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StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

4月の春ツアーにゴールデンウィーク、LINE CUBE SHIBUYAワンマン、そしてアルバムのリリース期間を終え嵐が過ぎ去ったような感覚に浸っています。

6月は比較的ゆっくり過ごすことになりそうなので、映画紹介TikTokにやっと時間をたっぷりかける1ヶ月になりそうです。更新たくさんしていきたいです。

7月からはBiSとのツーマンツアー、ナタリー企画のツーマンツアーに、それに加えてFCツアーと秋ツアーも発表されており、またライブ三昧できそうなスケジュールでとってもワクワクしています。

秋ツアー詳細  https://www.gangparade.com/news/14384

色んなライヴのチケット  https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=E7150021

どこかのライヴであなたにお会いできたら嬉しいです!

Vol.205『最後まで行く』

☆4.0/☆5.0

https://saigomadeiku-movie.jp/

 

ある年の瀬の夜、刑事の工藤は危篤の母のもとに向かうため雨の中で車を飛ばしていたが、妻からの着信で母の最期に間に合わなかったことを知る。
その時、車の前に現れたひとりの男をはねてしまい、工藤は男の遺体を車のトランクに入れ、その場を立ち去る。
そして、男の遺体を母の棺桶に入れ、母とともに斎場で焼こうと試みるが、スマホに「お前は人を殺した。知っているぞ」というメッセージが入る。
そのメッセージの送り主は県警本部の監察官・矢崎で、彼もまた裏に決して周囲に知られてはいけない秘密を隠し持っていた。
追われる工藤と、追う矢崎。
果たして、前代未聞の96時間の逃走劇の結末は…? そして、男の遺体に秘められた、衝撃の事実とは!?

 

2014年に公開された韓国映画『最後まで行く』。ひとつの事故を発端に、極限まで追い詰められていく刑事の姿を描いたこのクライムサスペンスは、『パラサイト半地下の家族』のイ・ソンギュン主演、韓国で5週連続No.1観客動員345万人の大ヒットを記録しました。

そしてこの度、本作がついに日本でもリメイクされました。

裏金、ひき逃げ、母親の死。

陰謀に巻きこまれていく刑事とそれを追う謎の監察官の96時間の物語が、圧倒的な緊張感とスピード感、そして思わずクスっと笑ってしまうコミカルさをスパイスに展開されていく、ノンストップエンターテインメント。

監督は『新聞記者』で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞、『余命10年』が興行収入30億の大ヒットと、現在の日本映画界をリードする藤井道人。主演の刑事・工藤役は、現代劇・時代劇問わず多くの大ヒット作を持つ岡田准一。工藤と対決するエリート監察官・矢崎役は藤井道人作品『ヤクザと家族The Family』『アバランチ』でも主演を務め、縦横無尽な演技力が話題となり快進撃が止まらない綾野剛。

他にも工藤の別居中の妻を広末涼子、車に轢かれた男を磯村勇斗、工藤の同僚に駿河太郎、上司役には杉本哲太、そしてオリジナル版では登場しないヤクザの組長役を柄本明演じます。

危機、裏切り、罠、そして最後に待ち構える衝撃のラスト…。 一人の刑事に巻き起こる、予測不可能な出来事の数々に邦画史上類を見ない、手に汗握る極限のサスペンス・エンタテインメントとしてリメイクさせました。

シンプルに面白い。エンタメ度数が最高値を叩き出すほど高く、冒頭からノンストップで突き進みテンポも抜群に良い。シリアスとコメディが絶妙なバランスで混在し、目まぐるしく状況が変わるスリリングさに退屈する時間が1秒もなく楽しめます。

前半は工藤を中心に巻き起こる事件と彼の背景を描いていきますが、後半から綾野剛演じる矢崎の背景と秘密を描き、A面・B面のような展開をしていきます。このエピソードが本作を非常に満足度の高いものへと導いており、工藤と矢崎のコミカルとシリアスさをより色濃く、対比構造として示していきます。そして、最後の最後に柄本明演じる組長役サイドのエピソードも飛び出してくるところもアツい。

岡田准一と綾野剛がとにかく素晴らしく主演の2人抜きでは本作を語れません。ヘタレ感のある岡田准一の姿を見るのは久しぶりで珍しく、巻き起こる重い展開と良いヘタレ具合の工藤の緊張と緩和の連続によってサスペンスも笑いも生み出す美味しいとこどり。

