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StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

古代への浪漫というものは、誰しもが抱く瞬間が来るのではないだろうか。

ロンドンへライブをした時に初めて大英博物館を訪れる機会がありました。視界に広がる致死量のロマンの数々に、知的好奇心に溺れそうになった感覚は今でも鮮明に思い出せます。

良くも悪くも人間は過去に取り憑かれた生き物でもあり、かつて存在したはずの世界に幻影を追い求める幸福を忘れず、その曖昧さを残しておきたいと願ってしまいます。

Vol.266『墓泥棒と失われた女神』

☆4.0/☆5.0

https://www.bitters.co.jp/hakadorobou/

 

80年代、イタリア・トスカーナ地方の田舎町。忘れられない恋人の影を追う、考古学愛好家のアーサー。彼は紀元前に繁栄した古代エトルリア人の遺跡をなぜか発見できる特殊能力を持っている。墓泥棒の仲間たちと掘り出した埋葬品を売りさばいては日銭を稼ぐ日々。
ある日、稀少な価値を持つ美しい女神像を発見したことで、闇のアート市場をも巻き込んだ騒動に発展していく…。

 

世界中の映画人が惚れ込んだアリーチェ・ロルヴァケル監督最新作。カンヌ国際映画祭において『夏をゆく人々』でグランプリ、 『幸福なラザロ』では脚本賞を受賞。フェリーニ、ヴィスコンティなどの豊かなイタリア映画史の遺伝子を確かに受け継ぎながら、 革新的な作品を発表し続けている。

アリーチェ・ロルヴァケル監督には、マーティン・スコセッシ、ポン・ジュノ、ソフィア・コッポラ、グレタ・ガーウィグ、 ギレルモ・デル・トロ、アルフォンソ・キュアロン、ケリー・ライカートらがファンを公言し、製作のバックアップに名乗りをあげるなど、 世界中の映画人がその唯一無二の才能に惚れこんでいる。

主演のアーサー役を『ゴッズ・オウン・カントリー』のジョシュ・オコナーが務め、『ブルーベルベット』のイザベラ・ロッセリーニ、監督の実姉である『ハングリー・ハーツ』のアルバ・ロルヴァケルが共演。

墓泥棒が探すのは、お宝か愛か―。

ギリシャ神話の悲劇のラブストーリーをモチーフにした、愛の幻想にとらわれ追い求める墓泥棒たちの数奇な物語。夢、富、忘れられない愛する人、人間の果てなき探求を描き、最愛の人の影を追うアーサーの姿は、亡くなった妻を生き返らせるために冥界に赴いたギリシャ神話「オルフェウスとエウリュディケ」の悲劇のラブストーリーを想起させる。

墓泥棒で生計を立てる貧しい暮らしも、希少価値の高い女神像を発見したことでアーサーの運命は大きく変わってゆく。人々の厳しい現実を描きながら、その現実を受け入れて愛に生きるのか、失われた宝と愛を探す旅を続けるのか。誰もが何かを追い求めながら生きていて、手に入らなくとも追い求め続ける限り夢は終わらない。

素朴ながらも惹き込まれる田舎町の景色、ユニークな演出、独創的な世界観に現実と幻想が交錯する物語は、美しくて思わず息が漏れる。そんな物語に漂う不思議な浮遊感と生命力は、生と死の境目が曖昧に混じりあうようなロマンチックな力を持ち、まるで夢の中にいる様だと錯覚する。

地上と地下、現代と古代、消費と埋葬品、生と死、男と女。さまざまな対比の中に太古へのロマンと美が埋め込まれています。また、夢・幻想・理想・物語、と言葉によって意味を変えながら「現実」と対になる要素から、それぞれの境界が溶け合い、静かに淡々と自身を見つめていく、じんわりと人生を噛みしめたくもなる物語です。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』
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Vol.10『永遠に僕のもの』
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「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、テラシマユウカ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノン、ナルハワールド、アイナスター、カ能セイの13人からなるアイドルグループ、GANG PARADEのメンバー。2022年5月21日『GANG PARADE THE GREATEST SHOW TOUR 』YOKOHAMA BAY HALL公演より新13人体制としての活動がスタートし、2023年5月10日(水)にはメジャー2ndアルバム「OUR PARADE」をリリース。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在であり、映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「今日はさぼって映画をみにいく」を現在連載中。

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