また、ただド派手なアクションを繰り返すのではなく、しっかりと登場人物の宿命や因縁という背景を絡ませて表現されているので、アクションに感情が持っていかれる上、”火と水”という構図や、英国占領者からの「現地人の命の価値は弾丸1発分の価値もない」という言葉が最初から最後まで貫かれるのも胸熱。

ビームとラーマは反英運動家としてそれぞれ実在した人物がモデルとなっており、史実を基にしてフィクションとして組み直した物語としては少々イギリスの描き方が圧倒的悪者として過激すぎる気もしますが、『RRR』を観て単なるエンタメで終わるのではなく、改めてインドのイギリスに対する複雑な感情と歴史背景を強く意識させられもしました。

ポリコレとはまた別の政治的メッセージも垣間見えつつ、エンディングだけでもどれだけの労力と時間とお金をかけたんだ……と圧倒させられるダンスシーンまで、3時間1秒たりとも余さず底抜けのハイテンションとパワフルが凝縮された、最高の映画体験を見せつけられる作品です。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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