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StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

最近は映画のグッズ集めにハマっています。

あまり前売り券など買うタイプではなかったのですが、『アステロイド・シティ』の前売りに宇宙人Tシャツがついてくるというのを発見して、さすがに即買いしてしまいました。

そこからというものの、映画Tシャツって身につけてたらもしかしてめちゃくちゃ日常的にテンションあがるのでは…?と良さに気づいてしまい、いそいそとTシャツ集めに勤しんでいます。

どこに売っているのかしらないので基本メルカリで探しているのですが、古着屋さんなどでも見つけたいものです。

何か良いお店やサイトなど知ってる方いたら教えてください!

Vol.216『イノセンツ』

☆4.3/☆5.0

https://longride.jp/innocents/

 

緑豊かな郊外の団地に引っ越してきた9歳の少女イーダ、自閉症で口のきけない姉のアナが、同じ団地に暮らすベン、アイシャと親しくなる。ベンは手で触れることなく小さな物体を動かせる念動力、アイシャは互いに離れていてもアナと感情、思考を共有できる不思議な能力を秘めていた。夏休み中の4人は大人の目が届かないところで、魔法のようなサイキック・パワーの強度を高めていく。しかし、遊びだった時間は次第にエスカレートし、取り返しのつかない狂気となり<衝撃の夏休み>に姿を変えていく─ 。

 

第74回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され、ノルウェーのアカデミー賞と呼ばれるアマンダ賞で驚異の4冠を獲得。世界の映画祭で16映画賞を受賞し、観客を絶賛と衝撃の渦に巻き込んだ問題作がついに日本上陸。

監督・脚本を手掛けたのは、ノルウェーを代表する映画監督ヨアキム・トリアーの右腕として『母の残像』『テルマ』などの脚本を共同で務め、『わたしは最悪。』で米アカデミー賞脚本賞にノミネートされた鬼才エスキル・フォクト。子供たちの夏休みを、かつて誰も見たことのない“無垢なる恐怖”で紡ぎ上げた。

また、世界中に多くの熱狂的ファンを持つ大友克洋の傑作漫画「童夢」からインスピレーションを得た本作は、特異な世界観のみならず不穏な予兆と驚きに満ちたサイキック描写においても傑出した迫真性を獲得。大人が一切介在しない子供たちの“危険な遊び”は予測不能な想像を絶する結末へと突き進む。

派手さはないが意外性があり、胃がキリキリと痛くなるような静かなる淡々とした恐怖がずっと傍にいるような感覚を味わうこととなります。ジャンプスケアなどのベタな演出は一切なく、あくまでも心理的に訴えてくる恐怖がメインであり、一瞬たりとも安心する隙を与えないような演出がじんわりと続いていく。

子供が超能力を手にした時、彼女らはその力をどう扱うのかを問う物語であり、子供というのは無邪気で残酷であるということを描き出しています。超能力が出てくるのでSF、非現実的なものになるかと思いきや、この映画は現実そのものを切り取ったかのような妙なリアルさが存在する。大人の存在が排除され、何が起きているか親たちは一切知らず完全に子どもたちのコミュニティだけで起きているという構成が、この物語のテーマをより強調させる働きを担っています。

なによりも“サウンド”の力が凄まじく、生活音にフォーカスを当てることで普段ならなんでもないような鉄が擦れる音、日常に存在する低音の不気味さを、何かがひっそりと潜んでいると予感させるような音の怖さを表現する秀逸さが癖になる作品であり、これから起こる展開を観客に想像させるものでありました。

アナ、ベン、アイシャ、それぞれの超能力の背景には家庭環境が影響しており、ベンは母親から育児放棄され気味でした。その復讐や自己顕示のために能力を使い、母親がよく隠れて泣いている家庭で育つアイシャは、他人と感情や思考を共有できる能力を持ち、自閉症で口を聞けないアナも他人と思考を共有できる力を持ちます。

子供の無邪気さや純粋さ故に生まれる悪意を中心に、大人たちが知る由もないところで幼いながらにそれぞれが悩みや不安を抱えながらそれと戦い、声にならない声でヘルプを出していることが描かれていました。

大人になった我々も間違いなく幼い頃にそんな時間を過ごしてきたが今となっては忘れてしまった、「子供だけの世界」を妙にリアルに映し出した全く展開が全く予想できないホラーであり、観る者によって様々な捉え方をすることが可能である、想像力を掻き立てられる作品でした。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.1 『ハウス・ジャック・ビルト』
Vol.2『ピアッシング』
Vol.3『凪待ち』
Vol.4『Diner ダイナー』
Vol.5 『劇場版 Free!-Road to the world-夢』
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Vol.7『チャイルド・プレイ』
Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
Vol.9『存在のない子供たち』
Vol.10『永遠に僕のもの』
Vol.11『ゴーストランドの惨劇』
Vol.12『惡の華』
Vol.13『アス』
Vol.14『人間失格 太宰治と3人の女たち』
Vol.15『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
Vol.16『アナベル 死霊博物館』
Vol.17『JOKER』
Vol.18『クロール-凶暴領域-』
Vol.19『ボーダー 二つの世界』
Vol.20『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』
Vol.21『マチネの終わりに』
Vol.22『グレタ GRETA』
Vol.23『テッド・バンディ』
Vol.24『ドクター・スリープ』
Vol.25『マリッジ・ストーリー』
Vol.26『カツベン!』
Vol.27『ラスト・クリスマス』
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Vol.29『パラサイト 半地下の家族』
Vol.30『シライサン』
Vol.31『ペット・セメタリー』
Vol.32『ジョジョ・ラビット』
Vol.33『his』
Vol.34『犬鳴村』
Vol.35『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
Vol.36『ミッドサマー』
Vol.37『架空OL日記』
Vol.38『スキャンダル』
Vol.39『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』
Vol.40『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
Vol.41『デッド・ドント・ダイ』
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Vol.47『眠れない夜にみたい映画』
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「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、テラシマユウカ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノン、ナルハワールド、アイナスター、カ能セイの13人からなるアイドルグループ、GANG PARADEのメンバー。2022年5月21日『GANG PARADE THE GREATEST SHOW TOUR 』YOKOHAMA BAY HALL公演より新13人体制としての活動がスタートし、2023年5月10日(水)にはメジャー2ndアルバム「OUR PARADE」をリリース。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在であり、映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「今日はさぼって映画をみにいく」を現在連載中。

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