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StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

年齢を重ねると共に、コレクター気質になりつつあります。

すこし前までは出来るだけシンプルに、全てのものをしまい視覚的な情報量を減らす部屋作りにこだわっていましたが、今は映画のポスターやポストカードを飾った方が生活の幸福度が上がる気がして、壁を彩ることにハマっています。

とは言ってもポスターの配置や色彩の並びにこだわりが強すぎて貼っては剥がし、位置を変え試行錯誤している日々ですが、最近はレザボア・ドッグスの前売り特典がやっと届いたので、あの真っ赤なポスターをどう配置したら美しくみえるかに頭を抱えています。そんな悩みの時間も、趣味ってこういうことなのかなと変に腑に落ちてしまう自分も存在しています。

Vol.245『落下の解剖学』

☆4.0/☆5.0

https://gaga.ne.jp/anatomy/

 

人里離れた雪山の山荘で、男が転落死した。
はじめは事故と思われたが、次第にベストセラー作家である妻サンドラに殺人容疑が向けられる。現場に居合わせたのは、視覚障がいのある11歳の息子だけ。証人や検事により、夫婦の秘密や嘘が暴露され、登場人物の数だけ<真実>が現れるが──。

 

2023年のカンヌ国際映画祭で審査員長を務めた奇才リューベン・オストルンド監督から「強烈な体験だった」と破格の称賛を受け、最高賞のパルムドールに輝いたのが、ジュスティーヌ・トリエ監督の長編4作目となる本作。

本国フランスでは、公開3週目にして週末ランキングで1位を獲得し、口コミによる観客の圧倒的な支持を証明。さらに、5週目には観客動員数100万人を越える大ヒットを記録。
第81回ゴールデン・グローブ賞では作品賞(ドラマ部門)、主演女優賞(ドラマ部門/ザンドラ・ヒュラー)、脚本賞、非英語作品賞の4部門にノミネートされ、脚本賞と非英語作品賞の2部門を受賞。アカデミー賞®最有力の呼び声も、日に日にリアリティを増している本年度最大の注目作となります。

主人公のサンドラ役には、『レクイエム~ミカエラの肖像』でベルリン国際映画祭銀熊賞、『ありがとう、トニ・エルドマン』でヨーロッパ映画賞女優賞を受賞し、本作で本年度映画賞レース主演女優賞の最有力候補となっているザンドラ・ヒュラー。人気作家としての知的なポーカーフェイスの下で、底なしの冷酷さと自我を爆発させる圧巻の演技で観客を一気に疑心暗鬼の渦へと引きずりこみ、息子のダニエル役のミロ・マシャド・グラネールと、彼の愛犬スヌープに扮しパルムドッグ賞を受賞したボーダーコリーのメッシの、演技を超越した存在感が物語のカギを握る。

男の不審死から物語は始まるが、単にその死の真相を追うのではなく他殺か自殺か、それとも事故なのか分からない「死」を巡り翻弄される人々の姿をただただ冷酷に描き出す。シンプルな設定とひたすらに裁判で討論を繰り広げられる展開は大きな起伏や派手な演出はなく、それ故に登場人物の複雑な心情をより鮮明に映し出していくのです。

真相を明らかにせずミステリー的な展開もする訳ではないことは明確に示されながら、殺人容疑をかけられた妻から裁判に発展していく中で物語は事実よりも彼女が人の目にどう映るかに焦点が当てられ、裁判においての目的は真実を明らかにする場ではなく、信憑性のある証言と証拠によって何が正しいか信じるのに正当な根拠を見つけ判断を選ぶことであることが分かり、そしてそれを突き詰めていく中で家族として生活する中で生じる役割分担などの普遍的な問題提起も同時に投げかけられることになります。

法廷サスペンスでもあり家族の愛憎入り混じるドラマでもある本作は妻のサンドラから弁護士、検事、あらゆる証人まですべて主観的視点で話し、視覚障がいのある息子と愛犬だけが客観的な視点を持つように工夫を凝らされた脚本が表情を変え続け152分という長い時間を飽きさせることなく引き込まれます。

『落下の解剖学』というタイトルのセンスから期待を裏切られることなく興味深く秀逸な作品でした。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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テラシマユウカ

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、テラシマユウカ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノン、ナルハワールド、アイナスター、カ能セイの13人からなるアイドルグループ、GANG PARADEのメンバー。2022年5月21日『GANG PARADE THE GREATEST SHOW TOUR 』YOKOHAMA BAY HALL公演より新13人体制としての活動がスタートし、2023年5月10日(水)にはメジャー2ndアルバム「OUR PARADE」をリリース。多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在であり、映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「今日はさぼって映画をみにいく」を現在連載中。

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