また、工藤に反して矢崎を演じる綾野剛のヤバさはピカイチ。これまで色んな役を演じてきた彼ですが、底知れないヤバさを秘めた切れ者感はとにかく異常。車ごと爆破されても、何があっても絶対に死なずゾンビのように追い続けてくる姿には恐怖を超えた笑いを提供してくれます。

ラストはいわゆるハッピーエンドではなく、工藤と矢崎の対決に決着をつけないままとなりますが、救いがないようでこの先の想像を膨らましてみたくなる面白みのあるものとなっていて、『最後まで行く』というタイトルの意味合いをしっかり帯びさせたものとなっていました。

欲深い権力者に騙し騙され、いいように使われている駒でしかなく、閉塞的な村社会から脱せずそこでもがくしかない、砂漠のトカゲのような残酷な縮図を浮き彫りにしていながらも、アクションエンターテインメントの醍醐味を堪能できる作品です。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


「今日はさぼって映画をみにいく」のバックナンバーも合わせてチェック!!

Vol.1 『ハウス・ジャック・ビルト』
Vol.2『ピアッシング』
Vol.3『凪待ち』
Vol.4『Diner ダイナー』
Vol.5 『劇場版 Free!-Road to the world-夢』
Vol.6『トイ・ストーリー4』
Vol.7『チャイルド・プレイ』
Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
Vol.9『存在のない子供たち』
Vol.10『永遠に僕のもの』
Vol.11『ゴーストランドの惨劇』
Vol.12『惡の華』
Vol.13『アス』
Vol.14『人間失格 太宰治と3人の女たち』
Vol.15『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
Vol.16『アナベル 死霊博物館』
Vol.17『JOKER』
Vol.18『クロール-凶暴領域-』
Vol.19『ボーダー 二つの世界』
Vol.20『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』
Vol.21『マチネの終わりに』
Vol.22『グレタ GRETA』
Vol.23『テッド・バンディ』
Vol.24『ドクター・スリープ』
Vol.25『マリッジ・ストーリー』
Vol.26『カツベン!』
Vol.27『ラスト・クリスマス』
Vol.28『屍人荘の殺人』
Vol.29『パラサイト 半地下の家族』
Vol.30『シライサン』
Vol.31『ペット・セメタリー』
Vol.32『ジョジョ・ラビット』
Vol.33『his』
Vol.34『犬鳴村』
Vol.35『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
Vol.36『ミッドサマー』
Vol.37『架空OL日記』
Vol.38『スキャンダル』
Vol.39『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』
Vol.40『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
Vol.41『デッド・ドント・ダイ』
Vol.42『青色映画ポスター特集』
Vol.43『MyFrenchFilmFestival フランスショートフィルム特集』
Vol.44『邦画特集』
Vol.45『エズラ・ミラー特集』
Vol.46『エディ・レッドメイン特集』
Vol.47『眠れない夜にみたい映画』
Vol.48『トラウマ映画特集』
Vol.49『ゴシック映画特集』
Vol.50『映画と音楽』
Vol.51『ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷』
Vol.52『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
Vol.53『アングスト/不安』
Vol.54『ANNA/アナ』
Vol.55『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』
Vol.56『透明人間』
Vol.57『ダークナイト』
Vol.58『劇場』
Vol.59『海底47m 古代マヤの死の迷宮』
Vol.60『ダンケルク』
Vol.61『ハニーボーイ』
Vol.62『インセプション』
Vol.63『ようこそ映画音響の世界へ』
Vol.64『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』
Vol.65『インターステラー』
Vol.66『TENET テネット』
Vol.67『エノーラ・ホームズの事件簿』
Vol.68『ミッドナイトスワン』
Vol.69『悪魔はいつもそこに』
Vol.70『マティアス&マキシム』
Vol.71『シカゴ7裁判』
Vol.72『レベッカ』
Vol.73『ザ・ハント』
Vol.74『THE CAVE サッカー少年救出までの18日間』
Vol.75『エイブのキッチンストーリー』
Vol.76『オン・ザ・ロック』
Vol.77『ザ・コール』
Vol.78『ザ・プロム』
Vol.79『ワンダーウーマン 1984』
Vol.80『ソング・トゥ・ソング』
Vol.81『Swallow/スワロウ』
Vol.82『ヒッチャー ニューマスター版』
Vol.83『恋する遊園地』
Vol.84『ズーム/見えない参加者』
Vol.85『ダニエル』
Vol.86『マーメイド・イン・パリ』
Vol.87『プラットフォーム』
Vol.88『聖なる犯罪者』
Vol.89『ベイビーティース』
Vol.90『花束みたいな恋をした』
Vol.91『ビバリウム』
Vol.92『ガンズ・アキンボ』
Vol.93『トムとジェリー』
Vol.94『BLUE/ブルー』
Vol.95『パーム・スプリングス』
Vol.96『街の上で』
Vol.97『ザ・スイッチ』
Vol.98『SNS-少女たちの10日間-』
Vol.99『ノマドランド』
Vol.100『ファーザー』
Vol.101『くれなずめ』
Vol.102『クルエラ』
Vol.103『猿楽町で会いましょう』
Vol.104『コンティニュー』
Vol.105『RUN/ラン』
Vol.106『ライトハウス』
Vol.107『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』
Vol.108『1秒先の彼女』
Vol.109『ブラック・ウィドウ』
Vol.110『17歳の瞳に映る世界』
Vol.111『プロミシング・ヤング・ウーマン』
Vol.112『日常対話』
