こんにちは、テラシマユウカです。
忘れられない日というものは人生にいくつか存在しますが、2024年1月28日の夜にまた新たに記憶に残り続ける日が生まれた気がします。
日比谷野音にてワンマンライブをした日でしたが、1月の日の短さによって夕方にはもう既に暗くなった野外に広がる無数の光の海と歓声はどんな景色よりも綺麗で、1秒たりとも見逃してはいけないと必死に目に焼き付けた瞬間でした。
こういった体験をしていくために生きていくんだろうなと、そんな感覚をずっと大切にしたいなと思います。
Vol.242『熱のあとに』
☆3.6/☆5.0
愛したホスト・隼人を刺し殺そうとした過去を持つ女・沙苗。事件から6年の時が経ち、出所した沙苗は林業に従事する健太とお見合いで出会い、結婚する。健太は沙苗の過去を知り、受け入れた上で結婚に踏み切ったのだった。
平穏な結婚生活が始まったと思っていた矢先、2人の前に謎めいた隣人の女・足立が現れる。気さくに接してくる足立が抱える秘密とは。
そして、全てを捧げた隼人の影に翻弄される沙苗。普通の生活へ引き戻してくれる健太の温もりを受け取りながらも、隼人への燃え上がるような想いを抱き続ける沙苗がたどり着いた、”愛し方”の結末とはーー。
2019年に起きた新宿ホスト殺人未遂事件にインスパイアされて作られた衝撃作。
見るものを翻弄する愛の物語を創り上げたのは、東京藝術大学大学院で諏訪敦彦、黒沢清らに師事した新鋭・山本英。修了制作『小さな声で囁いて』がマルセイユ国際映画祭、全州国際映画祭などに出品された山本が、脚本のイ・ナウォンと共に構想を練ったオリジナル脚本を映像化。本作は商業デビュー作でありながら、第28回釜山国際映画祭、第60回台北金馬映画祭へ正式出品され、すでに国外からも注目を集めている。
主人公・沙苗を演じるのは『桐島、部活やめるってよ』などでアカデミー賞新人俳優賞を受賞し、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』にも出演する橋本愛。沙苗の夫・健太役には『すばらしき世界』『笑いのカイブツ』などの仲野太賀。物語の鍵を握る謎の隣人・足立役を『わたし達はおとな』『Winny』『福田村事件』など話題作に引っ張りだこの木竜麻生。坂井真紀、木野花、鳴海唯、水上恒司などの実力派俳優が脇を固めます。
人を惹き寄せる強い魅力を持つ橋本愛と仲野太賀の力によって引き摺り込まれ、今を幸せに感じているがそれはきっと限定的なことで、燃え上がる様な身を焦がす愛が真実だと思う沙苗と、彼女を寛容に受け入れているが内では大きな思いを抱いていた健太の、ふとした些細なきっかけで全てが崩れて消え去ってしまいそうな緊張感が常に存在し、釘付けになってしまいます。
歪すぎるほどにゆがんだ純愛ながら普遍的な愛の形を探し求める人間ドラマで、言うまでもなく愛の形は様々。多様な出来事や経験、年齢によって変化していく愛は時に一瞬で憎悪に変わってしまったり、曖昧で不安定に描かれる愛の形を自分の価値観と比べながら見つめていく、答えのない、分かり合えることのないテーマに向き合うこととなります。
屈折した登場人物ばかりで複雑に絡み合う人々たちを重く描いていますが、作中にはコメディ要素も含まれており、笑いも漏れるようなつっこみを挟みたくなるような緩急のあるユーモアでシュールなストーリーでした。
「愛」とは何か? そんなシンプルな問いをずっと投げかけられ自分の中にある愛の形を考えてしまうような作品です。
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