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StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

元日ライブを終え、1月3日に年を跨いでの仕事納めみたいなものをしたので、しばらく大阪の実家に帰省していました。

4人兄弟の6人家族なのですが、私もなかなか実家に帰る機会がなく、それぞれの学校などもあったりするので2年以上ぶりに家族全員で食卓を囲む機会になりました。

比較的はやく実家をでて暮らしてきたので弟たちの成長期に会うことが少なく、身長が伸びて声変わりをしているのを久しぶりに見ると、なんだか浦島太郎になったかのような気分になります。

大人になるにつれて家族を取り巻く環境や関係性までまったく別物のように変化を遂げていくのは不思議なものだなと、しんみりしてしまいます。

Vol.186『ファミリア』

☆3.9/☆5.0

https://familiar-movie.jp/

 

陶器職人の神谷誠治は妻を早くに亡くし、山里で独り暮らし。アルジェリアに赴任中の一人息子の学が、難民出身のナディアと結婚し、彼女を連れて一時帰国した。
結婚を機に会社を辞め、焼き物を継ぐと宣言した学に反対する誠治。
一方、隣町の団地に住む在日ブラジル人青年のマルコスは半グレに追われたときに助けてくれた誠治に亡き父の面影を重ね、焼き物の仕事に興味を持つ。そんなある日、アルジェリアに戻った学とナディアを悲劇が襲い……。

 

『八日目の蝉』『ソロモンの偽証』『いのちの停車場』『グッドバイ』など、人間ドラマの名手として知られる成島監督が手がけます。

主人公・神谷誠治を演じるのは日本を代表する名優、役所広司。
親の愛を知らずに育ち、不器用ながらも家族を深く愛する男の心情を唯一無二の演技で表現しています。
そして、息子の学には、NHK大河ドラマ『青天を衝け』に渋沢栄一役で主演を務めた吉沢亮。

また、マルコス役のサガエルカス、彼の恋人エリカ役のワケドファジレには、実際に日本で暮らすブラジル人の若者などがオーディションで選ばれ、当事者による演技は、演技の域を超え説得力を持ちます。

陶器職人の主人公・誠治と、海外で活躍する彼の息子・学、そして主人公が知り合う在日ブラジル人青年・マルコス。
リアルな今を生きる3人の関係を軸に、国籍や育ってきた環境、話す言葉や文化の違い、そして血の繋がりを超えて、普遍的なテーマでもある「家族」になるまでの生活を独自の視野から描いた物語です。

本当の親子の在り方に在日ブラジル人が抱える問題も絡ませて、今日本で抱えている問題を等身大に映しながら生きづらい社会の問題点をつくストーリーは複雑で難しい。

人種や国籍など関係なくそれぞれみな等しく人生があって、生きているのに、なんとなく同じ環境似た経験をしたものでカテゴライズして括ろうとしてしまうのではないだろうか。

透明人間扱いされてきた、確かに存在しているのに見えないようにされてしまっている人々の声に耳を傾け、目を逸らしたいもの、望まぬものまで見つめて世界が直面しているものに対しての解決を真摯に探さねばならないのだと気付かされます。

同じ血、同じ言葉、同じ名前である必要など家族にはない。ひとつ、ふたつ、と境界線を超えた先にある「家族」のかたちを、家族を通して知る作品でした。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.1 『ハウス・ジャック・ビルト』
Vol.2『ピアッシング』
Vol.3『凪待ち』
Vol.4『Diner ダイナー』
Vol.5 『劇場版 Free!-Road to the world-夢』
Vol.6『トイ・ストーリー4』
Vol.7『チャイルド・プレイ』
Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
Vol.9『存在のない子供たち』
Vol.10『永遠に僕のもの』
Vol.11『ゴーストランドの惨劇』
Vol.12『惡の華』
Vol.13『アス』
Vol.14『人間失格 太宰治と3人の女たち』
Vol.15『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
Vol.16『アナベル 死霊博物館』
Vol.17『JOKER』
Vol.18『クロール-凶暴領域-』
Vol.19『ボーダー 二つの世界』
Vol.20『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』
Vol.21『マチネの終わりに』
Vol.22『グレタ GRETA』
Vol.23『テッド・バンディ』
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Vol.58『劇場』
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Vol.74『THE CAVE サッカー少年救出までの18日間』
Vol.75『エイブのキッチンストーリー』
Vol.76『オン・ザ・ロック』
Vol.77『ザ・コール』
Vol.78『ザ・プロム』
Vol.79『ワンダーウーマン 1984』
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テラシマユウカ

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、テラシマユウカ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノン、ナルハワールド、アイナスター、カ能セイの13人からなるアイドルグループ、GANG PARADEのメンバー。5月21日『GANG PARADE THE GREATEST SHOW TOUR 』YOKOHAMA BAY HALL公演より新13人体制としての活動がスタートし、11月16日(水)にはメジャー4thシングル「Priority」のリリースが決定している。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在であり、映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「今日はさぼって映画をみにいく」を現在連載中。

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