テラシマユウカの映画コラム Vol.201『search／#サーチ2』

4月も後半になり、新年度に託けて新しいこと始めようと思っていたこと、なにか忘れていないかな…？と焦ってアンテナを張る日々を過ごしています。

このタイミングを逃したら1年は何もスタートできない気がしていますが、年明けに今年は本をたくさん読む年にするぞーっと意気込んでいた記憶が微かにあります。

実際2023年になってまだ2冊しか読めていないのでスタートダッシュ失敗しているわけですが、まだ間に合う可能性を信じて読みたい本を見つけることから始めてみようと思います。

小説よりは、知識を得れる本を積み重ねていきたいなという気持ちなので映画の本をたくさん読みたいです。

Vol.201『search／#サーチ2』

☆4.0/☆5.0

パソコンの画面上で物語が展開していくという斬新なアイデアと巧みなストーリーテリングで話題となったサスペンススリラー『search／サーチ』のシリーズ第2弾。続編ではありますが、同じコンセプトで描きながらも物語やキャラクターは継続しない全く別のものとなっているので、前作を観ていなくても問題なく楽しめる作品となっています。

前作、監督・脚本を手がけたアニーシュ・チャガンティが今作では原案・製作を務め、前作の編集を担当したウィル・メリックとニック・ジョンソンが監督を務めました。
娘・ジューン役は『ザ・スーサイド・スクワッド　“極”悪党、集結』『透明人間』などに出演してきたストーム・リード。

前回は父が娘を探す物語でしたが、今作は娘が母を探すという、反転した物語になっています。主人公が10代でありSNSを使い慣れている世代であるため、その捜索の手数も豊富です。また、10代故に出来ることが限られている一面もあり、同じ世界観の第2弾ありながらも、そう来るか！というアイデアとユーモアの驚きの連続の演出で、作り手のセンスに磨きがかかっていました。

全編パソコンの画面上で展開されるという制限されたシチュエーションの中で、ただ単にパソコンの画面を映しているだけでなく、カーソルの動かすスピードやクリックのタイミングまで計算されており、主人公の心理的描写を表情以外で表現する繊細さが実に秀逸に描かれています。

インターネットを使う際に起こる”あるある”なども織り込まれて共感を得やすく、デジタル上で起こる人間味のある仕草が機会的になりすぎず感情的なドラマも発生させているのです。それと共に音楽の力も強く感じる側面があり、劇伴によって更に今主人公がどういう感情なのかを分かりやすく示しています。

巧みな画面構成と編集により、誰のパソコンであるかという視点の変え方も巧妙で、少しずつ明かされていく真実と共に広がってくる視点が思わずドキッとする瞬間でもあり、スピード感のある展開と膨大な情報量に目がまわりそうになりながらも捜査が常に近くでリアルタイムで進行していく感覚が常にハラハラを与えてくれます。

トリッキーな手法の面白さがありながら、軸には家族への愛情が生きており、諦めることなく母を探し続け、愛を再確認する思春期で不器用な少女の姿は、感情移入せざるを得ない胸を打つ物語です。

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Vol.3『凪待ち』
Vol.4『Diner ダイナー』
Vol.5 『劇場版 Free!-Road to the world-夢』
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Vol.7『チャイルド・プレイ』
Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
Vol.9『存在のない子供たち』
Vol.10『永遠に僕のもの』
Vol.11『ゴーストランドの惨劇』
Vol.12『惡の華』
Vol.13『アス』
Vol.14『人間失格 太宰治と3人の女たち』
Vol.15『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
Vol.16『アナベル 死霊博物館』
Vol.17『JOKER』
Vol.18『クロール－凶暴領域－』
Vol.19『ボーダー 二つの世界』
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Vol.21『マチネの終わりに』
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