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Vol.114『フリー・ガイ』
Vol.115『サマーフィルムにのって』
Vol.116『アナザーラウンド』
Vol.117『ドント・ブリーズ2』
Vol.118『うみべの女の子』
Vol.119『レミニセンス』
Vol.120『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』
Vol.121『キャッシュトラック』
Vol.122『DUNE/デューン 砂の惑星』
Vol.123『キャンディマン』
Vol.124『最後の決闘裁判』
Vol.125『ラストナイト・イン・ソーホー』
Vol.126『アンテベラム』
Vol.127『マリグナント 狂暴な悪夢』
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Vol.129『リトル・ガール』
Vol.130『ボクたちはみんな大人になれなかった』
Vol.131『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』
Vol.132『キングスマン:ファースト・エージェント』
Vol.133『マトリックス レザレクションズ』
Vol.134『ドント・ルック・アップ』
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Vol.136『さがす』
Vol.137『偶然と想像』
Vol.138『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』
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Vol.140『ちょっと思い出しただけ』
Vol.141『アンチャーテッド』
Vol.142『ナイル殺人事件』
Vol.143『THE BATMAN-ザ・バットマン-』
Vol.144 『林檎とポラロイド』
Vol.145『ナイトメア・アリー』
Vol.146『TITANE/チタン』
Vol.147『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』
Vol.148 『ハッチング―孵化―』
Vol.149『モービウス』
Vol.150『カモン カモン』
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Vol.152『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』
Vol.153『流浪の月』
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Vol.159『ブラック・フォン』
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Vol.165『グレイマン』
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Vol.167『サバカン SABAKAN』
Vol.168『NOPE/ノープ』
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Vol.170『LAMB/ラム』
Vol.171『手』
Vol.172『秘密の森の、その向こう』
Vol.173『ホラー・ショートフィルム特集』
Vol.174『マイ・ブロークン・マリコ』
Vol.175『アフター・ヤン』
Vol176. 『窓辺にて』
Vol.177『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』
Vol.178『RRR』
Vol.179『ファイブ・デビルズ』
Vol.180『ザ・メニュー』
Vol.181『ザリガニの鳴くところ』
Vol.182『ラーゲリより愛を込めて』
Vol.183『MEN 同じ顔の男たち』
Vol.184『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
Vol.185『ケイコ 目を澄ませて』
Vol.186『ファミリア』
Vol.187『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』
Vol.188『ノースマン 導かれし復讐者』
Vol.189『ピンク・クラウド』
Vol.190『すべてうまくいきますように』
Vol.191『バイオレント・ナイト』
Vol.192『バビロン』
Vol.193『ボーンズ アンド オール』
Vol.194『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
Vol.195『フェイブルマンズ』
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Vol.197『オットーという男』
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Vol.199『ザ・ホエール』
Vol.200『生きる LIVING』
Vol.201『search/#サーチ2』
Vol.202『AIR/エア』
Vol.203『それでも私は生きていく』
Vol.204『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』

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テラシマユウカ

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、テラシマユウカ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノン、ナルハワールド、アイナスター、カ能セイの13人からなるアイドルグループ、GANG PARADEのメンバー。5月21日『GANG PARADE THE GREATEST SHOW TOUR 』YOKOHAMA BAY HALL公演より新13人体制としての活動がスタートし、11月16日(水)にはメジャー4thシングル「Priority」のリリースが決定している。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在であり、映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「今日はさぼって映画をみにいく」を現在連載中。

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