こんにちは、テラシマユウカです。
9月を迎え、すこしずつ風が涼しくなってくるのを感じてきました。
スーパーにならぶ食材も秋の味覚へと変わり始め、品ぞろえをみるのも楽しく充実した気分になっています。夏の始まりに頼んでもう何にしたか覚えてない秋服も届き、お楽しみbox感覚で箱を開けています。
暑さが消えてしまう前に、夏の醍醐味ホラー映画を味わい尽くしておきたいです。
Vol.272『サユリ』
☆4.2/☆5.0
夢の一戸建てマイホームに引っ越してきた神木家。しかし、家族7人の幸せな時間も束の間。どこかから聞こえる奇怪な笑い声とともに、一人ずつ死んでいく家族―。
中学3年生の則雄は、同級生の住田に突然話しかけられ、「気をつけて」と言われる始末。そんな神木家を恐怖のどん底に突き落とす呪いの根源は、この家に棲みつく少女の霊“サユリ”だった……。
次々と起こる不可解な現象の中、遂に則雄にも謎の少女が近づいてくる。その時、パニック状態に陥る則雄の前に現れたのは、認知症が進んでいるはずの“ばあちゃん”だった。
「いいか。ワシら二人でさっきのアレを、地獄送りにしてやるんじゃ!復讐じゃ!!」
こうして、残された則雄とばあちゃんによる壮絶な復讐劇が、いま始まるー!
押切蓮介の同名人気ホラー漫画を『地獄少女』『貞子vs伽倻子』の白石晃士監督のメガホンで実写映画化。
主人公の則雄をドラマ「姉ちゃんの恋人」やNHK連続テレビ小説「らんまん」で注目された若手俳優の南出凌嘉、祖母・春枝役をベテランの根岸季衣が演じた。そのほか近藤華、梶原善、占部房子、きたろうらが顔をそろえる。
前半はよくある引越し先で…のホラー展開が進み、犠牲者が1人でると後は早く、次々と殺人鬼がやるような殺し方で幽霊に殺されていく。初めに描かれる理想的な家族像が跡形もなく壊されていく絶望感を味わうこととなります。
ジメジメとしたJホラーの展開ではお祓いか成仏といった解決方法がお決まりの中で、それをぶち壊してくれる白石監督。そんなJホラー界に風穴をあける存在と、幽霊をぶちのめしてしまうような押切作品の最強タッグで逆に幽霊の命が危ないんじゃないかと心配してしまう布陣は期待を裏切りません。
もうこの家族は殺し尽くされてしまうんだ、そんな絶体絶命の状況でボケているはずのばあちゃんが覚醒。怨霊に理不尽に家族を奪われたばあちゃんが生者にしかできないバトル方法で完封するのです。「死んでるやつより生きてるやつの方が強いに決まってるだろ」の精神で厄介すぎる霊に対してルール無用の戦法で戦いを挑むばあちゃんがあまりにも頼もしすぎる。
恐怖と笑いを融合させた作品で、怨霊に受けた理不尽をそれ以上の理不尽で復讐を果たし、生身の人間の恐怖と狂気を見せつけながらも、ちゃんとホラーらしさのある恐怖も味わうことができます。物語が真相に近づき、過去の憎しみを抱える怨霊サユリの苦悩がみえると笑えた展開の分、悲しみも大きく呼び起こします。そしてただのホラー映画にとどまらない深みを与え、クライマックスの予想外の結末に鑑賞後も余韻が残り続けます。
命を濃く、生きてる者は強い。
なんだか励まされるような一味違ったエンタメホラーでした。
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