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StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

InstagramやYouTubeでよく広告に出てくるくだらないゲームをついついダウンロードしちゃいがちなこの頃。

ああいった単純な作業ゲーにストーリーを重ねて面白みをプラスしている広告の動画など途中でスキップできるのに、何故か最後まで見てしまうのはとっても不思議な現象です。

実際広告で観るイメージほどストーリーが進めることができなかったり、思ったより単純なゲームだったりしますが、こういうのダウンロードしちゃって時間を溶かしていく行為って何だかんだ面白くて辞められないんだろうなと、メンバーもたまにそんなゲームをやっているのを見てついつい笑ってしまいます。

Vol.189『ピンク・クラウド』

☆3.8/☆5.0

https://senlisfilms.jp/pinkcloud/

一夜の関係を共にしていたジョヴァナとヤーゴをけたたましい警報が襲う。突如として世界中に発生した正体不明のピンクの雲——それは10秒間で人を死に至らしめる毒性の雲だった。
緊急事態下、外出制限で街は無人となり、家から一歩も出られなくなった人々の生活は一変する。友人の家から帰れなくなった妹、看護師と閉じ込められた年老いた父、自宅に一人きりの親友……オンラインで連絡をとりあううち、いつ終わるともしれない監禁生活のなかで、彼らの状況が少しずつ悪い方へ傾き始めていることを知るジョヴァナ。そして、見知らぬ他人であったジョヴァナとヤーゴも現実的な役割を果たすことを迫られる。
父親になることを望むヤーゴに反対していたジョヴァナだったが、やがて男の子・リノを出産する。ロックダウン以前の生活を知らないリノは、家の中だけの狭い世界で何不自由なく暮らしており、父となったヤーゴも前向きに新しい生活に適応している。しかし、ピンクの雲が日常の景色となるにつれ、ジョヴァナの中で生じた歪みは次第に大きくなっていくのだった……。

 

幻想か、もう一つの現実か。
人間の心が暴かれるピンク色のディストピア。

世界に突如として現れたピンク色をした雲。毒ガスを含むその雲に触れると10秒で人を死に至らしめる。そんな「ピンク色の雲」という脅威をモチーフに、外に一歩も出られず部屋の中でしか生きられないというディストピアでの人間の感情を追った、パンデミック以前に構想された衝撃のロックダウン・スリラー。

2017年に脚本が書かれ、2019年に撮影された本作は、当初SFとして構想されていたにもかかわらず、 まるでコロナを予知したかのように世界的なパンデミックで一変した現実と重なり、イウリ・ジェルバーゼ監督のデビュー長編は2021年のサンダンス映画祭で予期せぬ形で脚光を浴びることとなりました。

コロナウイルス感染拡大以前に作られた本作は、現実に起こり得たパラレルワールドとして鮮烈なストーリーであり、外には一歩も出られず部屋の中でしか生きられないという制限された状況下においての人間の恐怖を追い、絶望的な思いへと変化していく感情を軸に描いていきます。

最初は戸惑いながらも不便を楽しむかたちで人々は過ごしていきますが、徐々に閉塞された息苦しい生活によって感染症の恐怖に追い詰められていく様は我々でも経験したことで、言わば何も特別な出来事は起きない為に少し単調に映るもののそれが妙に生々しく、なんでも家で完結できる仕組みが整いステイホームが当たり前になっていく感覚になるところまでコロナ禍と恐ろしいほどに一致していて恐ろしさに拍車をかけます。

ですが、この作品がもしコロナのない世界で上映されていたとしたら今とは全く別種のエンターテインメントとして面白いSFスリラーだったかもしれませんが、このコロナ禍に陥ってしまった今の現実世界ではただ3年前の始まりの頃を思い出し新鮮味はなく共感する作品となってしまったことは惜しいポイントなのかもしれません。

突然ロックダウンされたのに、なぜすぐに政府が対応し食糧が調達でき、これまでの生活基盤や文明を維持できているのか?そもそもこの事態が起きた原因は?などという疑問を大きく残すところはあるものの、今作が表現しているのはこの世界がどうなっているのかという点には重きを置いておらず、外出できず、他者とのコミュニケーションもろくに取れない隔離された状況で人はどう受け入れどう生きていくのかという焦点であり、それと共にオンラインに深く依存する社会への危惧みたいなものも浮き彫りにされているように見えます。

いつも通りの生活をしている”つもり”でいる日常を通して人々が徐々に壊れていく様が描かれていますが、今のご時世だからこそ感情移入できてしまうところがなんだか皮肉にも感じてしまう題材であり、男女での事態の捉え方や考え方の違いや、そこから時間をかけて至った結論など、人間の本質を見抜くのがとても巧妙な映画でした。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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テラシマユウカ

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、テラシマユウカ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノン、ナルハワールド、アイナスター、カ能セイの13人からなるアイドルグループ、GANG PARADEのメンバー。5月21日『GANG PARADE THE GREATEST SHOW TOUR 』YOKOHAMA BAY HALL公演より新13人体制としての活動がスタートし、11月16日(水)にはメジャー4thシングル「Priority」のリリースが決定している。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在であり、映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「今日はさぼって映画をみにいく」を現在連載中。

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