こんにちは、テラシマユウカです。
秋ツアーで全国を巡っているこの頃。
遠征のひとつの楽しみとして、ご当地のおつまみ的なものを毎回自分に買って帰っています。
甘い系のおみやげは食べられないものが多いので、しょっぱいものに全振りしています。
今のところ、福岡の明太子と馬刺しがナンバーワンでした。家で焼いて炙り明太子にしたら完全に優勝してしまったので、秋ツアー福岡で買って帰るのが楽しみでなりません。
https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=E7150021
Vol.222『ファルコン・レイク』
☆4.0/☆5.0
https://sundae-films.com/falcon-lake/
ある夏の日。
もうすぐ14歳になるバスティアンは、両親と歳の離れた弟と一緒にフランスからカナダ・ケベックにある湖畔の避暑地へとやってくる。
2年ぶりに訪れる湖と森に囲まれたコテージで、母の友人ルイーズと娘のクロエと共に数日間を一緒に過ごす。
久しぶりに再会したクロエは16歳になっていて、以前よりも大人びた雰囲気だ。桟橋に寝転んでいたクロエは服を脱ぎ捨てるとひとり湖に飛び込む。
「湖の幽霊が怖い?」
泳ぎたがらないバスティアンをおどかすようにクロエが話す。大人の目を盗んで飲むワイン、2人で出かけた夜のパーティー。
自分の知らない世界を歩む3つ年上のクロエに惹かれていくバスティアンは、帰りが迫るある夜、彼女を追って湖のほとりへ向かうが——。
想像し得ない結末に、世界が心を奪われた全く新しい青春映画の傑作が誕生。
監督を務めるのは、『ムード・インディゴ うたかたの日々』、『イヴ・サンローラン』など数々の話題作に出演しフランスを拠点に俳優としても活躍する新鋭シャルロット・ル・ボン。
初の長編監督作ながら脚本も手掛けた本作は、第75回カンヌ国際映画祭での上映を皮切りに、第58回シカゴ国際映画祭ゴールド・ヒューゴ (新人監督賞)など世界中の映画祭で受賞を重ね大きな注目を集める。ル・ボン監督の独創的な世界観と映像美は高く評価され、第76回カンヌ国際映画祭では短編部門の審査員に抜擢。
原作は、文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞に輝き、日本でも人気を博すバンド・デシネの名手バスティアン・ヴィヴェスによる「年上のひと」。原作者も映像化はできないと考えていた繊細な物語が、原作をベースにしながらも映画オリジナルで紡がれる想像し得ない衝撃のラストを加え、見事に映画化されました。
主人公バスティアン役に撮影時14歳の新星ジョゼフ・アンジェル。ヒロインのクロエ役に約400人の中から選ばれたサラ・モンプチ。さらに、グザヴィエ・ドラン作品の常連モニア・ショクリも主人公の母親役として出演。瑞々しい10代の逸材と実力派俳優陣が圧倒の存在感で物語へと惹き込む。
14歳を迎える少年と16歳の少女。大人の入口に入ろうとしているバスティアンと大人に移り変わる過程で悩み始めるクロエ。子どもに戻ることも大人になりきることもできない2人が初めて感じる、特別な絆と感情。
若さゆえの未知の体験に心躍らせ高揚する気持ちと、心を締め付ける様な苦しみ。刻々と変化する人生で1度しか訪れないトワイライトゾーンを16mmフィルムならではの親密な映像美で映し出します。
眩い光と夕闇の不穏さが溶け合う湖、 2人だけの秘密。誰もが大切にしまいたくなるような、あまりに切なくて残酷で美しいひと夏が描かれていくのです。
水面に浮かぶ死体を捉えたファーストカットから始まる物語は、青春、恋愛、そして性への目覚めといったテーマと共に「死」が一貫して若さと隣り合わせに存在します。『スタンド・バイ・ミー』が少年たちが死体を探しにいく物語だったように、彼らにとって未知の現象である性や死に興味を持ち強く惹かれ、まだそれらから遠くにいてリアルに感じ取ることが出来ないが故に、死へと近づいていってしまいます。
まだ背伸びをするしかない若さの抱える焦燥感や孤独感、大人になることへの畏れといったものが映画の主題となり、ノスタルジックな感情を大人になった我々観客に思い出させます。子どもから大人へと成長していく過程での細やかな感情の変化を巧みに表現し、多くの共感を得られる作品となっていました。
青春は痛みを伴う。ラストシーンで抱く感情は鑑賞後も晴れる事のないまま心に残り続けるのです。
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