こんにちは、テラシマユウカです。
すっかり春の空気のあたたかさにつつまれ、街ゆく人の足取りも軽くなったようにみえる季節となりました。
先週末がちょうど桜の見頃だったようで、宮城から東京に帰ってきて人の多さに驚きながらも、ふとした瞬間に視界に入るピンクの景色に口元を緩ませていました。
四季の変化は何年繰り返しても飽きない美しさを持っていて、新鮮な感動を得られ続けて素敵だなと改めて噛み締めています。
Vol.251『パスト ライブス/再会』
☆3.9/☆5.0
https://happinet-phantom.com/pastlives/
ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソン。ふたりはお互いに恋心を抱いていたが、ノラの海外移住により離れ離れになってしまう。12年後24歳になり、ニューヨークとソウルでそれぞれの人生を歩んでいたふたりは、オンラインで再会を果たし、お互いを想いながらもすれ違ってしまう。そして12年後の36歳、ノラは作家のアーサーと結婚していた。ヘソンはそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークを訪れる。24年ぶりにやっとめぐり逢えたふたりの再会の7日間。ふたりが選ぶ、運命とは——。
大人のための、最高に上質な恋愛映画。
本年度賞レースの幕開けを飾るゴッサム賞では作品賞を受賞! ゴールデン・グローブ賞では作品賞含む主要5部門にノミネート。映画レビューサイトのロッテントマト98%の高評価を獲得し、海外メディアの年間ベスト映画にこぞって選出され、第96回アカデミー賞では作品賞、脚本賞にノミネートされ注目を集めています。
物語のキーワードは「運命」の意味で使われる韓国の言葉“縁—イニョン—”。見知らぬ人とすれ違ったときに、袖が偶然触れるのは、前世—PAST LIVES—でふたりの間に“縁”があったから。登場人物たちが想いを巡らせるいくつもの「もしも…」が、観客一人ひとりの人生における「あの時」の選択に重なり、忘れられない恋の記憶を揺り起こす。そして迎えるエンディングは、現世で運命の人とめぐり逢うことの奇跡と儚さに、胸が高鳴り、涙がとめどなく溢れる。
監督には、これが長編映画監督デビュー作となるセリーヌ・ソン。12歳のときに家族とともに海外へ移住した自身の体験をもとにオリジナル脚本を執筆し、メガホンをとった。
ノラ役はNetflixのドラマシリーズ「ロシアン・ドール 謎のタイムループ」や声優として参加した「スパイダーマン スパイダーバース」などで知られるグレタ・リー。ヘソン役は「LETO レト」「めまい 窓越しの想い」のユ・テオ。
海外移住のため離れ離れになった幼なじみの2人が、24年の時を経てニューヨークで再会する7日間を描いた、アメリカと韓国合作の大人のラブストーリー。
運命論を語ればキリがないものであり、将来の結婚を夢見た相手と結ばれなかったら…というシチュエーションは古くからあるロマンスの王道ストーリーですが、12歳・24歳・36歳の3つの時間軸で24年間の年月の経過による当然の変化に加えて社会の中での存在の変化も描かれ、よりモダン的なものとして最新のロマンスの形として生々しく、よりひとりひとりの恋愛以外の感情にもフォーカスされた作品となっています。
初恋の話でありながらも大人になり外に出ていく生き様の話でもある。ノラは国を出てニューヨークで進歩的に生きようと、聡明で社会的に出世欲の強いマイノリティとして描かれ、一方でヘソンは韓国人男性が通る典型的な道を歩み、その対比が素晴らしい演技で表現されていきます。
流れや目に映るものの美しさが非現実的になりすぎず、美化されていないリアリティのある、誰もがどこかに自分を重ね合わせて見てしまうようなノスタルジックな物語である。しかし、切なくて儚い、理屈では説明できない気持ちと、互いの気持ちを分かっているがあえて言葉にしない想いに、心の奥に眠っていたあの頃の感情をくすぐられ胸がきゅっと愛おしさに包まれるのです。
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