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StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

すっかり桜も葉がつき始め、刹那的な美しさというものを実感しているこの頃。

散った桜の花びらを見ながら、子どもの頃この季節はよく桜笛をして遊んでいたことをふと思い出しました。

子どもの頃の遊びというのは自然発生して、大人になると自然に忘れてしまうことばかりで、なんだか不思議な気持ちになります。

Vol.252『プリシラ』

☆3.7/☆5.0

https://gaga.ne.jp/priscilla/

 

14歳のプリシラは、世界が憧れるスーパースター(エルヴィス)と出会い、恋に落ちる。彼の特別になるという夢のような現実…。やがて彼女は両親の反対を押し切って、大邸宅で一緒に暮らし始める。魅惑的な別世界に足を踏み入れたプリシラにとって、彼の色に染まり、そばにいることが彼女のすべてだったが…。

 

エルヴィス・プレスリーの元妻プリシラが1985年に発表した回想録「私のエルヴィス」をもとに、世界的スターと恋に落ちた少女がたどる魅惑と波乱の日々を、プリシラの視点で繊細に美しく描く物語。

監督には、数々の賞に輝きファッション・アイコンとして世界に注目される『ロスト・イン・トランスレーション』『マリー・アントワネット』のソフィア・コッポラ監督。

『パシフィック・リム アップライジング』のケイリー・スピーニーが主演を務め、夢見る少女から意志を持つ大人の女性へと成長を遂げる、主人公・プリシラの心の変遷と外見の変化を繊細に演じ分ける。観る者を魅了する素晴らしい演技は、ベネチア国際映画祭最優秀女優賞を受賞、ゴールデングローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)にもノミネートされるなど高い評価を得ています。プリシラだけが知るエルヴィスのプライベートな側面を演じたのは、ジェイコブ・エロルディ。

シャネル、ヴァレンティノによる衣装が彩る華やかな恋に隠された孤独。フランス出身のロックバンド「フェニックス」による音楽が、美しく精巧な美術と1960~70年代の空気を伝える。

プリシラの少女から大人へと成長していく過程と、ひとりの女性としての繊細な心の動きを時代性とともに淡々と切なく描いていく。ソフィア・コッポラの生み出す間はセンスが素晴らしく、少女の心の機微を台詞だけでなく映像と余白で表現しモダンに映し出します。

劇中ではエルヴィス・プレスリーの楽曲やパフォーマンスシーンはほとんど使用されず、あくまでも彼の人物像はプリシラからみたものであり、2人でいる時にしか見せない姿や心情が垣間見え我々が映画やテレビで目にしてきた輝かしいばかりではなく傷つきやすく弱いエルヴィスが存在している。プリシラの視点に寄り添ったソフィア・コッポラにしか描けない、プリシラとエルヴィスの2人だけの世界を覗き見ているような感覚を覚えます。

美しい衣装を身に纏い化粧をしていくら着飾っても本心は隠せるものではなく、何不自由ないように見える暮らしがなによりも不自由であるとはなんと皮肉なことか。幼かった彼女にとってエルヴィスが世界の全てであり、ただ彼に身も心も委ね守られるだけの存在であった。しかし、子どもを持ち守るべき存在ができたことによって殻を破り変化していく姿は清々しく、プリシラが自分の意思で選んだ新しい道に降り注ぐ光は眩しく美しい。

エルヴィスを愛した少女時代を否定することなく悩み苦しみながら人として学び、だが彼女は彼女のままで歩き出すエンディングは不思議な心地よさのある作品でした。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.1 『ハウス・ジャック・ビルト』
Vol.2『ピアッシング』
Vol.3『凪待ち』
Vol.4『Diner ダイナー』
Vol.5 『劇場版 Free!-Road to the world-夢』
Vol.6『トイ・ストーリー4』
Vol.7『チャイルド・プレイ』
Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
Vol.9『存在のない子供たち』
Vol.10『永遠に僕のもの』
Vol.11『ゴーストランドの惨劇』
Vol.12『惡の華』
Vol.13『アス』
Vol.14『人間失格 太宰治と3人の女たち』
Vol.15『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
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Vol.17『JOKER』
Vol.18『クロール-凶暴領域-』
Vol.19『ボーダー 二つの世界』
Vol.20『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』
Vol.21『マチネの終わりに』
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Vol.32『ジョジョ・ラビット』
Vol.33『his』
Vol.34『犬鳴村』
Vol.35『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
Vol.36『ミッドサマー』
Vol.37『架空OL日記』
Vol.38『スキャンダル』
Vol.39『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』
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Vol.43『MyFrenchFilmFestival フランスショートフィルム特集』
Vol.44『邦画特集』
Vol.45『エズラ・ミラー特集』
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Vol.47『眠れない夜にみたい映画』
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Vol.53『アングスト/不安』
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Vol.56『透明人間』
Vol.57『ダークナイト』
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Vol.61『ハニーボーイ』
Vol.62『インセプション』
Vol.63『ようこそ映画音響の世界へ』
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Vol.66『TENET テネット』
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Vol.69『悪魔はいつもそこに』
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Vol.72『レベッカ』
Vol.73『ザ・ハント』
Vol.74『THE CAVE サッカー少年救出までの18日間』
Vol.75『エイブのキッチンストーリー』
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Vol.78『ザ・プロム』
Vol.79『ワンダーウーマン 1984』
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Vol.84『ズーム/見えない参加者』
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Vol.87『プラットフォーム』
Vol.88『聖なる犯罪者』
Vol.89『ベイビーティース』
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「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、テラシマユウカ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノン、ナルハワールド、アイナスター、カ能セイの13人からなるアイドルグループ、GANG PARADEのメンバー。2022年5月21日『GANG PARADE THE GREATEST SHOW TOUR 』YOKOHAMA BAY HALL公演より新13人体制としての活動がスタートし、2023年5月10日(水)にはメジャー2ndアルバム「OUR PARADE」をリリース。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在であり、映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「今日はさぼって映画をみにいく」を現在連載中。

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