テラシマユウカの映画コラム Vol.268『#スージー・サーチ』

こんにちは、テラシマユウカです。

夏休みの時期に突入し、イベントが多くなってくるこの季節。最近は要領良く生きたいなと思い、過ごしています。

夏は楽しみな新作映画も多く、嬉しいことにソロでのお仕事も頂いていて事前準備をしっかりしなきゃ不安なタイプなので、ライブ以外の日の時間をどう使うかカレンダーにスケジュールを書き込んだりしています。

予定を達成できなかったとしても、タスクを書き出してみるとなんだか満足感を得られてしまって、自分って単純でバカだなと鼻で笑っています。

人間ってそんなもんですよね。

Vol.268『#スージー・サーチ』

☆3.9/☆5.0

ポッドキャストの配信を通してインフルエンサー失踪事件の真相を追う大学生の秘密を予測不能な展開でコミカルに描く。一体スージーはどうやって居場所を見つけたのか？誰にも知られてはいけない、いいねやフォロワーの増やし方に、バズるごとに熱気を帯びる期待と注目。

人は有名になるために、どこまで過激になってしまうのか——。

予想を裏切り続ける展開に一秒たりとも目が離せない、インスタントな名声と称賛を求めるSNS文化を鋭く風刺したダークミステリー。

監督は本作が長編デビュー作となる新鋭ソフィー・カーグマン。主演に『ザ・フラッシュ』のカーシー・クレモンズ、共演に『ヘレディタリー/継承』のアレックス・ウルフを迎え、現代的なテーマをポップな色彩で映し出す。

ポスタービジュアルから、コロナ禍でよく生み出されていたzoomやSNSを通してのインターネット上での探偵モノかと想像しましたが、その予想を大きく裏切る展開がいくつも待ち構え、衝撃を受けることとなります。

本当にダークスリラーなの？と疑問を持ち始めてからすぐにひっくり返される展開となり、序盤でこんなにも大きな種明かしをしてしまって大丈夫なものかと後半の物語に心配を抱きますが、そんなのお構いなしに二転三転と先を読むことを許さず突き進みます。

表情は勿論のこと、色彩、音楽、エフェクト等での心理描写に遊びがあり面白く、主人公が観客にコミカルに語りかけながら、スージーの感情にシンクロしての画面の分割や顔のアップになったりとギミックも満載。

ひねりのあるストーリーに独特なスリルを体感しながら、SNS社会への風刺と主人公・スージーのキャラクター性と自分も少なからず持つ承認欲求の心当たりを照らし合わせる。スージーを応援しているのか、非難したいのか、分からなくなるような落とし穴に陥るハラハラ感は臨場感があり、コンパクトに起承転転々結を繰り広げちゃんと着地させている展開はお見事です。

スージーの振る舞いはなんだか憎みきれず、承認欲求のきっかけがマイナスな出来事ではなく母親との思い出からくる点も彼女の純粋さ、素直さを強調する様で、起きている事件は酷いのに全くそう見えさせず彼女に愛しさまで感じてしまいます。

ラストの演出まで抜かりなくゾワッとさせられ、スージーが承認欲求に翻弄されるように我々観客も彼女の行動に翻弄される、秀逸なダークスリラー作品です。

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