こんにちは、テラシマユウカです。
GWが終了してしまいましたが、私は大阪コミコンに30時間イベントと濃厚すぎる時間を過ごしていました。
東京コミコン2023に続き2度目となるマッツ・ミケルセンの撮影会に参加してきたわけですが、列に並んでいる時の独特な高揚感と撮影後の言葉にできない充足感は何にも変えられない体験です。
あの10秒にも満たない一瞬の接触でこんなにも人間は日々を頑張ろうと思えるんだと、推し活の素晴らしさを改めて実感することとなる素晴らしいゴールデンウィークでした。
Vol.254『インフィニティ・プール』
☆3.8/☆5.0
https://transformer.co.jp/m/infinitypool/
高級リゾート地として知られる孤島を訪れたスランプ中の作家ジェームズは、裕福な資産家の娘である妻のエムとともに、ここでバカンスを楽しみながら新たな作品のインスピレーションを得ようと考えていた。ある日、彼の小説の大ファンだという女性ガビに話しかけられたジェームズは、彼女とその夫に誘われ一緒に食事をすることに。意気投合した彼らは、観光客は行かないようにと警告されていた敷地外へとドライブに出かける。それが悪夢の始まりになるとは知らずに……。
デヴィッド・クローネンバーグを父に持ち、自身も『アンチヴァイラル』『ポゼッサー』など独特の世界観に溢れた秀作を送り出し、カルト的な人気を誇る鬼才ブランドン・クローネンバーグ監督の長編第3作にして、最大の話題作がついに日本上陸。
裕福な若い夫婦が訪れた美しいリゾート地、リ・トルカ島。その国では、観光客はどんな犯罪を起こしても大金を払えば自分のクローンを作ることができ、そのクローンを身代わりとして死刑に処すことで罪を免れることができるという身の毛もよだつ残酷なルールが存在していた…。
展開が読めず全貌も明かされない、謎めいた怖さと追い詰められた人間の内側を覗きみる様な恐ろしさを持ち、変態的で哲学的な次々と襲ってくる焦燥と快楽が脳に響きたまらなくクセになる。セレブたちの解放された自分殺しの精神と、そこに飛び込むこととなったが入り込めない主人公の、自尊心を失い身も心も玩具にされてしまう運命は残酷で、息苦しく精神的な痛みを伴うこととなります。
ミア・ゴスとアレクサンダー・スカルスガルドの怪演は彼らなしでは本作が成り立たない程の強烈な印象を残します。一見魅惑的に感じるマスクの下に隠し持つ歪な精神は非常に厄介であり、やけにアップで見せる構図やカット割りも加わって危険だからこそ魅惑的に感じる不安定さをより一層演出します。
自分の無惨な死に様を他人事のように目の当たりにし、罪の意識や立場、責任感、モラルから解き放たれてしまった人間は、一体何を娯楽として生きるのか?
次第に人間性が欠如していくように倫理観が崩壊していく様を見せつけられる。お金を積めば自らの罪から逃れられるという設定は妙に今の社会でリアリティを持ち、現代の階級風刺でもあると捉えられます。
主人公の男が羽化して幾度となく変容していくように、我々観客もどれが真実の姿か分からなくなっていき『インフィニティ・プール』、まさにタイトルの通り水平線との境目がなく曖昧な精神の境界に幻想と現実が錯綜し、目眩に襲われるのです。
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Vol.121『キャッシュトラック』
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