テラシマユウカの映画コラム Vol.263『クワイエット・プレイス：DAY 1』

こんにちは、テラシマユウカです。

7月を迎え2024年の上半期が終わったところで、毎年恒例の上半期映画ベスト10を決める季節がやってきました。

私の暫定1位は『関心領域』です。

ベスト10の詳しくはXでポストしようと思っています。みなさんの上半期ベスト作品は何に決まりましたか？

上半期ベスト映画を語る会なんていうのも、やってみたいですね。

Vol.263『クワイエット・プレイス：DAY 1』

☆3.6/☆5.0

音を立てたら即死は、
この日[DAY1]始まった―

突如出現した“音”を立てるもの全てに襲い掛かる“何か”に支配され、崩壊した世界を舞台に、“沈黙”を守り生存を試みる家族の姿を描いたサバイバル・ホラーシリーズ『クワイエット・プレイス』の最新作。
世界が沈黙した日[DAY1]を描く今作の舞台は、これまでの田舎町から一転、「音を立てないことが不可能」な大都市・ニューヨークへと移る。主人公は1人の女性とその猫に。シリーズ最大の謎である“何か”の襲来を映し出すことで、作品は圧倒的なスケールアップを果たしている。

人類が音を奪われた日を描く、『クワイエット』シリーズ第3作目は、これまで語られてこなかった“何か”が地球に襲来した最初の日を描き、前2作で監督や脚本を務めたジョン・クラシンスキーは、今作では製作や脚本を担当。ニコラス・ケイジ主演のリベンジスリラー『PIG ピッグ』で注目された新鋭監督マイケル・サルノスキがメガホンをとった。

主人公のサミラ役に『ブラックパンサー』『それでも夜は明ける』のルピタ・ニョンゴ。サミラと行動をともにするエリック役に『ストレンジャー・シングス　未知の世界』のジョセフ・クイン。また、シリーズ第2作『クワイエット・プレイス　破られた沈黙』でジャイモン・フンスーが演じた謎の生存者も登場する。

まるで宇宙戦争のような阿鼻叫喚の地獄絵図と化したニューヨークから始まり、シリーズで謎に包まれていた何が起きたかが今作で初めて説明される。素晴らしいラストカットの為に物語を作ったかのような主人公のドラマが繰り広げられ、切なくあたたかいラストの余韻が残り続けます。

これまでのクワイエットシリーズとは違い、今作では主人公が生き残ることを重要視していません。彼女は病魔に侵されており、この世界で生き残ることよりも自分の死に方を選びたい、とある夢を叶えてから死にたいと言う願望を強く持っています。初めは生きることに希望を持っていなかった彼女が、危機的状況に陥った為に自分らしく最後を迎えることへ希望を見出し、襲来した敵と対峙する様子は新鮮なホラー体験となります。

シリーズを通して命の尊さや大切な人を守る強い意志が描かれ、ただのスリラーに留まることはありません。今作では猫がいることでいつ鳴き声をあげてしまうかと心配と緊張感の溢れる状況の中で、ホラーと人間模様が良いバランスで入り混じり、サミラとエリックの葛藤や決断に心動かされます。

“何か”の襲来についての詳しい原因や理由などは残念ながら明かされることはなく、まだ焦らされていくことになりそうで、今後のシリーズの展開も楽しみになる第3作目でした。

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