テラシマユウカの映画コラム Vol.258『ありふれた教室』

こんにちは、テラシマユウカです。

沖縄でのイベントが3日間あり、ひと足先に夏を満喫してきました。あいにく梅雨入りすぐの沖縄でしたが、天気に恵まれ傘にお世話になる時間も少なくギャンパレの晴れ女パワーを実感しています。

3日間ともイベントてんこもりで、ファンクラブの方々と過ごしたBBQの時間以外は外食はありませんでしたが沖縄は特にコンビニでも土地のものが多いなという気づきがありました。1番美味しかったのはファミマの島豆腐の豚汁です。

Vol.258『ありふれた教室』

☆4.1/☆5.0

第73回ベルリン国際映画祭で上映されW受賞を果たしたのを皮切りに、ドイツ映画賞主要5部門受賞、アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートなど、世界の映画祭を席巻。教育現場のリアルな現実に根ざし、世界中の学校やあらゆるコミュニティーでいつ暴発しても不思議ではない“今そこにある脅威”を見事にあぶり出す。現代社会の縮図というべき学校を舞台に描く、極限のサスペンス・スリラーが誕生しました。

ある中学校で発生した小さな事件が予想もつかない方向へと進み、校内の秩序が崩壊していく様を、ひとりの新任教師の目を通して描いたサスペンススリラー。正義や真実をのみ込んでいく衝撃的なストーリー展開と圧巻のエンディング。

校内で続く窃盗事件の犯人探し。主人公カーラは、正義感に駆られ真実を明らかにしようと行動する。同僚、上司、保護者、生徒たち。学校という組織の圧力や周囲の誤解、真実を明かすことへの恐怖、様々な人たちの間で揺れ動き、主張し、葛藤を抱えながら次第に倫理的にグレーな行動を取ることになってしまいます。

周囲を巻き込んで状況を悪化させてしまい、保護者からの批判や生徒からの反発、絶望的な状況へと追い込まれていく様子に、彼女の行動が決して正しいとは言えません。しかし自分の信念があるからこそ苦悩する人間像に、その心情を理解できる部分も少なからず存在します。

不寛容な学校という世界で個人に留まらず全体の問題として、細かな事件が起きては解決していくもの疑惑や偏見が次第に肥大化して断片的な事実が大きく変化し、それに伴って信頼関係が希薄となり真実が分からなくなってしまうのは今の現代社会でもよくある話で、それがとても巧く描写されています。真実を追求する者に対する圧力は権力と嘘に塗れた社会の縮図とも言えます。

主張と証明、知る権利とプライバシー、メディアを制限して生徒を支配しようとする先生、教師同士や生徒同士でも自分たちの正義や真実のぶつかり合いが起こり視点によってはどれも正義になる。正義感が根底にあっても良い結果を生むとは限らず、真相を知ったところでというところまで話はいきつく。

衝撃的な展開と共にラストシーンは観客に様々な解釈を委ねる余韻を残し、安易な解決を示さないことでこの問題が現実にある根深い問題であることを主張しているように感じるのです。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。

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Vol.2『ピアッシング』
Vol.3『凪待ち』
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Vol.5 『劇場版 Free!-Road to the world-夢』
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Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
Vol.9『存在のない子供たち』
Vol.10『永遠に僕のもの』
Vol.11『ゴーストランドの惨劇』
Vol.12『惡の華』
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Vol.18『クロール－凶暴領域－』
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Vol.68『ミッドナイトスワン』
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Vol.72『レベッカ』
Vol.73『ザ・ハント』
Vol.74『THE CAVE サッカー少年救出までの18日間』
Vol.75『エイブのキッチンストーリー』
Vol.76『オン・ザ・ロック』
Vol.77『ザ・コール』
Vol.78『ザ・プロム』
Vol.79『ワンダーウーマン 1984』
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Vol.83『恋する遊園地』
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