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StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

多摩市とWACKが合同で作り上げる文化祭を10.21-22で開催することになり、その内のひとつのイベントとして短編映画を制作することになりました。

ただいま絶賛脚本執筆中なのですが、0からものを生み出す作業は出口のない真っ暗なトンネルを永遠と歩き続けているようで、答えのない世界の難しさを実感しています。

自主制作映画なので、脚本もオリジナル、撮影もiPhoneで、最後の編集まで含めて大方の事を自分たちでやる予定です。

初めての挑戦、すぐに成功の結果が出ることなんてないんだからやるだけやってみようの精神で楽しんでやっていきたいものです。

Vol.223『オオカミの家』

☆4.3/☆5.0

http://www.zaziefilms.com/lacasalobo/

 

美しい山々に囲まれたチリ南部のドイツ人集落。“助け合って幸せに”をモットーとするその集落に、動物が大好きなマリアという美しい娘が暮らしていた。ある日、ブタを逃がしてしまったマリアは、きびしい罰に耐えられず集落から脱走してしまう。逃げ込んだ一軒家で出会った2匹の子ブタに「ペドロ」「アナ」と名付け世話をすることにしたマリア。だが、安心したのも束の間。森の奥から彼女を探すオオカミの声が聞こえはじめる。 怯えるマリアに呼応するように、子ブタは恐ろしい姿に形を変え、家は悪夢のような禍々しい世界と化していく……。

 

チリ南部のある施設から逃走し森の中の一軒家で二匹の子ブタと出会った娘、マリアの身に起きる悪夢のような出来事を描いた映画『オオカミの家』。

本作は、チリに実在したコミューン「コロニア・ディグニダ」にインスパイアを受けた、全編カメラが止まることなく最後までワンシーン・ワンカットで空間が変容し続ける“異形”すぎるストップモーション・アニメーション。『ミッド・サマー』のアリ・アスターが魅了され自らコンタクトをとったという、チリのアーティスト・デュオ、クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャによる初長編『オオカミの家』と短編『骨』の同時上映。

レオン&コシーニャが監督のほかに脚本、美術、撮影、アニメーションなどを務めました。撮影場所は、チリ国立美術館やサンティアゴ現代美術館のほか、オランダ、ドイツ、メキシコ、アルゼンチンにある10カ所以上の美術館やギャラリー。実寸大の部屋のセットを組み、ミニチュアではない等身大の人形や絵画をミックスして制作。制作過程や制作途中の映像をエキシビションの一環として観客に公開するという手法で映画を完成させました。企画段階を含めると完成までに5年の歳月を費やしており、ワールドプレミアとなった第68回ベルリン国際映画祭ではカリガリ映画賞を、第42回アヌシー国際アニメーション映画祭では審査員賞を受賞するなど世界各国で数々の賞を受賞しています。

止まることなく変容し続ける圧倒的な映像のパワーと美しさに「何を観せられているんだ…?」と戸惑い、鑑賞後放心状態から抜け出せなくなる。

ただのストップモーションアニメだと思って観に行くと魂を抜かれてしまうほど奇抜な表現力が爆発しており、家の壁や床を使って登場人物の姿形や心情までも描く。空間の全てを使い切った映像は高熱を出したときに見る悪夢の究極形であり、崩壊と再構築が永遠と続くこの奇妙な空気にあっという間に囚われてしまうのです。

「3匹の子豚」がモチーフかと思いきやそれとも全く違う。ドイツからチリに渡ったナチス残党によって設立されたカルト教団のコロニア・ディグニダによる強制労働や洗脳、虐待といった支配の元から脱走した主人公のマリアが、隠れ家を探しそこで出会ったペドロとアナに対して、今度はマリアが支配する立場になり同じことを繰り返してしまう。抑圧的なコミュニティに属していると抜け出してもそこと同一化してしまった要素が出てしまうという物語でもあり、それとは別にまるで教団側が子どもに向けてコロニアは安全ですよとアピールするプロパガンダのような印象もある。実際に教団の指導者が作品を作っていたらこんな風になっていたのかもしれないと思わせます。

全てが完成された映像ではなく、誰かが喋っている最中にぐちゃぐちゃに崩され粘土で肉付けし絵の具で彼ら登場人物にまた色をつけ、また一から再構築されていく工程までもが物語の一部である。思いもよらない演出に言葉を失い、アリ・アスターが魅了されたと言うのも納得の、まさに常軌を逸した作品でした。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.3『凪待ち』
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Vol.5 『劇場版 Free!-Road to the world-夢』
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Vol.10『永遠に僕のもの』
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Vol.18『クロール-凶暴領域-』
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Vol.29『パラサイト 半地下の家族』
Vol.30『シライサン』
Vol.31『ペット・セメタリー』
Vol.32『ジョジョ・ラビット』
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テラシマユウカ

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、テラシマユウカ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノン、ナルハワールド、アイナスター、カ能セイの13人からなるアイドルグループ、GANG PARADEのメンバー。2022年5月21日『GANG PARADE THE GREATEST SHOW TOUR 』YOKOHAMA BAY HALL公演より新13人体制としての活動がスタートし、2023年5月10日(水)にはメジャー2ndアルバム「OUR PARADE」をリリース。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在であり、映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「今日はさぼって映画をみにいく」を現在連載中。

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